大弐三位が百人一首に残した作品は?
大弐三位が百人一首に残した作品は、、、
─── 目 次 ───
☆作品
☆意味
☆掛詞・枕詞・歌枕
☆文法解説
☆鑑賞
☆出典
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☆作品
♪ 有馬山
猪名(ゐな)の笹原
風吹けば
いでそよ人を
忘れやはする
です。
読みは、
♪ ありまやま
いなのささはら
かぜふけば
いでそよひとを
わすれやわする
となります。
旧仮名遣いは、2箇所。
☆意味
有馬山 (有馬山の)
猪名の笹原 (猪名の笹原に)
風吹けば (風が吹けば)
いでそよ人を(笹の葉が「そよそよ」と鳴ります。その「そよ」ではないけれど「そうよ!」)
忘れやはする(あなたのことは忘れないわ)
☆歌枕
1句:「有馬山」
兵庫県神戸市に
ある山
2句:「猪名(ゐな)の笹原」
有馬山の南東に
あたる、摂津の国
猪名川に沿った平地
現在の兵庫県尼崎市・
伊丹市・川西市周辺
☆序詞
上の句「有馬山 猪名の笹原 風吹けば」までが、
4句の「そよ」を引き出す序詞
☆文法解説
3句:風吹けば
接続助詞「ば」
4句の「人」は、相手の男性
5句:「やは」疑問・反語の
係助詞
☆鑑賞
この歌は、大弐三位が恋をしていた時のもの。
相手の男性がちっとも訪ねてきてくれないので、なぜなのか訊いたら、
相手の男性は、大弐三位に愛されていないのではないかと思って遠慮をしていたようです。
大弐三位はそれを否定して、
「否」→「猪名(ゐな)の笹原」
「ありません」→「有馬山」
と言っています。
「そよ」は、笹の葉が「そよそよ」と鳴る様子を表して、
同時に「そうよ!」という大弐三位の気持ちを表しています。
・・・あなた、どうして訪ねてきてくれないの?
・・・えっ! 私があなたを愛していないと思ったですって!?
・・・そんなこと、ありませんわ(有馬山)
・・・否の笹原ですわ(猪名の笹原)
・・・有馬山の猪名の笹原に風が吹けば
・・・笹の葉が「そよそよ」と鳴ります。
・・・その「そよ」ではないけれど、
・・・「そうよ!」
・・・あなたのことは忘れるはずがありません(有馬山)
大弐三位の言いたいことは、
下の句の「いでそよ人を 忘れやはする」なのですが、
全体として言葉遊びが面白い歌です。
☆出典
後拾遺集/恋二・709
詞書
「離れ離れ(かれがれ)なる男の「おぼつかなく」など言ひたりけるに詠める」
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【大弐三位】
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