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不器用だから

私は中学生の頃に母親から
「あなたは不器用だから同時に2つのことはできない」
と言われた。
今振り返ると、中学生で好きな人ができてウキウキしていた頃だ。
母親は、勉強をおろそかにしてほしくない、と思ったのだろう、
今ならわかる。

でも残念ながら、
この言葉は20代半ばまで私のくさびとして刺さり続けた。

大学で心理学を学んだことで、
母親からの言葉が、自分にとって
「予言の自己成就」になっていると気がついた。

予言の自己成就とは
何らかの予期が単なる思い込みだったとしても、意識的または非意識的にその予期を実現するような行動をとることによって現実になることがある。

予言の自己成就 | 社会心理学 (kagaku-jiten.com)

これをほどくのはなかなかに大変。
母親から発せられた言葉の力はそれはそれは大きい。
この話はまた後日。

不器用だからこそ

フリースクール運営をしていて
本の作成のために卒業生と座談会をしたことがあった。
ある卒業生の言葉が今でも印象に強く残っている。

外に1個自分で(居場所を)つくれたら、あとはもう何個でもつくれるんで。それこそEが、ここが帰ってくる場所って言ってたじゃないですか。最終的に。だから失敗しても帰ってきたらいいから、つくれ!と。

「学校に行かないという選択ーフリースクール経由オトナ行きー」第5章より

フリースクールに来た子たち、不登校の子たちを「不器用」とくくっていいのかわからない、けれども、いろいろな取り組みに二の足を踏む経験をする子が多いので、ひとまずは「不器用」というフレーズを使わせてもらう。

不登校児童生徒数 29万9048人(2022年度調査より)

お願いだから、1つの場所にこだわらないでほしい。
周囲の大人も。
学校に行ける日もあれば、図書館に行ける日もあれば、
フリースクールに行ける日もあれば、ネットの世界にいる日もあれば、
今日どこに行こうか、選べる場所はいくつあったっていいじゃないか!?

一つ居場所が作れたら、何個だって作れるんだ!
「学校」の敷居を低くしてくれ!
子どもの都合で学校に行ったり行かなかったりするのをよしとしてくれ!
そして、戻れる場所として学校が存在してくれたら、子どもたちは
もっと活き活きするんじゃないだろうか。
だから先生、クラスの不登校の子を「もう来ない子」にしないでください。
「フリースクール行ってみたけれども、意外に学校の方が楽やなと思った」
とか発見をもって学校に行こうする子もいるから。

もちろん、「学校もう行かへんし」と言って、
学校を辞める子もいる。
そうやって決めるプロセスが子どもを成長させる。
それも、成長のプロセスとして受け入れてほしい。

もう一度、不器用だからこそ

不器用だからこそ、あれやこれやと試行錯誤した方がいい。
経験してみると、「ありやな」「なしやな」と
判断する材料が出てくるから。

不器用だから、いろいろな経験をすることを辞めるなんて、
どうかしないでほしい。

不器用だからこそ、あれもこれもやったらいいじゃない?
母親からの魔法の言葉に縛られたから、よけいにそう言いたいのかもしれない。

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