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バトンタッチ

「おかあさん、まだま村の天井を見てごらん!あの黒光りする梁は、2、3百年前の昔の人たちが使っていたものなんだ。あの柱も、床も、いろりも、箪笥も、火鉢も、長い年月を経てもなお、昔の人たちの精神が息づいているんだ。そこに価値を見出さない人は、解体して燃やして更地にしたら終わりだけど、僕は年月を経てもなお精神が生き続けるものに心が惹かれるんだ。」

先日、息子がまだま村で言いました。

「30年前、全国から20軒分の古民家を集めて、縄文竪穴式住居を建てた
お父さんは、日本の美しい心、縄文の心を取り戻そうとして、ここを建てたはずだよ。」

私の貧弱な発想とこの建物の理念とは、まるでかけ離れていることは、私の心の中でずっともやもやした感じで残っていました。

夫が、多額な資金をかけて建てたこの建物が、いつのまにかテレビや新聞雑誌でもてはやされ、たくさんのお客さんが次から次に来られました。テレビの画面で、縄文人の格好をしてふざけ合うタレントの姿が映し出されるのを見ても、私は何の違和感も感じなくなっていました。

「まだま村は、古い物が合う。木や家具、食器、布、小物、、、そのままだったら骨董屋と変わらないけど、それを現代風にアレンジして、おしゃれに再生させるんだ。何人かのアーチストを知っているから、彼らと協力し合って
新しいまだま村に塗り替えたいんだ。」

「まだま村の建物も古い古材を使って現代風に生きかえらせたんだから、
一緒やね、やっとまだま村も波長の合う空間になるかも。」

私は別に、まだま村に執着していたわけではなかったけど、建物を維持するために必死で今まで頑張って来たことは確かでした。でもこれからはまだま村の原点に戻って、日本の古い物に手を加えて、現代風にアレンジした芸術作品をまだま村に展示してもらって、また沢山のお客さんに来てもらいたいとおもっています。

今まで飲食に来てくださったお客様、長い間ありがとうございました。
縄文ランチから愛情ランチへ、、、これも「 おしまい 」です。

これから息子にバトンタッチします。どんなまだま村に変身するのでしょうか?これも楽しみです。

お客様に、コーヒーとかケーキくらいはお出しできると思います。


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