16.フラストレーションを祖父にぶつけてスポーク外傷
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両親がストリップの巡業に行く間、また祖父母と過ごす時間が増える。
すると、気付いてしまった。
祖父母と従姉妹たちが仲良くなっていることに。
相変わらず祖母は従姉妹に対して、小言や嫌味が多かったが、そこに愛情があるというか、温もりみたいなものを感じた。
逆に私に対しては、更に冷たくなったように感じたけれど、それは気のせいなのだろうか。
言いようのない不安が募っていく。
フラストレーションがぐつぐつと私の中で煮えたくっていた。
私は大人の足で徒歩10分の商店街まで、ピアノを習いに行っていた。
特段興味はなかったが、母は習い事をさせたがるタイプだったのだので、これまでもスイミングや英語も習っていた。
巡業のない時は母の車で送迎してもらっていたが、巡業の時は祖父が送迎を担当してくれた。
祖父は普段から物静かで、必要以外は喋らない人だった。
何を考えているのかわからなかったが、小柄な人だったこともあって怖くはなかった。
そんな祖父に、私のフラストレーションは向くようになっていた。
「今日は車が使えないから歩いていくしかないよ」
と優しく、静かに言う祖父に対してイラついた。
「やだ!絶対に車で行きたい!」
数十分、押し問答が続いた結果、祖父の自転車の後ろに乗る事になった。
自転車の二人乗りを何で知ったかは覚えていないが、強烈に憧れていた。
祖父は渋々了承してくれた。
祖父の漕ぐ自転車の後ろに跨り、のろのろと自転車は進んでいく。
それがすきだった。
二人乗りにも慣れた何度目かの習い事の日、ついに私はやらかした。
自転車に跨った足を内側に置きすぎて、タイヤに足が巻き込まれたのだ。
スポーク外傷という怪我だ。
大量に出血したし、パニックになってしまいあまり記憶はないけれど、祖父に背負われて近所の整形外科へ運び込まれた。
痛すぎて、泣きすぎて、パニックになったが、何よりも
「母に怒られる」
「祖母に怒られる」
それが怖くて、また涙が止まらないのだった。
【つづく】
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