22.母がAV女優だと知った日
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夏休み、従兄弟たちの帰省は10日間ほどで終えて帰って行った。
嵐のような毎日だった。
うるさいし、従兄弟たちは喧嘩も多かったし。
父の弟・いわゆる叔父に連れられて近所の森に探検に行ったり、肝試しに行ったりもした。
祖母の畑の手伝いはほとんどが砂遊びと化していて楽しかったし、とうもろこしは一生分皮を剥いたし、一生分食べた。
叔母からは突き刺さる視線を感じたし、従兄弟・弟とはぎくしゃくしてしまったけれど。
それでも従兄弟たちといると、自分が少し”普通”の子供として生活できているような気がした。
みんなが帰ったあとの静寂は、淋しいけれど心地よかった。
がらんとした家に一人ぼっちだったある日、私は従兄弟の影響を受けたのか”父の秘密の書斎”への好奇心が湧いてきた。
そして軽い気持ちで、書斎に入った。
目にしたのはたくさんの書籍やアダルトビデオ。
そこには、母の出演作品もあった。
中にはストリップ劇場で一緒だったお姉さんが移っている作品もあった。
ビデオのパッケージは裸の母。
裏側には、絡むシーンの写真も載っていた。
私は混乱した。
母はストリッパーなのだと思っていた。
ただ裸になって踊るだけの仕事なのだと。
母だって「ダンサー」だと自分で言っていた。
でも違う・・・?
そういえばストリップ劇場で「女優」と言われるお姉さんと、言われないお姉さんがいた。
その違いってもしかして、こういうビデオに出演しているか・していないかの違いってこと?
父がそういう仕事をしているのは知っていた。
私の中で、父は”エッチな事をするのが仕事”で、母は違うのだと思っていた。
ショック、という言葉では表せなかった。
それと同時に湧き上がる嫌悪感を表す言葉は、未だ見つけられていない。
それからは、もう何もかもが汚く思えた。
父も、母も、「仕事なんだから」と大義名分を振りかざしていたけれど、こんな仕事の何がそんなに偉いのか。
私に言う「それは下品」とか「言葉づかいが悪い」とか、些細な注意さえ「あなたに比べれば汚くないけど」と心の中で毒づいた。
「私はママの仕事を知ってるんだからね」と言いたかった。
言わなかったけど。
心の中でどす黒い感情が膨らんでいった。
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