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15."愛情の差"で子供を比較して洗脳

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両親がストリップ巡業のないオフの期間も、生活は一変した。
今まで私を連れて出かけるのなんて、”大人の世界”ばかりだった。
ディスコやカラオケ、ストリップの稽古・・・
それが、隣の市の大きな公園やショッピングモールに変わった。
母親を亡くした従姉妹たちのことを
「かわいそうだから」
遊びに連れて行ってあげるのだと言っていた。

変化したのは、お出かけ先だけではない。
従姉妹たちと走り回ると
「本当になっちゃんは遅いのねぇ」
従姉妹たちとボール遊びをすると
「なっちゃんは反射神経も悪いのねぇ」
と、何かにつけて比較されるようになった。
従姉妹たちとビーズで遊べば
「なっちゃんは手先も不器用なのねぇ」
従姉妹たちとお絵かきをすれば
「これだけ色々と連れ歩いたのに、センスが悪いのね」
そして最後にトドメを刺される。
「要領も悪いもんね」

母にゲームセンターに連れて行ってもらった。
「みんなお小遣いで遊びなさいね」
と母は言うが、私はお小遣いをもらっていなかったし、従姉妹たちも明らかに手ぶらで来ていた。
「え、お財布持ってきてないの?
も~本当に要領が良くて賢いのね。
今日はおばちゃんがお金を出してあげる」
そう言って従姉妹にお金を出す母は、本当に感動していた。
「ずる賢いとも言うかもしれないけど、生きるには必要よねぇ」と。
そして私と従姉妹を見比べて
「本当に要領が悪いのね」
と吐き捨てるのだった。

幼稚園児でお小遣いをもらっていなかった私がどうすれば正解だったのか。
今でも謎に包まれている。

度々、隣の市の公園にも従姉妹たちと出かけた。
従姉妹の投げたボールを受け止めきれず、私の顔面に当たった。
鼻が痛くて泣き出した私を、母と従姉妹は嗤うのだった。

母は度々言っていた。
「私は実の両親と暮らした事がほとんどないからね。
実の両親と暮らせるってだけで幸福な事なのよ。
あなたは幸せでいいわね、感謝しないとね」
誰に?
何を?
聞いてやりたかったが、面倒くさかったので頷くしかなかった。
従姉妹たちは生意気な口を聞いても叩かれない。
でも私は叩かれる。
それは愛情の差なのだと言う。

”そんな愛情ならいらないし、クソくらえだ。
誰もそんなの欲しいなんて言ってないし”
私は心の中で毒づく事が増えた。
心の中が真っ黒になっていくけど、どこにも吐き出せなかった。

一事が万事、従姉妹と比較される事にはうんざりだった。
ただただフラストレーションが溜まっていく生活の中で、私は吐き出せる場所を子供ながらに探していた。


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