実録・マキさんの恋 #01 プロローグ
私の恋愛遍歴を書かせてほしい、ですって?
試験勉強ばかりの毎日では辛いから、小説も書きたい?でも、1から考えるような心の余裕はない?だから、私の体験談をそのまま文章化することで凌ぎたい…?
まあ、呆れたわ。
でも、あなた、まだ小説を書き続けるつもりなのね。あなたの作品、パラパラッと見せてもらったけど、あんなの恋愛小説じゃないわよ。トキメキも、エロも、何もないじゃないの。
それに、あんなためらい傷みたいな半端な話を書いてちゃダメよ。もっと、ズバッと斬り込みなさいよ、ズバッと。そうよ、ズバッとよ。あなたにしか書けない話があるでしょ、ってことよ。
で?どうすればいいの?今回は、私の恥をさらけ出せばいいの?いいわよ。あなたの芸の肥やしと思って、洗いざらい話してあげるわよ。
それに、あなたの妄想よりも、私の実話の方がまだ面白いと思うわ。
ただし、モラルの低い、どぎつい話ばかりよ。今の若い子には受け入れてもらえないと思うわよ。
『イタいおばさんの勘違い武勇伝』になってもいいのね?
え?noteはそこまでエログロを好まないから、少し手加減してくれ?知らないわよ、そんなこと。
私は赤裸々に話すから、あなたが自分でオブラートに包みなさいよ。
あら、待って。あなた、もう書き始めてるの?ちょっと見せてごらんなさいよ。
…やだ、私、こんなオッサンみたいな口調じゃないわよ。もっと、いいおんな風に脚色してよ。
…うん、そうね。まあ、いいわ。これで我慢してあげる。マツコみたいだけど、オッサン口調よりはまだマシだわ。
じゃあ、私の名前は「マキ」ってことにしてね。
…え?ピチカート・ファイヴの野宮真貴よ。私は野宮真貴みたいになりたいって、常々思っているのよ。
…確かに似てる?そりゃそうよ。日々努力してるもの。
じゃあ、始めるわね。
最初の男のエピソードは、極めて平凡よ。
大学時代の彼氏と遠距離恋愛を経て婚約したのに、私が会社の先輩とつい浮気したせいで破談になって、挙句にその先輩と他の女とで社内三角関係になって、上司を巻き込んですったもんだになったって話よ。
(続く)
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?