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『情報社会のハッキングライフ』ショートショート小説

俺は、ハッキング能力に絶対の自信がある。

俺にかかれば、どんなセキュリティも破れる。

その力で全て欲しいものを手に入れた。

2050年のスマホには、持ち主の情報がまとめられている。

持ち主の容姿、好み、能力、所持金、趣味、これまでの行動、これから何をしようとしているか、などが詳細に書かれている。

それは、自分で入力するわけでなく、持ち主の好みが変わるとスマホのプロフィール情報の好みの欄の内容が変わるように、持ち主が変化するというようにスマホのプロフィール情報は勝手に変わるようになっている。

国の治安を守ったり政策をするのに都合がいいのだろう。

国に許可された極一部の人間以外の普通の人は、スマホから自分以外の情報を見ることができない。

だが、俺にかかれば、他人の情報を見れてしまう。

俺にとって、この情報社会は最高だ!!

もちろん犯罪だが、相手のスマホにまったく痕跡を残さず、侵入することが俺にはできる。これまでいろんな人の情報を見てきた。

以前、とある高級レストランで自分の仕掛けたWIFIから侵入した。

やはり、こんな良いものを食べている連中は、すごい金持ちだな。

医者、政治家、経営者、の人たちがどうやってお金もちになったか知ったところで、今から真似できやしない。。

おっ、株だけで年収が億の人がいる!

この人と同じように株を買ってみよう。!!

そうして、今や俺も金持ちの仲間入りだ。!

欲しいものは全て手に入れたいのが人間の性だ。

俺は恋をしている。

行きつけのカフェがある。そこには、とんでもない美人な店員が働いているのだ。

俺は、あらかじめ、その人に恋人や好きな人がいないことと理想の相手を把握している。

さらに、絶叫マシーンが好きだが、周りの友達は、絶叫に乗れないことも把握済みである。

理想の相手象の顔にできるだけ寄せてメイクや髪型を変えてもらった。スーツを着て、ほどほどの筋肉もつけた。

ポケットに絶叫マシーンで有名なテーマパークにチケットと連絡先を入れて、準備は万全。

あとは、自然にさらっと連絡先を渡されるのが理想みたいなので、その勇気が出るかどうかだ。

「ご注文は何になされますか?」

「ブラックコーヒーを1つ」

「いつもありがとうございます。」

「いえいえ、こちらこそ」

俺は、ポケットからチケットを出して、さらっと言った。

「このテーマパークとか興味ないですか?」

「あっ!ずっと行ってみたかったんですよ!!周りに一緒に行く人がいなくて」

よし!いい感じだ!良かった知ってて。と内心、すごい喜んだが、スマートさを装った。スマートな男性が好みのようだから。

「一緒に行きましょう」

とスマートにチケットと連絡先を渡した。

「私の連絡先です。」

飛び上がるように嬉しい。だが最後まで、冷静でスマートな男性を装った。

目的も果たし、コーヒーも飲み終わったので、会計しに行った。

「ありがとうございます。。また」

「ご馳走様です。。 帰ったら連絡します。」

と小声で言った。

そして帰ろうとした時

「ちょっといいですか」

と男の声が後ろから聞こえた。

あれっ彼氏はいないはずだが、、ライバルか、、

「私、実はこういうものです」

そこに書かれていたのは、警察サイバー犯罪科

「スマホ見せてください」

「趣味、他人の情報を見ると書かれていますね。こちらを証拠として逮捕します」

「あとここのカフェの店員に恋をしていることも調査済みなので、張らせてもらいました」

「この情報社会は、最悪だ。。。」

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