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実は元バンギャだった私〜私の夢を応援してくれた最愛の推しへ〜

6年間追いかけ続けてきたV系バンドの突然の解散

2015年12月。
推しという言葉がまだ浸透していなかった時代。

大好きでライブやインストアイベントによく通っていた
ヴィジュアル系のどマイナーバンドが、
6年間の活動に幕を下ろしました。いわゆる、解散。

私はジャニオタでもありましたが、実はこの日までの6年間はバンギャという生き物として人生をまっとうしていました。
私の学生時代のほとんどと、新社会人時代を共に歩んだバンドとの突然の別れ。

バンドの公式Twitterには「解散のお知らせ」の文字。
バンギャ人生の中で、一番見たくなかった文字が羅列していた。

私は頭がパニックになってしまった。
すぐさま、ずっと一緒にライブに行ってくれた友達に電話。
いつもは全然電話に出てくれない友達だったが、
この日はちょうど電話に出てくれた。すぐに事情を知る友達。
一緒に「ごめんね…ごめんね…」と泣いていた。

では、何が“ごめんね”だったのか?

それはこれからお話していこうと思います。

きっかけは雑誌の小さな切り抜きだった

中学校3年生のとき、私はJanne Da arcやthe GazettEが大好きで、
円盤のほかにヴィジュアル系専門の雑誌もよく買っていた。
SHOXXやcureなどがこれにあたる。
さらに、高校1年生のときは学校によく雑誌を持って行っては、
友達や先輩、さらには先生たちと好きなバンドや
おすすめのバンドを共有し合っていました。

実は私が通っていた高校は校則が緩く、高校1年生時代と高校2年生時代の担任の先生がX JAPANのYOSHIKIさんの根っからの大ファンだった。
他の先生にもLUNA SEAなど黄金時代を築いた風雲児たちのファンがいた。
ちなみに、中学3年生のときの担任もX JAPANのYOSHIKIさんのファンだった。
もうヴィジュアル系、略してV系の世界にまみれてしまう生活を送ることになるのは、必然ともいえる環境でした。

ある日、軽音楽部の副部長だった私は、部室で1人雑誌を読んでいた。
そのとき、新人バンドを紹介するコーナーがあった。
6バンドくらいあったと思う。その中の1つのバンドいや、1人の青年から目が離せなくなった。

「この人若そうだけどめっちゃ綺麗な顔立ち…パートはヴォーカル…何この人凄く気になる…!」

すぐさま友達や先生に聞いて回るも、誰もその存在を知らなかった。
まだ本当に駆け出したばかりのV系バンドのようだった。
学校から帰った私は、すぐさまYouTubeにアクセス。
当時、ガラケーは持ち始めていたのだが、動画を観るのはPCと決まっていた。
じゃないと、莫大な携帯代がかかってしまっていたからだ。

「駆け出しのバンドなら、まだPVはアップされていない可能性が高そうだな…」

ダメもとで検索すると、1本だけ動画がヒットした。
公式で出されているライブ映像型のPVだった。
退廃美を前面に押し出したエモーショナルサウンドが特徴的な
V系バンドだった。
メンバー全員から感じられるのは、これからの船出に対する想いと勢い。
そして、私の心を一瞬で奪い去ったヴォーカルは、動画でもカッコよかった。
これがいわゆる現在の言葉でいう、沼落ちの瞬間だった。

ライブやインストアイベントに足を運び続けた6年間

6年も通い続けると、友達や顔見知りの知り合いもたくさん増えて、
最前列を牛耳っていたお姉様方ともよく会話するようになり、
次第に私はどマイナーバンドのバンギャとして生きるようになりました。
学校が終わるとすぐに高田馬場AREAに移動して最前列か柵、二列目あたりにちょこちょこ入っている、たくましいバンギャに育っていったのです。

さらに6年も通っていると、メンバー全員から認知を貰っている状況になっていきました。
つまり、名前も顔も完全に一致して覚えてもらっている状況でした。
では、あのヴォーカルとはその後、どんな関係になっていったのでしょうか?

結論から言うと、可もなく不可もなく、ごく普通のファンとバンドマンという関係性でした。
どマイナーバンドでよく横行していた“繋がり”も一切ありませんでした。
単純に、タイプじゃないと言われたらそれまでですが…。
でもそれで良かったと私は思っています。
裏ではわかりません。もしかしたら男女の関係にあった人も
いらっしゃったかもしれないです。
ただ、あの小さなコミュニティでそういう噂話は一切聞かなかったので、
本当になかったんだと思います。

私は、純粋に曲もバンド自体も大好きだったし、
メンバーの人柄も大好きだったので、インストアイベントで他愛もない話をしつつ、
ライブで好きな曲をたくさん聴くこともできて、長く応援できて幸せでした。

でも謝りたいことはたくさんありました。

「ごめんね」の真意

ごめんねと自分を責めた理由は3つあります。
1つ目は学生時代あたり、私は今ほどしっかりとした口調や敬語を歳上に対して使うような性格ではなく、
本当に舐めきった性格をしていました。

メンバーを困らせるようなことを言ったり、意図せず傷つけてしまったりしたこともたくさんあったと思います。いや、ありました。
特に、ヴォーカルの推しには毎回怒られて、時には喧嘩もしていました。
とはいえ、今考えるとほとんどは私が悪い。本当に失礼だししょうもない。
当時の私が目の前にいたら殴り飛ばしていたんじゃないかと思うくらい、申し訳なかったです。
ヴォーカルも当時は若かったとはいえ、そこら辺は凄く厳しい性格をしていたと思います。
でも、それに気づかず、ずーーーっと傷つけ続けてしまった自覚はあります。
本当にごめんなさい。

2つ目は、グッズを買うことを途中でやめてしまったこと。
当時の私はバイトをしていたとはいえ、とにかくお金がなかった。
専門学生時代以降は、特にライブに通うのに必要な時間とお金の捻出が厳しかったです。
円盤は、東京都内で開催されるインストアイベント分買ってはいましたが、それでも厳しいときは2ヶ所しか行かないという選択を取ったこともありました。
こうなってくると、通常チェキやタオルなどグッズにかけるお金は最小限でした。
最初はチェキもめちゃくちゃ買っていましたが、最後は一切買っていませんでした。
大人になるにつれて、チェキにお金をかける必要性も感じなくなっていったのです。
しかし、バンドの経費の根本的なところは、グッズの収益が大きいと後で聞きました。
ただ、知った時にはもう遅く、もっと早くこの仕組みを理解していれば良かったと思っています。
本当にごめんなさい。

3つ目。これは今になってから思っていることです。
実は、私には夢がありました。
雑誌やWEBメディアを作る側の人になりたかったのです。
つまり、クリエイティブ職の部署がある会社に入って活躍がしたかった。
専門学校に行ったのも、これを一から学ぶためでした。
そのため、バンド全体で私の夢を応援してくれた時もありました。なんと物理的に。
どういうことかは残念ながらお話しできませんが、
とにかくメンバーの皆さんが協力的だった事実だけは、ここに置いておきます。
そんなこんなで、私はその後7年くらいはクリエイティブ職に従事することになりました。

夢が叶ったのです。

しかし、働き方やハラスメント問題がこれだけ浮き彫りになっている時代。
私は年齢や体力、将来のことも考えて創造することを諦めなくてはならなくなりました。
詳細な理由は伏せますが、事務にジョブチェンジしたのもこの先社会人として生き残るために、
根本から生き方を変えていこうと思ったのもあります。

バンドの解散後、ヴォーカルの推しは今何しているのかはわかりません。
でもあの中で一番背中を押してくれたのは紛れもなく、ヴォーカルの推しでした。
最後まで私の夢を応援してくれました。
だからこそ頑張ることができて、夢が叶ったのかもしれません。
しかし、バンドの夢だった「日本武道館でライブをする」という夢を、
諦めさせてしまったのは自分にも責任があると思っています。
グッズをもっと買えば良かった。ライブにもっと行けば良かった。
考え出したらキリがありません。
私の夢で犠牲になったんじゃないかと思うときもあります。
本当にごめんなさい。

でも、ありがとうございました。
たくさん夢を見させてもらいました。

最後に、最愛のヴォーカルの推しへ

たくさん迷惑をかけてしまい、本当にごめんなさい。
でも、6年間楽しかったです。思い出もたくさんできました。
夢も最終的には諦めることになりましたが、叶いました。
本当にありがとうございました。

これはなんか違うかもですが…。
前途の通り、本当にタイプじゃなかったのかもしれませんが、
会えなくなる最後の日まで、手を出さないでくれてありがとうございました。
多分、あなたの行動一つで私の人生は大きく変わっていたかもしれません。

あと、1年前くらいでしょうか?
最後のインスタライブでの配信のとき「俺はもう歌わない」なんてこぼしていましたが、そんなこと言わないでください。

あなたの心震わすVoiceのおかげで、私の人生はここまで豊かに、楽しいものになりました。

「俺は何もしていないし、変えたつもりもない」

そう言われてしまえば元も子もありませんが、夢が叶ったことは事実です。
どうかもう二度と会えなくても、せめてこれからのあなたの人生が幸せなものになることをこれからもずっと願っています。
それが私にできる最大限の“推し”だと思っています。

どうか、お元気で。


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