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個展まで、振り返り。その5(SOTAI)

2021〜2022年は、大阪を中心にさまざまな企画やグループ展に参加した。

個展からスタートし、自分が表現する基盤となるようなモチーフやテーマをここ数年推敲しながら展示をしている。
その中でも人型のモチーフ"SOTAI"の存在は大きい。

初個展”People”は、社会とともに生きる人々を描いた展示だった。
この個展タイトルのために作った人型のピクトグラムが”SOTAI”。
この大人のような子供のような、女性のような、男性のようなバランスで保っている人型を、のちにSOTAI(素体)と名付けた。
フィギュアなどの素地となる立体物を素体と呼ぶので、人の基本形・ベースの意味を込め、誰もが当てはまることができる概念としてSOTAIと呼んでいる。

今はほとんどの作品にこのSOTAIのピクトグラムが入っている。
社会の中で生きる以上、記号的にならざるおえない(母親、父親・・などの枠組み)人間の表現としてSOTAIを使用している。シルエットはポップでキャッチーに見えるが、さまざまな人の存在をポジティブなメッセージで表現していきたい。

私はあまり自分のセクシャリティを前面に話さない。
(もともと必要があるときにだけ話す、というスタンスをとってるから)

それは作家活動を始めたときにセクシャルマイノリティであることを自分より先に出してしまうと、その分野の表現でしかない人と思われてしまうのを防ぎたかったからだ。
なので作品を観てから初めてお会いする人は私を見て少々驚かれる方もいる。しかし同様に、SOTAIで表現する意味も同一に届いているのでは、と最近感じる。

私は単に世界は多様性に満ち溢れている、ということを表現しているわけではない。
というかそんなことは全く言っていない。

そう感じられていたのならそれは私の表現の仕方が悪い。
SOTAIというアイコンに頼りすぎてる部分もあるのだと思う。
しかしSOTAIがもつ表現の可能性をもっと考えていきたい。
彼らは集まると少し神秘的すぎてしまうが、それぞれに存在する理由があると思って描いている。

鑑賞者がそれぞれSOTAIを観てなにかを感じられるよう、私は作品を作っている。
今回の個展では、新しい表現方法でSOTAIを描いている。
作品を観た反応が待ち遠しい。