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21.従兄弟に父がAV男優だと知られた記憶

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長期連休になると、遠方に住んでいる従兄弟たちも遊びに来ていた。
父の妹の子供たち3人だ。
これがまた容赦がない。
父の書斎には入ってはいけないルールになっていたけれど、従兄弟たちは私の静止を振り切って父の書斎の扉を開けた。
私もじっくり見たことがなかった部屋だった。

そこには父が出演した作品、関わった書籍や雑誌などがずらりと並んでいた。
「うわ~エッチなのがいっぱいある~!」と従兄弟たちは興奮していた。
恥ずかしくて、いたたまれなかった。
そんな私に2歳上の従兄弟は言う。
「気にすんなよ、なっちゃんは関係ないでしょ」と。
良いヤツなのか悪いヤツなのかわからない。

その弟である従兄弟は私と同い年で、兄とは違い物静かで優しかった。
彼は子供ながらに気を遣ってくれたようで、部屋をさらっと一周しただけで、「もう出よう」と言ってくれた。
兄の方はそのまま書斎に残っていて、私の父に注意されていたけど。
「男なんだから何歳だって興味あるよな!ははは!」
ってソッコーで許されていた。

従兄弟たちに父の仕事を知られてしまった恥ずかしさでやりきれなかった。
私は引きずるタイプなのでめそめそしていた。
「だーかーらー!
おじちゃんが変な仕事してるってのはなんとなく知ってたし。
親の仕事なんてなっちゃんに関係ないんだから気にすんな!」
と叩かれた。
やっぱり良い奴なんだか悪い奴なんだかわからない。

それでも従兄弟たちと過ごすしかない。
その中で従兄弟・弟の方とは仲良くやっていた。
というか、何をしてもグズでのろまな私を待っていてくれたのは従兄弟・弟だけだった。

従兄弟たちの母・つまり父の妹は、兄である私の父に懐いていた。
その反面、私の母や私の事は嫌いらしかった。
父の前では優しくしてくれるけれど、おやつや飲み物も私だけは出されなかった。

従兄弟たちの滞在は1週間ほどだったけれど、祖母の畑の手伝いをさせられたり、庭で遊んだり、近所の森を探検したりした。
よくある”田舎の夏”だ。

ある夜、従兄弟がうるさいし狭いから、と言うので従兄弟・弟だけ私と眠る事になった。
従兄弟・弟も、私も物静かな方だったので、静かな夜。
「なっちゃんは大変なんだね。
まだ子供だけど、大人になったら結婚しよう」
と言ってくれた。
嬉しくて、心が温かくなった。
その夜は、手を繋いで眠った。


翌朝、従兄弟や親たちと囲む朝食の中で叔母が聞いてきた。
「昨日はぐっすり眠れた?なんの話をしたの?」と。
そこに躊躇いもなく
「大きくなったら結婚しようねって話したよ」
と答えたのが間違っていた。
ふと顔をあげると、叔母は顔を真っ赤にして怒りを抑えていた。

朝食のあと、みんなが見ていない隙に叔母が私の腕を掴んで言った。
「ねぇ、なっちゃんはパパとママのお仕事知ってる?
絶対にうちの子とは結婚できないんだよ。
まぁほら、親戚だしね!」
と僅か6歳の私に釘を刺してきた。

怖くて固まってしまった私に従兄弟・兄が助け舟を出してくれた。
「結婚って弟が言ったんでしょ?
なっちゃんは何も悪くねーじゃん。
ババアは放っといて行こう」

「なっちゃんは気にすんなよ。
ババアはこういう人だから、何も信じちゃだめだよー」
と従兄弟・兄は言う。
粗暴で人の言う事は聞いてくれないし、すぐに弟を泣かしていたけれど、彼はどこか親の事を俯瞰で見ている子供だった。

彼の親もまた、今で言う”毒親”だったのかもしれない。
従兄弟・弟は叔母に呼び出されて何かを真剣に怒られていた。
それから彼が目を見て話してくれる事はなくなってしまった。


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