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周防内侍が百人一首に残した作品は?

周防内侍すおうのないしが百人一首に残した作品は、、、

─── 目 次 ───
☆作品
☆意味
☆掛詞
☆文法解説
☆鑑賞
☆出典
★関連動画
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☆作品

♪ 春の夜の
  夢ばかりなる
  手枕に
  かひなく立たむ
  名こそ惜しけれ

です。

読みは、

♪ はるのよの
  ゆめばかりなる
  たまくらに
  かなくたた
  なこそおしけれ

となります。

太字二カ所が変わります。

この歌は、千載集の詞書(ことばがき)によると、次のようなエピソードがあります。

陰暦2月頃の月の明るい夜に、二条院で人々が夜通し楽しく語らっていた時のこと。
周防内侍が眠くなって、
「枕が欲しい」
とつぶやきました。
すると大納言藤原忠家(だいなごんふじわらのただいえ)が、
「これを枕にどうぞ」
と言って自分の腕を御簾(みす)の下から差し入れてきました。要するに、「私と一緒に一夜を明かしませんか」と言うのです。それに対して、周防内侍が当然のように、「あなたの腕枕なんていや~よぉ」と、詠んだのがこの歌です。

☆意味

春の夜の
   (儚い春の夜のように)
夢ばかりなる
     (夢のように儚い)
手枕に
    (あなたの戯れの
      腕枕のせいで)
かひなく立たむ
    (つまらない噂が
    立ってしまったら)
名こそ惜しけれ
     (私の名が泣くわ)

☆掛詞

4句:「かひなく」
   形容詞「かひなし」
   「腕」つまり「かいな」
   の掛詞


☆文法解説

2句:副助詞《ばかり》

4句:「立たむ」
   「む」推量の助動詞

「もし、(噂が)立ったら」という意味になります。

5句:係結び


☆鑑賞

大納言藤原忠家の誘いに乗って、腕枕に体を預けて一夜を共にしたら、つまらない噂が立って、悔しい思いをする、というわけです。
ちなみに、大納言藤原忠家は周防内侍に対して次のような歌を返しています。

♪ 契ありて
  春の夜ふかき
  手枕を
  いかがかひなき
  夢になすべき
 (前世の約束ですよ、これも。春の夜深く、あなたに差し出す手枕を、なんで儚い夢に終わらせましょうか。)

あくまでも
「僕の腕枕をどうぞ」
というわけですね。

大納言藤原忠家、しつこいですね。


☆出典

『千載集』雑・961

★関連動画



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