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#27 「散歩→?」

赤羽駅東口に出ると、小雨だった。
ロータリーに沿ってマツモトキヨシのあるビルの方に行き、駅前通りを渡り居酒屋探しに路地に入っていく。

彼女は、いつも左側を歩く。

俺の左手には彼女の右手が。
彼女を見ている。
彼女は、話をしている。
【はっ】と俺の視線に気がつく。
「なーにー?」と【?】を浮かべて見つめる。
ハニカム。

俺は【見てたい】だけ。

その【横顔】も。
気づいた時の【恥ずかしそうな笑顔】も。
一生懸命伝えようとするその【真剣な眼差し】も。
吸い込まれていく、その【瞳】も。
少し低いチャーミングな【鼻】も。
たまに尖らせる【唇】も。
ほのかに香る、清汗とシャンプーの入りじまった彼女の【香水】も。
彼女が思う【ダメ】なところも、【良い】ところも。

上げたらキリがない。

赤羽の飲み屋街を北に歩いて行く。
が、どこもかしこも週末で、繁盛で極まっていた。
ここいいなってところはやはり、どうにも、ごった返していた。

「なかなかいいところないね」
と言うと、
「私は、ゆーたさんと歩いているだけでいいんだもーん」
女子力高い、ポイントが高い、さらっと言える恵。
俺は、恵の掌の上だなーっと。

と、ハッと我に返ったのか、
「誰にでも言うわけじゃなく…て、ゆーたさんだからで…」
顔を赤らめる。

可愛い

「ぶりっこなんかと思った〜(笑)自分でもそれは絶対そんなんと違うーって言ってたからねー」
「そうだよーだ!よった振りして、「ちょっと酔っちゃった」なんて柄にもないこと言えないもん!」
「言ってくれたら、ちゃんとエスコートとキスはしちゃうけど?」
「ゆーたさんならいーの!」

俺も、彼女とこうやって歩いているだけで本当に【幸せ】なのかもしれない。
そうすると、アルコールがそろそろ欲しくなってきたのか、
「ほんとどうしますー?」
「カラオケ…はどう?」


間が空き。

「ギフト聴きたい…かな。歌ってくれるなら行こ。」
と、意を決したのか少し弱々しく言った。
「もちろん。歌うよ。だって歌いたいから!」

駅前の交差点。
信号が青に変わるのを待っていた。
信号を待つ群の最後尾だった。
彼女を抱き寄せてキスをした。

意表をついてキスをしたものだから、彼女は「うーっ!?」って一瞬【きょとん】とした。
だけど、誰にも気づかれない…
気づかれても別に気にしないのは俺だけ。
目を開けてキスをする。
彼女は最初は目を開けていた。
が、受け入れていたのか目を閉じる。

「もう。ずるい」
「俺は、ずるいのさー(笑)知らなかった?」
「ゆーたさんは、サプライズしすぎなんだから!」
と【ぷー】ってほっぺたを膨らませていたが、目は笑っていた。

信号はいつの間にか青になっていた。
一瞬出遅れた出走馬のように、最高峰をカラオケ店を目指して、誰も知らないレースをしながら、
自分たちのペースでゴールを目指した。

To be next story…


(あとがき)

だいぶ更新にかかってしまって大変申し訳ありませんでした…でも、今回もちょい出しですみません。

2人の距離感が、もっともっと急接近出来たら良いなって❗️

次の更新はなるべく早めに頑張ります🌻

引き続き宜しくお願いします❗️


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