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リモートワーク下のコミュニケーションのヒント(2):心理的安全性がキーワード 永田潤子


リモートワーク下のコミュニケーションのヒント(1)でお伝えした「心理的安全性」について、お話したいと思います。

心理的安全性とは、かのGoogle が成果の上がっているチームの成功要因を探し出すため、膨大なデータを他のチームと比較分析した結果、導き出されたキーワードです。

それは、リーダーシップのスタイルでもなく、勤務形態やオフィス環境でもなく、役割分担でもなく、更には雑談のあるなしでもなく、

「チーム のメ ンバーが 、安心 して対 人的 なリスクを 取れ るとい う 共通 認 識 のある状態 」だったのです。


対人的なリスクを取れるとは、自分の言いたいことや聞きたいことを、他のメンバーからの批判を恐れず、また、羞恥 心 を感じ る こ とな く 、言える、聞けるということです。


評価や批判を恐れない、緊張することもなくのびのびと仕事ができるわけですから、一人一人の個性や創造性が発揮でき、それが高いパフォーマンスに繋がっていたという結果だったのです。

これ、「言うは易く行うは難し」です。


机の上にあるミネラルウォーターを指し、

「このお水、好きですか?嫌いですか?」と聞かれたとしたら、

「えっ、どういう答えを求められているのだろう。質問の意図は何だろう、どんな答えが正しいのかな」と、思考が働きませんか?


単に、好きか嫌いかを答えれば良い場合でも、私たちは正しい答えを探してしまいます。

これが仕事になると、求められている役割、期待、評価に合わせた答えを探そうとするものです。

友達や家族だと、自分の気持ちに正直に言えたり、解らないことを聞いたりすることはできるけれど、仕事になると難しく、逆に仕事だからこそ自分の気持ちや考えを押さえることが良しとしていませんか。

例えば、自分が選ばれる(とてもやりたい)と思っていたプロジェクトリーダーに別な人が選ばれ、上司から「サポート役として頑張ってほしい」と言われたとします。

心の中では、「え~、私、選ばれなかった。悲しい、ショック。」という思いが浮かび上がったとしても、「はい」と答えてしまいませんか。

「実は私自身がリーダーとしてやりたいと思っていたので、正直なところショックです。自分の気持ちを整理するのに、少しだけ時間を頂戴します。その後は、全力でサポートします。」と言える自分自身と、その答えを受け入れてくれる環境が、心理的安全性なのです。

また、他の多くの人と自分の意見が違う場合でも躊躇せずにいえることも、心理的安全性です。

さて、私たちには思考(頭)と感情(心)があるように、言語にも「思考(THINK:~と考えます、~だと思います)」と「感情(FEEL:~と感じます、~な気分です)」の2つの種類があります。

この思考と感情をどれだけ素直に共有できるかが、心理的安全性ともいえるのですが、リモートワークになると、仕事の進捗等の会話、つまり思考の共有が主になり、感情の共有は少なくなる傾向にあります。


特に、リモートワークはローコンテクスト下ですから、顔の表情や体の動き、声のトーンといった言語以外の情報も活用することができません。

加えてリモートワークへの戸惑い、コロナの影響による将来への不安などさまざまなストレスもあります。

強いストレスがあると、「人は自分だけが苦しい」と考えがちであり、他の人もそうだと思えないものです。


程度の差こそあれ、戸惑い、不安、つらさを口に出すことは人を楽にします。
「しんどいことを共有していいんだ」という心理的安全性は、「お互いできることを確認しながらやっていこう」「何かあったら頼ればいいんだ」という雰囲気づくりや一体感にもつながります。

また、「解決すべき課題は、FEELから見えることが多い」ことを、私自身、海上保安庁の現場経験から痛感しています。

例えば、メンバーが「できるかどうか不安です」といった場合、うまく行く方法をアドバイスする前に、「どんな不安?」とその感情を掘り下げていくことで、スキル、やり方、サポート体制、メンタル等、どの支援をすればよいかがお互いにはっきりしてきます。

この場合、「なぜ、不安なのか」と質問するのは効果的ではありません。

この質問自体が、思考(THINK)を刺激するだけで、問題の本質にたどり着けなくなるからです。


リモートワーク下で行き詰まりを感じているようなメンバーには、是非、FEELのコミュニケーションで、感情を共有しながら、課題解決を進めていきましょう。


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