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実録・マキさんの恋 #01 プロローグ

《あらすじ》
宅地建物取引士の資格試験を2か月後に控えながらも、貴重なお盆休みを試験勉強のみで過ごすことに不満を感じていた筆者・鳴海は、行きつけのショットバーで以前から懇意にしていた年齢不詳の美魔女に対し、「あなたの恋愛遍歴を私小説風に書かせてもらえないか」と申し出た。
呆れながらも筆者・鳴海の願いを受け入れた美魔女だったが、彼女の口から語られた恋愛遍歴は、やや過激、かつ、少々エキセントリックな内容だった。

私の恋愛遍歴を書かせてほしい、ですって?

試験勉強ばかりの毎日では辛いから、小説も書きたい?でも、1から考えるような心の余裕はない?だから、私の体験談をそのまま文章化することで凌ぎたい…?

まあ、呆れたわ。

でも、あなた、まだ小説を書き続けるつもりなのね。あなたの作品、パラパラッと見せてもらったけど、あんなの恋愛小説じゃないわよ。トキメキも、エロも、何もないじゃないの。

それに、あんなためらい傷みたいな半端な話を書いてちゃダメよ。もっと、ズバッと斬り込みなさいよ、ズバッと。そうよ、ズバッとよ。あなたにしか書けない話があるでしょ、ってことよ。

で?どうすればいいの?今回は、私の恥をさらけ出せばいいの?いいわよ。あなたの芸の肥やしと思って、洗いざらい話してあげるわよ。

それに、あなたの妄想よりも、私の実話の方がまだ面白いと思うわ。

ただし、モラルの低い、どぎつい話ばかりよ。今の若い子には受け入れてもらえないと思うわよ。
『イタいおばさんの勘違い武勇伝』になってもいいのね?

え?noteはそこまでエログロを好まないから、少し手加減してくれ?知らないわよ、そんなこと。
私は赤裸々に話すから、あなたが自分でオブラートに包みなさいよ。

あら、待って。あなた、もう書き始めてるの?ちょっと見せてごらんなさいよ。
…やだ、私、こんなオッサンみたいな口調じゃないわよ。もっと、いいおんな風に脚色してよ。
…うん、そうね。まあ、いいわ。これで我慢してあげる。マツコみたいだけど、オッサン口調よりはまだマシだわ。

じゃあ、私の名前は「マキ」ってことにしてね。
…え?ピチカート・ファイヴの野宮真貴よ。私は野宮真貴みたいになりたいって、常々思っているのよ。
…確かに似てる?そりゃそうよ。日々努力してるもの。



じゃあ、始めるわね。

最初の男のエピソードは、極めて平凡よ。

大学時代の彼氏と遠距離恋愛を経て婚約したのに、私が会社の先輩とつい浮気したせいで破談になって、挙句にその先輩と他の女とで社内三角関係になって、上司を巻き込んですったもんだになったって話よ。

続く


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