「君が上手くならないのはコーチの教え方が悪かったからだよ」と言ってもいいものなのですか?(サッカー指導+アドラー心理学)

こんばんは、ジョゼ佐藤です。
今回は、サッカー指導+アドラー心理学のお話です。
よろしくお願いいたします。

子どもが上手くならないのは、指導者の教え方が悪かったからだ

私は中高生への指導を10年間、ジュニアの選手への指導を16年間務めてまいりました。

その指導経験の結果、

ジュニアの指導では、子どもが上手くならないのは、指導者の教え方が悪かったからだ

と思うことがほとんどだったように思います。

中には『子どもが原因』ということや、『選手の親子関係が原因』ということもありますが、基本的に練習を提供するのは指導者の立場のほうなので、練習が上手くいかない原因をもっているのは指導者だと考えてます。

なので、若い指導者や新人の指導者の方にも、

「子どもが上手くならないのはコーチの教え方が悪かったからだよ」

という考え方をベースにして話すことにしています。

するとそのようなことを言われた若い指導者の方の中には、

“子どもが上手くいかないときに、「君が上手くならないのはコーチの教え方が悪かったからだよ」と子どもに言ってもいいものなのですか?”

“そんなことを指導者が言ったら、選手のほうは自分たちが上手くいかないのを《指導者のせい》にしませんか?(甘やかされた選手になりませんか?)”

といった疑問が思い浮かぶ方も出てきます。

そうですよね、

“指導者が《指導者のせい》だとばかり言っていたら、選手が勘違いしてしまうんじゃないか?”

という懸念事項が生まれて当然ですよね。
でもご心配なく。

アドラー心理学の、

『共同体精神』
『子どもとの対等な関係を尊重する』

という理念の元では、

“子どものスポーツ指導は『教え方』が重要なのであって、素質や能力、才能は関係ない”
(子どもそれぞれがもつ、生まれもった才能を尊重する)

という考え方があります。

子どものスポーツが上手くいかないとき、一方的に「うちの子どもは能力が無い」などと頭の中で思ったり、口にするのは大人のやることとして最悪の行為です。

子どもがこんなことを言われると、まず起こるのが、

《子どものやる気が下がる》

ということです。

やる気が下がれば、そのスポーツへの意欲は確実に下がります。
そして子ども本人以外の方から勇気づけてもらわなければやる気は起きづらく、辛さだけが増していきます。

逆に子どもがそんなときに誰かから、

「あなたに能力が無いのではなく、相手の指導者の方の教え方がたまたま悪かっただけだよ」

と、子ども本人以外の理由を伝えてもらえれば、その子どもの心には余裕ができ、やる気が増えて勇気づけられることになるのです。

(前向きな第一歩を踏み出せるのです)

子どもが勇気づけられ、やる気の第一歩を踏み出したら…

「君が上手くならないのはコーチの教え方が悪かったからだよ」

子どもはこのひと言で心に余裕ができて勇気づけられます。

しかしこれだけでは、勇気づけられて前向きな第一歩を踏み出せただけで具体的に「スポーツが上手くなる」というところまでは届きません。

では、次に何をすればよいのでしょうか?

それは、

“上手くいかなかった練習方法とは別の練習をやったらできるようになった”

という成功体験を一つでも多くもつことです。これが『子どもが上手くいかない』というときに一番最優先にしなければならないことなのではないでしょうか。

では、選手と指導者が、

“上手くいかなかった練習方法とは別の練習をやったらできるようになった”

という成功体験をしたらどうなるのですか?

子どもが上手くいかなかったときに子どものせいだけにはせず、指導者が、

「自分たちにも子どもが上手くいかない原因があるはずだ」

と考え直すことで、それまで気づかなかった改善策が見つかることもあります。

そしてその改善策により、

子どもが少しでも上達をしたら、

“別の方法で練習したら上手くいったね!”

“ホラ!

君の才能がないわけではないじゃないか!”

などと子どもの上達を伝え、一緒に喜ぶことで、子どもはさらに勇気づけられ、上達への道に一歩でも多く近づくことができると思います。

さて。

ここまでお読みくださった方は既におわかりかと思いますが、

“「君が上手くならないのはコーチの教え方が悪かったからだよ」と言ったら子どもが甘やかされた選手になってしまう”

というのは単なる大人の不安(もしくは大人の都合)で、その不安が子どもを不安にさせてしまう要因となるだけのことなのです。

これを言うのがダメなのではなく、『別の方法』を教えられないことが原因なのです。

そこで指導者の方たちは、

《子どものせい》
《親子関係のせい》

にする前に、まずは、

“自分たちに上手くいかない原因があるのではないだろうか?”

という視点を大事にしてみましょう。

この視点をもつことのメリット

これはズバリ、選手たちからしたら、

◎コーチは一緒になって考えてくれる!
◎コーチは僕の(私の)ことを一生懸命考えてくれる!(コーチは味方だ!)
◎コーチと一緒にサッカーをやっている気持ちになれる!

といった、子どもからの『共同体精神』、つまり、『強い信頼関係』が生まれてもいるのです。

子どもたちは『強い信頼関係』をもつことで、より強く、

◎僕は(私は)コーチと一緒にサッカーをやっている!
◎私は(僕は)コーチと一緒に未来に向かって共同作業をしている!

という気持ちになって、勇気づけられもし、やる気も上がっているのではないでしょうか。

選手のスポーツの能力も向上し、選手の気持ちも上がり、指導者の気持ちも上がる…

こんな良い関係になれるのならば、選手が上手くいかないことも自分たちのチャンスとみて取り組むことがベストなのではないでしょうか。

【それでも上手くいかないのであれば】

そしてそれでも子どもが上手くいかないのであれば、またさらに、

“自分たちに上手くいかない原因があるのではないだろうか?”

と自分たちに問い直してみるといいと思います。何度か繰り返してもそれでも子どもが上達しなければ、そのときは、

“これだけ教え方を変えても上手くいかないのなら、手は尽くしたのだからもう仕方ない”

と諦めてもいいと思います。

なぜなら、あなたは全力を尽くしたのですから。全力を尽くした自分を責める必要はありません。

あなたがそこまでやれば、あなたの心の中にも『納得』ということが生まれて精神的なストレスを抱えることも少なくすることができると思います。

完全なる《子どものせい》《親子のせい》はまれなケースです

ちなみに私は何回も繰り返し『教え方』を改善したのにも関わらず子どもが上手くいかない、そして自分を必要以上に責めてストレスを抱えてしまう結果になったことは、まれなケースとしてしか経験していません。

なので、そのときはそのときです。

そのときが訪れるまでは、コーチは全力を尽くして《どうしたら子どもが気分よくスポーツを上達できるか?》について考えていきましょう。

※それでも上手くいかない場合は、私にお問い合わせください。この記事をお読みくださった貴方様に対して、できるだけ誠意をもって対応いたします。

あなたと選手たちのより良好な信頼関係を祈願しております。
このたびはご清聴をありがとうございました。

以上


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