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夕方の海とおじいちゃん

両親はずっと共働きで。
とにかく家計が大変だったのでしょうね。
2人とも朝から夜遅くまで働いていました。
私の親世代にはよくある話なのかもしれません。
その頃の話は、何度も聞いてます。
私が反抗すると、必ず苦労話を聞かされて怒られるので。

親の苦労はわかってはいるのですが、小さかった私と妹もそれなりに大変でした。
おじいちゃん、おばあちゃんの家に預けられる事が多くて。いくらおじいちゃん、おばあちゃんといえども子供なりに自分の家ではないという感覚はあり、気を使って過ごしていました。
おばあちゃんは、ご飯を作ったり、お風呂とか、次の日の保育園の準備もしてくれました。けど、母親ではないので、保育園の事はよくわかっていませんでした。
保育園のお遊戯会があり、妹が白いタイツをはいていかないといけなかったそうで。おばあちゃんに説明しても、おばあちゃんは理解してくれなくて。赤いので良いと言って、赤いのをはかされたそうです。保育園で、先生に注意されたようですが、妹にはどうすることもできませんでした。お遊戯会では、1人だけ赤いタイツだったそうです。よくがんばりました。

そんな私たちを、おじいちゃんは「かわいそうだ、かわいそうだ」と言ってました。
おじいちゃんだけが、その頃の寂しい気持ちに寄り添ってくれました。
おじいちゃんの家は海に近かったので、預けられると、よく海に連れて行ってくれました。
ただ散歩したり、カニの捕まえ方を教えてくれたり、ウミヘビがいたりすると危ないと教えてくれました。
おじいちゃんは、暇になる夕方に海に連れて行ってくれるんですよね。
夕方の海って、より寂しさが増すんです。
おじいちゃんは、それに気づいてないみたいでしたが。
何をしてあげたら良いかもわからなかったんじゃないですかね。

海から帰ると、おばあちゃんがご飯を作ってくれていて。ご飯食べて、お風呂に入って、親が迎えに来るのを待つんですよね。

私にとって海というと、静かな夕暮れの様子なんです。
寂しい気持ちとおじいちゃんの温かい気持ちがセットで。
みんな、がんばりました。

#わたしと海

よろしくお願いします。