従業員の心理面へのサポート ~ストレスチェック義務化へ~
みなさまこんにちは。よこちょうです。
日本の衆院選に続き、国際的に大きな影響がある米国大統領選挙が11月5日に行われ、皆様既に周知のとおりトランプ元大統領が返り咲きを果たしました。
当初接戦が予想されていましたが、終わってみればトランプ氏の圧勝にも近い内容で、今回は前回と違い民主党のハリス氏も敗北を認めて混乱などは起きずに終結しました。
日本にどう影響するかはこれからですが、いずれにしろトランプ氏が「アメリカ・ファースト」を日頃から口にされている方ですので、その主義による政策の影響は十分予想されるところです。本ブログでは人事ネタを主に取り扱っておりますのでこれ以上の言及は避けますが、正式に就任される来年1月以降も注目していく必要はあると思う所です。
さて、今回は米国大統領選に隠れた形になってしまいましたが、ほぼ同時期に話題となりました、「企業でのストレスチェックの義務化」について触れて参りたいと思います。安全衛生面において、いわゆるケガや事故などの目に見える「災害(労災)」のみならず、心理面においてもケアが当然必要です。従来も労働安全衛生法において触れられていた内容ですが、本件が改正になりますので、今回はこの話題を取り上げてご紹介および考察してみたいと思います。
【タイトルネタの紹介記事】
本タイトルに関連した記事ですが、以下URLでご紹介されています。
(福祉新聞記事)
現在、職場における「ストレスチェック」は、2015年に労働安全衛生法の改正に基づき開始されており、従業員50名以上の事業所に対し、年1回の実施が義務付けられています。
もちろん、この結果は本人に通知され、ストレスが高いと判断された方については医師の面接指導が推奨されています。また、企業側においては、この結果により職場環境を改善する事が求められています。
従業員50名未満の事業所は努力義務となっており、現在の実施率は約3割だそうです。しかしながら、業務負荷が高まり精神を病む方の増加を踏まえ、このたび、労働安全衛生法を改正してメンタルヘルス対策を強化する方向を打ち出したものです。
なかなか興味深い記事ですが、次に本内容に関連する厚生労働省の資料を当たってみました。
【ストレスチェックについて、厚生労働省の見解 ~資料から~】
厚生労働省の「ストレスチェック等の職場におけるメンタルヘルス対策・過重労働対策等」の紹介ページはこちらです。
こちらがチラシです。2015年12月に施行されました。
URLでご紹介したページを見てみますと、
ベースとなる法令
実施方法、対処方法の具体的な解説
各種マニュアル、推奨調査票などの資料
メンタルヘルスに関する詳細説明、資料、相談窓口
など、かなり充実した内容になっています。
(ただ、これをしっかり現場まで理解してもらいつつ落とし込まれているかはまた別の問題ですが。。)
最初に紹介した記事の中にある「中間報告」に関するページは以下にあります。
報告のPDFはこちらです。:
https://www.mhlw.go.jp/content/11201250/001323707.pdf
14ページもの報告になっていますが、注目点をピックアップしますと、
ストレスチェックを実施している事業場の割合:
50名以上の事業場 81.7%の一方、実施が努力義務である50名未満の事業場 34.6%精神障害の労災支給決定件数は、年々増加の傾向。令和5年度は 883件と過去最多
ストレスチェックの「実施だけ」でも、約7割の労働者から「ストレスチェックの個人結果をもらったこと」を有効とする回答が得られた。
医師面接を受けた労働者の過半数から「医師面接(対面)を受けたこと」を有効とする回答が得られた。
50名未満の事業場におけるストレスチェックの今後のあり方について、以下の点から検討が行われている。
-プライバシー保護
-医師面接後の事後措置
-50名未満の事業場に即した実施内容
-実施コスト
-地産保等による支援、その他50名未満の事業場に対する支援策
詳細まで解説するとかなり長くなってしまいますので、要約にとどめますが、現在努力義務とされているものの、実施率が非常に低い50名未満の事業場において、人数が少ない事により、実施が難しい点を如何にクリアしていくかという視点で詳細まで切り込んで議論されていることが伺える内容になっています。
【人事ご担当者様が実施にあたり必要な内容】
まずはストレスチェックの実施に当たりマニュアルを見ておくことが必要かと思います。
https://www.mhlw.go.jp/content/000533925.pdf
ただ、このマニュアルは204ページもあり、隅々まで確認するのは正直難しいかとは思います。
取り急ぎ、以下のポイントを押さえておく必要はあるのかなと思います。
ストレスチェックを行う意義
ストレスチェックの内容
実施方法
実施後のフォローアップ
(面談者へのフォロー、結果を受けて職場環境の改善など)実施にあたっての注意点
報告の方法
身体上のケガなどの防止に備え、安全面のチェックや従業員の健康状況の把握などを行うのと同様、心理/メンタル面からのサポートも同様に行っていく必要があります。
従業員の方の安全衛生を心身両面から担保する事を常に意識し、よりよい職場環境を作る事が求められます。
【メンタル面へのケアの必要性:考察】
私は少年時代、昭和のスポ根漫画を見たり、体育会系で気合と根性をベースに叱咤激励されてきた(苦笑)世代であり、実際自身もそうなので、苦しい状況もとにかく気合で頑張って乗り越えなくてはならないという気質があるのかもしれません(苦笑)。
ただ、今の時代、あまり度を過ぎた対応は、パワハラになってしまったり、従業員のストレスを誘発する要因になってしまう事は、当然考慮する必要があるのは言うまでもありません。
今回、こちらの記事を記載するにあたり、私が最も必要と思うことは、「企業側の体制」です。
ストレスを感じている従業員がいる環境があった場合に、
そもそも未然に防ぐ方法はあるのか
そのような社員がいたとしたら、どう発見するか
発見したら、正確に把握するためにどうするか
ストレスがある社員をどうケアするか
よりよい職場環境をどう創っていくか
こう書いていくと、字面からだけ見ると当たり前の事なのですが、この問題は結構奥が深いですよね。。。
たとえばですが、社長のパワハラによりストレスが溜まってしまった社員がいるとして、
そもそもその社員が事実を正直に話せる環境を作れるのか?
事実を把握できても本質的な解決に持っていけるか?
ということを担保できる環境作りは非常に難しいと思います。えてして、「パワハラ」と「ストレス」の問題の本質を見誤って、もしくは忖度などで場当たり的な方策を行ってしまい、問題がより深くなってしまう可能性も十分考えられます。
この施策において、ストレスチェックを単純に「やればいい」という話でもないかと思いますので、これをきっかけに職場の安全衛生が従業員の心身両面からご検討いただく機会となりますことを願っております。
いかがでしたでしょうか。今回話題とさせていただきました、安全衛生を含む人事労務はもとより、働き方、退職金関連など、相談先にお困りでしたら、ぜひ社労士法人JOYのお問い合わせからご相談下さい。
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次回もぜひお楽しみに!