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ストレスを科学的に理解する

人混みに足を踏み入れてはみたものの、何もうまくいかない気がしてTSUTAYAへ立ち寄りその場を後にした。映画『オッペンハイマー』をみに行ったのだが、オンラインの手続きがうまく行っていなかったようだ。スタッフの方に相談すること10分。「ちょっとお待ちください」の声を残して、映画が開始されるまで2度とその人が戻ってくることはなかった。

「うまくいかない気がする」という勘は当たるものだ。組織やまちもそうだが、そこに漂う空気には敏感でいたい。

私が住む街には非常に大きなショッピングモールがある。一番近くの映画館はそこにあった。私は昔からショッピングモールが嫌いだ。家族やカップルだらけで、土日になると皆こぞってそこへ足を運ぶ。祭りか何かか?と思うほどの人混みだ。

私の地元でも同じだ。だいたいドン◯ホーテに集まっている。みんな何しにきているのだろう。そんなに欲しいものや買うものもないのに。

と、一旦愚痴を言ってみたが、そのショッピングモールには大きな本屋さんがある。そして読むスペースやデスクもある。いくつかの本が設置されており、これはマーケティングとしてもいいなと思った。周囲のうるささには目を瞑ろう。イヤホンでカバーできる。

そこで手にしたのが、「心療内科が教える本当の休み方」という本だ。

ストレスには、ショックを受けた「警告反応期」、「ストレスに対して適応力を身につけるための抵抗期」、そして長期間のストレスにより、何らかの疾病とみなされる「疲はい期」がある。私もそうであったが、最初の警告反応期はだいたい3ヶ月。そこでさまざまなホルモンが分泌され、抵抗をつけようと頑張るが、ストレスを抵抗なく受け入れていると、人は間違いなく潰れる。それか、何も抵抗できなくなり、口数は少なくなり、やる気や最悪生きる気力も無くなっていく。

これらを定義したのは、カナダの生理学者セリエ氏だ。

この状態を脱し、回復したとしてもストレッサーにうまく立ち向かえなければまた同じ状況だ。より良い状態で復帰するための努力はしたい。

例えば、自律神経を調整する神経系である「腹側迷走神経」を整えること。そこには「ポリヴェーガル理論」という自律神経に関する新しい理論がある。

ポリヴェーガル理論は米国イリノイ大学の脳神経学者スティーブン・ポージェス博士によって1994年に提唱された自律神経に関する神経理論。「ポリ」とは「複数」、「ヴェーガル」とは「迷走神経」の意味。日本語で表現すると「多重迷走神経理論」となる。この理論によって、生物の防衛反応を理解するための理論的な枠組みを提要したことで、凍りついたような状態や、シャットダウンと呼ばれるような状態がなぜ起こるのかを医学的に説明できるようになった。

上司に詰められた時、例えば「なんでこうなったのか」とか、「どう考えているのか」など一方的な詰問をされた時、最初はしっかり答えられていたものの、回数を重ねるごとに心は折れ、「抵抗しても無駄だ」という状態になっていくことがあった。

これは交感神経優位の状態が長く続き、自分で頑張ってもどうにもならないような状態。自分を保持するために、進化的に古い「背足迷走神経複合体」に交感神経から切り替わるそうだ。体が固まって動けない状態。長く続くと、うつ病にもなる危険性がある。

昭和の時代は白か黒かを上の人が決めていたと思うが、今は違う。しかし、その昭和の人間に育てられてきた人はそういう教え方しか知らないのだろう。負のスパイラルが続いてしまう。

今の時代必要だと思うのは、学校や会社の研修でも倫理学や道徳を科学的に学ぶことだ。自分たちの行動が、次世代や近い人にどういった影響を及ぼすのか。考える必要がある。

しかし悩ましいのは、自らがそこに気づくためのメタ認知がない人が多いことだ。やっぱり行き着くところ、教育なんだろう。

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