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読書日記

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読んだ本の紹介をしている記事のまとめです。
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#海外文学

20世紀のアメリカ文学・短編小説を読む / J. D. Salinger, Raymond Carver

 短編小説集には独自のよろこびがある。文芸誌などで偶然出会った一本を読むのも良いが、それ…

バナナ星人
1か月前
39

リセットできない世界を生きる話: "Tomorrow, and Tomorrow, and Tomorrow"by Gabriel…

 北斎の巨大な荒れ狂う波。ゲーミングデバイスを連想させる虹色のポップな書体。一度目にした…

バナナ星人
5か月前
9

生産的であり続けろ、という声にとらわれて: "How Should A Person Be?" by Shelia He…

"How Should A Person Be?" by Shelia Heti  Productiveという言葉はいつからか魅力的になっ…

バナナ星人
5か月前
14

記憶の博物館を訪ねる本: "Time Shelter" by Georgi Gospodinov / "The Souvenir Muse…

 私はあまり多くの物を持ちたくない性分なので、不要な物を売りに出したり、人に譲ったり、処…

バナナ星人
6か月前
28

20代のリアルと、ドラマなしに続いていく生活と/Beautiful World, Where Are You(Sall…

 小学生の頃、学校の授業で20歳になった自分へのお手紙を書いて、どこかに託した記憶がある。…

バナナ星人
7か月前
20

The New Yorkerで最近読んだ短編フィクション: 新たな作家との出会いの場

 The New Yorkerを初めて手に取ったのは高校生のとき。「日本のメディアとは切り口の違う記事…

バナナ星人
8か月前
29

Weird Medieval Guys: へんてこな中世の世界を愛する人

 きっかけは、Twitter(X)で見かけたへんてこな投稿であった。 何…………? 暇な中学生のノート? あ、これは砂漠(荒野)の40日のイラストかな。ぜんぜんその辺に食い物ありそうな背景ですが…。  こんな具合で、中世の欧州において描かれたヘンテコなイラストレーションを集めて投稿しているのがOlivia M. Swarhoutさん(X: @WeirdMedieval)によるweird medieval guysなるアカウント。日々の隙間に流れてくるなんとも言えない年

推し、燃ゆ: 魂の死を伴う物語が好き

 推しというものができなくなって久しい。確か中学生くらいまでは、特定のキャラクターが大好…

バナナ星人
8か月前
24

The Midnight Library: IFの人生を眺めるも、両方の旅人にはなれないので

 大学院に入学してから、将来のことを考えている時間が増えた。ここ数年の大学生・大学院生は…

バナナ星人
8か月前
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Outline(Rachel Cusk): 他者との関わりが自分の輪郭を作る

 新型コロナウイルス流行の影響で家に閉じこもって生活していたとき、ふと自分自身に対する認…

バナナ星人
8か月前
14

「雪を抱く」(大白小蟹短編集より): 自分の体を我がものにしたいよね

 大白小蟹さんの短編集「うみべのストーブ」を近所の本屋で見かけて購入した。表題作をオンラ…

バナナ星人
9か月前
10

ポール・オースターが大好き

"4321"を読み返して思い出したこと  初めてポール・オースターの作品を読んだのは17歳のとき…

バナナ星人
9か月前
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HOW TO PRONOUNCE KNIFE/ Souvankham Thammavongsa 故郷の心、故郷の言葉

避難するということ  先日のThe New Yorkerに、ガザ地区出身の作家さんの体験記が掲載されて…

バナナ星人
9か月前
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今年読んだ本 振り返り

今年読んだ本:36冊 お気に入りの読み返し:1冊+Harry Potter シリーズ全巻  趣味に時間を費やしすぎる罪悪感からの逃避のため、母国語を半封印することにした一年。下手に言い訳を与えたせいで「これは勉強、これは勉強……」と言いながら現実逃避した時間が増えたような気がする。特に原語版で再読したHarry Potterシリーズを読んでいる時の自分は現実逃避の極地にあった。Booktuberとかブックレビューブロガーの方々が言う読書のEscapismとはこういうことかと