選手から「戦術ってなんですか?」と質問をされた場合、あなたはどんな受け答えをしますか?(サッカー指導+スポーツ教育学のお話)
こんにちは、ジョゼ佐藤です。
突然ですが、質問をさせていただきます。
いきなりこんな質問をぶつけてしまってすみません。
m(_ _)m
大変恐縮ですが、考える時間は1分で答えてください。
ただし、スマホで検索するのも、手持ちの書籍を参考にするのもおやめになってください。
自分の頭で考えてみてください。
それではお願いいたします!
m(_ _)m
どうでしょう?
どのような事柄がイメージできましたか?
こういう話に、
正解・不正解はありません。
あなたが自分の頭で考えて答えを出すことが大事です。
いかがでしょうか。
では、あなたが今、パッと思いついた『戦術』のイメージを紙に書き出してみてください。
いかがでしょうか。
この質問をされて、あなたがパッと思いつく答えが、あなたのイメージする『戦術』なのです。
どうでしょう?
意外と難しかったのではないでしょうか?
私もいきなり誰かからこのような質問をされたら、「エッ?」(*´・д・)
と思います。答えを考えてしまいます。
ですが、そのときにあなたが頭の中でイメージできることが、あなたの考える『戦術』のイメージなんだと思います。
あなたの頭が疲れてしまったのでしたら、申し訳ありません。読むのをここでやめてしまっても、かまいません。
「それでも佐藤の話に付き合ってもいいよ」
という方は、どうぞ最後までお付き合いください。
ではここで本題に入ります。
今回は、
という話です。
よろしくお願いいたします。
私は現在、主にジュニアのサッカー指導をしています。特に、幼児~低学年の児童を中心に担当させていただいています。
ジュニアの選手と一緒に活動をしているので、毎回必ず数名の選手から相談や質問をしていただきます。
中には将来的にサッカーの世界に関わりたいと考えている選手もいますので、
「コーチ、サッカーの戦術ってなんですか?」
「ねぇコーチ、戦術ってどういうこと?」
といった『戦術』に関する質問をいただくこともあります。
あなたでしたら、小学生の選手にこのような質問をいただいたら、どのような答えをされますか?
いかがでしょうか。
小学生の選手たちは、サッカーに対して夢や希望をもった未来ある選手たちですが、まだまだサッカーの知識については知らないことの多い子どもたちです。
『戦術』
とコーチからいきなり言われても、それが具体的にどのような事柄を指すのか、まだまだ理解をしていない選手がほとんどです。
そんな小学生の選手たちに、どのような答えをするのが、彼ら・彼女らにとって有意義な経験となるのでしょうか。
ではここで、模範回答と言えるものではありませんが、私の場合の回答例を申し上げます。
登場人物:指導者(私)、選手Aさん、選手B君(3名)
選手Aさん「コーチ、サッカーの戦術ってなんですか?」
選手B君「ねぇコーチ、戦術ってどういうこと?」
指導者(私):
はい、わかりました。
質問をしてくれてありがとう!
まず小学生のサッカー選手が『戦術』について考えるときに必要なことは、
『戦術』=『作戦』
と考えてみたらどうだろう。
みんなは、学校の体育の時間のドッジボールや遊びの時間の鬼ごっこのときに、仲間と相談しあって『作戦』を立てたりしないかな?
その、『作戦』を立てたときに、具体的にどうやって勝負に勝てるかの《方法》を考えるよくにもなるよね?その、《勝つための方法》が『戦術』ということだとコーチは考えるよ。
だから、プロサッカーチームや日本代表のチームが『戦術』と言って話していることは、
チームで『作戦』を立てて、では具体的に(詳しく)「どうしたら相手のチームに勝てるか、その方法を考えてみんなで相談すること」が作戦でもあり、その勝つための方法が『戦術』ということだよ。
選手Aさん、選手Bさん「へぇー。では、テレビの日本代表の試合の時に『フォーメーション』とか『スターティングイレブン』と言って選手の写真を出しているのは、作戦のことだったんだね!」
指導者(私):そういうことです。
選手Aさん「でも、それじゃあ戦術が作戦ということなら、監督やコーチが立てるんじゃなくて、選手だけでよくないですか?」
指導者(私):そうですね、実際に試合をやるのは選手たちなので、監督やコーチが作戦を立てる必要はないかもしれませんね。
でも、なんで監督やコーチが作戦を立てるかと言うと、これにはちゃんとした理由があるんだよ。
選手Aさん「えー!?それはどういうことですか?」
指導者(私):それはですね、選手たちだけで作戦を立てられることもあるけど、選手たちだけで作戦を考えるだけでは、試合に勝てないこともあるんだよ。
というのも、
監督やコーチは、選手が考えることのできない作戦や、選手が一生懸命考えても思いつくことができない作戦を考えるのが、監督やコーチの仕事だからなんだよ。
それに、試合が始まったら、選手たちは自分たちのプレーのことで頭がいっぱいになってしまうこともあるよね?
みんなも、自分のことで頭がいっぱいになったら、作戦を忘れてしまうこともあるんじゃないかな?
選手B君「それはありますねー」「緊張したり、興奮していたら、忘れてしまうこともあります」
指導者(私):そうですよね。監督やコーチは、そういうときにピッチの外から選手に作戦をお知らせして、選手が忘れてしまった作戦を思い出してもらったり、ピッチの中にいる選手たちが気づかないことを教えてあげるために選手たちに声をかけるんだよ。
選手Aさん、選手B君「監督やコーチの仕事って、そういうことだったんですね!」
指導者(私):そうなんです、そういうことです。
ところで。
ふたりにはさらに説明をさせてもらうけど、
サッカーの試合には、大きく分けて、2つの『目的』がありますよね?
選手Aさん「自分たちがボールをもっている時は、攻撃が目的です!」
選手B君「自分たちがボールをもっていない場合は、守備が目的です!」
指導者(私):そうですよね。自分たちにサッカーをする『目的』がわからなければ、自分たちが何をしたらいいか、わからないですよね?だから、サッカーのプレーにおいては、《攻撃の戦術》、《守備の戦術》と、大きく分けて2つの戦術があるのです。
選手Aさん「それでコーチが『今は攻撃の時間だから攻撃のスイッチを入れてね!』って言ったり、『今は守備の時間だからDFの準備をしてね!』って言うんですね!」
指導者(私):そういうことです。
だからみなさんは、まず、
と覚えて、練習や試合をやってみてはいかがでしょうか。戦術の意味がわかっていると、監督やコーチの話す『戦術の話』がもっとわかりやすくなるんじゃないかなと、私は考えています。
戦術の話がわかりやすくなると、君たちのサッカー選手としての能力が上がるし、それよりなにより、君たちがもっとサッカーが上手くなってサッカーがもっと楽しくなると思います。
選手Aさん、B君「わかりました!ありがとうございました!」
【会話は以上です】
選手が「戦術ってなんですか?」と質問をされた場合の指導者(私)の受け答えはいかがだったでしょうか?
サッカーに絶対的な正解はありませんから、この私の回答だけが絶対的な正解とはかぎりません。選手と向き合う大人が一生懸命考え抜いて子どもたちに説明をしたことが、その大人と選手にとっての『正解』だとおもっております。
未来のある日本のサッカーの子どもたちのためにも、子どもたちが抱える「戦術ってなんですか?」の疑問や悩みに少しでも答えられるよう、日々お互いに努力してまいりましょう。
そして私の投稿がお読みくださった方の少しでもお役に立てたら、嬉しく思います。
このたびはご清聴を誠にありがとうございました。
以上
補足として:ネットで『戦術』の意味について調べた際、とてもわかりやすい説明文がありましたので以下に引用して記載いたします。
戦術とは、戦略を達成するための具体的な手段を指します。 戦略は方向性や実現への行動といった大まかなフローを示し、戦術によって、実務として具体化していくといったイメージです。 実際のビジネスの日常では、戦術は戦略の中で語られることが多く、あえて、「この戦略の戦術は・・・」といった言い方はしません。
また、『戦術』と非常に類似した言葉の『戦略』『作戦』『戦法』についても以下に説明いたします。
選手たちに説明をする際にも、以下の区別の仕方に気をつけて説明してみてはいかがでひょうか。
戦略:チームが「すすむべき方向」「すすんでいくための方法」
作戦:戦略を実現するためのプロジェクト
戦術:戦略を実現するためのプロジェクトを達成するための具体的な手段
戦法:現場での実務の方法、戦い方
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