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#7 「ひまわり🌻」

地元のイベント会場に向かう。
スタジアムに着くと、
見慣れた高校の顧問の先生方が
「お、イベントマネージャーの塚越さんが今頃おいでになったぞー」
本部で大声で主張する宮本統括補佐…
「いや、7時に集合って…言われましたので5分前に着くように来ましたが(汗)」
「もう終わってるよ準備は!」
と、到着早々にいぢられる。
「ゆーたは、とにかく記録!」
「はい!任せてください」
と、担当の役員の渡邊さんと二人で流れを確認。
とにかくやりやすい流れパッケージを考える。
「ゆーたはさー今なんの仕事してるの?」
「大会運営のマネージャーです…みなさんが羨ましいです。戻れるなら教員に戻りたいですよ。」
「で、世界大会のチケットとか…」
などと、世間話に花が咲きつつ、
高校生の試合は朝が早く、
すぐに仕事にかかる。
1試合目は9:30って…
30分ハーフの7分インターバルが、4会場で5〜6試合行われる。
それを二人で本部でスタンバイ。
ランナーが記録用紙をデリバリー!
で上がってきた記録をパソコンに打ち込むという作業が、
今回の任務…
そのパソコンに打ち込んだ記録はホームページにアップされるから、
親御さんやファンは速報を楽しみにしているため、
アップが遅かったり間違っていたりすると、
事務所にクレームが入るって仕組みだ。
渡邊さんはあがってきたメンバー表のチェック。
俺は、選手登録から得点経過、選手交代、ペナルティー(反則)の数まで、全て打ち込む。
だいたいそれが15分。
4会場あるので、
終わった頃にはランナーが続々やってくる。
それを6ローテ…
点差の開く試合は本当に打ち込むのがきつい。
それでも、
彼女と話していた。
[てゆーか、今日火曜…ですよね…]
[おっ、よく気づいたね。そゆことですよ。]
[あたしは、お先に日曜日お休みですー]
[いいなー何する予定?ちなみに今日は何時に上がる予定?]
と、何気なく聞く。
[日曜は友達とランチの予定です!今日は19時くらいですかねー]
[今日帰って、また、明日熊谷なんだけど、今日帰りに会えないかなーって]
[えっ!何時頃ですか?]
本当は絵文字で可愛らしい感じのスタンプがあったのだが、表現はできない。
[20時くらいに武蔵浦和かなー]
[あたしは、チームのキックオフミーティングが19時には終わるので、それ次第ですが…]
おっ、会えるチャーンス!
俄然やる気が出てきた。
が、試合の時間が早まるわけでも、試合数が減るわけでもなく…
のらりくらりやる羽目に。
気合いとは裏腹にハイスコアーで、業務を苦しめる。
今日のラストマッチ!
周りの役員先生方は片付け始めて、
「お疲れ様でしたー!また、明後日!」
と、定型的な挨拶をして帰宅に着いていく。
最初来るはずだったたけさんという同僚の先輩の話しとちがう…

『レクチャーして、流れができたら暇だから!』

彼が言ったことを鵜呑みにした自分が馬鹿だった…
なんとか18時には完璧にその日の記録をやり終え、
定型文をリピートするように、
「お疲れ様でした!明後日よろしくお願いしまーす!」
と、半ばスコスコと帰っていった。
車を実家に返すため帰り、
父に最寄りの駅まで送ってもらった。

彼女のいうチームミーティングは、すでに終わっているはずだが、
一向に返事が来ない。
『何かあったのかな…』
と、北鴻巣駅に着いたごろに
19:29[今、終わりました…]
と、『暗げ』なトーンのメッセージが。
トーンを『暗げ』というのは、いささか変な感じがするが、なんとなく絵文字がなければそんな気もする。
続けて、
[私、やっぱり無理です…続けてく自信ないです。チームの仕事離れたいです。]
た、た、ただごとではない。
さらに続けて、
[1時間近くクラブハウスの隅で泣いてました。]
お、お、お…おいおいおいおいおい。
[おじちゃんに話してごらん]
[言われすぎて、もうわけわかんない]
チームのキックオフ(シーズン初めの)ミーティングなのに…どしたんだろうか。
諭すように淡々と言葉をえらびながら。
[続けろなんて言わないけど、ポジティブに言うなら、
それを乗り越えたらさらに強い自分が待ってる。
ネガティヴに言えば、
それ以上の困難が早坂さんに降りかかったらまた、諦めてしまう。
それだけのこと。
何が自分にできていないかを分析してみること。
それでもできなければそれを複数の人で解決できないか相談する。
仲間が困っているのに助けてもらえないチームなら去っても俺は構わないと思うよ。
ただ、その環境づくりを自分ができていたのか?
最善を尽くして理解してもらえないチームならやめるべき。]
事情がわからないだけに、
[頑張れ]という言葉は送りたくなかった。ただ追い込むことはしたくなかっただろうから。
[何をたくさん言われているのか俺には聞いてあげれてないけど、
無理して続けることはないよ。
ただ一つ言えることは、
仲間を助けれないチームはチームじゃない。]
判断できる大人として、
選択肢を、メリットとデメリットを彼女を苦しめないようにと願いを込めて伝えたかった。
[ありがとうございます…よく考えます。私の考えがお子ちゃまなだけです。たぶん。]
[可愛いから許す!]
[そんなんダメーです(笑)]
[俺誰にでも言うわけじゃない。思った事は言うタイプだから。]
[ありがとうございます…でも、お世辞でも恥ずかしいからそのへんで^_^]
少し、落ち着いたかな。
[俺は、叶えられない嘘は言わないようにしてる。]
[叶えられない嘘?実現することしか?]
[少し誤魔化すためにできていないことをできるって言ったりするよ。結果できるから嘘にはしないようにしてる。
だから、人の容姿とかは、口にしたことは本音だよ。]
なんか、持論ばかり述べてるが、
当たり前のことしか言ってない。
彼女はこんな俺の言葉で、
[塚越さん!私のセンセーになってください!]
[保健体育の変態分野の?]
と、ボケてみるとすかさず!慌てたように、
[変態じゃなくて(笑)]
いつものような明るい彼女に戻ってきた気がした。
パッと太陽の光を浴びて顔が上がるような、
季節外れの眩しいひまわり🌻のような人だなって思った。
性格も表情もね(笑)
[だって、仕事できなくて、変態じゃなくてで面白くなかったらモテないじゃん!そもそもモテてないんだから…]
と、自虐を入れると彼女は、自分が今まで凹んでたアルミ缶のような状態が嘘かのように、
[そんなことないですよ!塚越さんモテそう!普通に!かっこいいし優しいし仕事できるし面白いし✨]
[仕事はできないよ…向いてると思われない…気がきかんし、優しすぎるし…
それと…かっこよくはない。]
[私がそう感じてるんです!]
と、逆に励まされてしまった(笑)

でも、よかった。少しでも切り替わってくれたら。

結局この日は、
彼女は、[目が腫れ上がっていて会えない!]ということで、
またの機会に会えたらということになった。

毎日が非常に新鮮だなんて…贅沢だな。

to be next story...

(あとがき)
いつも最後までお読みいただき誠にありがとうございます!
この徒然文章を書いていた頃、本当に病んでおりまして…
書きたいことが支離滅裂なところがあるかと思います。
でも、改めて読み直して添削更新しております。

皆様のコメント(感想)など励みになりますので、引き続きお読みいただければと思います。

よろしくお願い致します☺️


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