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『オタク少年の初恋ダイアリーズ』(プロローグ~一学期前半編)
『オタク少年の初恋ダイアリーズ』
己独那 墨
【作者プロフィール】
己独那 墨(こどくな ぼく)
一九九〇年生まれ。温泉県温泉市在住。
子供の頃から、物語を考えるのが好きで、学生時代には趣味で創作ドラマの脚本を書くようになる。ペンネームの由来は、海外ドラマ『ゴシップガール』登場人物のダン・ハンフリー(ペン・バッジリー)が劇中で呼ばれている通称より拝借。
一番好きな映画は、『ウォールフラワー』。
表紙は、”装丁カフェ pixiv小説用表紙メーカー”にて作成。
【主な登場人物】
星茂・・・主人公。
高山昌紀・・・星の友人。
梶尾三四郎・・・星の友人。
楠城耕作・・・星の友人。
松澤亜希奈・・・星の初恋相手。
【本書を読む前に】
本書は、筆者の実体験を基にしています。読まれていて、本筋とは逸れた部分もあるかと思います。物語上必要なので、その辺は何卒ご了承下さい。また、以下に注意して読んで下さい。
(1)本書は、筆者が学生時代に書いた自主小説を、出版目的で手を加えたものである。その為、出来事や思い等、出来る限り当時のまま忠実に再現している。読みながら、当時の雰囲気を味わって貰いたいです。
(2)実体験を基にしていますが。諸事情により、筆者と関わった人物名を仮名。場所や地名、一部出来事等も変更しています。
(3)不適切な表現も含まれています。
(4)Wordソフトの都合上、記号や文字等の構成が見づらくなっています。
以上、これらを踏まえてお楽しみ下さい。
筆者より
【プロローグ ~二〇〇七~】
初恋の人を引っ越しで失って、早半年。未だに傷が癒えない。彼女が、恋しい。初恋の人が居ない学校は、静かだ。あの声。あの笑い声。そして、あの笑顔―脳裏にこびりついて忘れられない。「忘れろ!」と言われても、簡単には忘れられない。元クラスメイトの女子たちには、白い目で見られる。高まる不満を良き友人たちに相談するも、迷惑がられる。自分でも情けなくなる。友人の一人が言った。
「君の初恋は、ドラマみたいだ。小説にしたら、面白いと思うよ」
彼の言葉に感化されて、初恋を体験した一年間の回想録を書いてみることにした。元々、趣味で創作脚本や小説を書くのが好き。思い出を覚えている内に書いておこう。夏休みの期間中、宿題をそっちのけで、バイトの傍ら執筆活動を始めた。
【一学期】
〇予言
―二○○六年四月七日(金)。
主人公である俺・星茂は、四月七日をもって一六歳を迎えた。春休み終盤だけに、忘れられやすい。同じ誕生日に、世界的アクション俳優のジャッキー・チェンが居る。そんな繫がりで、彼の大ファン。
忘れられがちな誕生日に、友人・高山昌紀(以下、高山くん)、梶尾三四郎(以下、カジ)、楠城耕作(以下、耕作)ら三人に無理を言って集まって貰った。場所は、我が家ではなく、高山くんの家。何故?
「リビングを掃除するのが、面倒」
オカンの冷たい一言で、人様の家を借りて誕生日会を無理矢理開いた。以前もクリスマス会を行う際、急もあってオヤジに激怒された。
四人が集まると、決まってやることがある。映画鑑賞だ。この時に観たのは、スティーブン・セガールの『沈黙の戦艦』。劇中さながら、お色気お姉さんが飛び出してくるビックリ・バースデーケーキは用意されていない。ただし、両津勘吉並みの眉毛が繋がって見えるヒロインのジョーダン・テート(エリカ・エレニアック)みたいな女性は、正直ゴメンだ。DVDは、カジが持ってくる。彼は、映画好きで、DVDやVHSをたくさん所有。
続けて、二本目『ベスト・キッド』を観ながら食事。俺、カジ、耕作の三人は、近所のモスバーガーでテイク・アウト。俺は、テリヤキチキンバーガーのセット。カジは、モス野菜バーガーのセットとハンバーガー単品。耕作は、チーズバーガーのセット。高山くんは、お母さんの料理。戻ってきた高山くんが合流するなり、「俺抜きで先に観るなよ!」と怒られた。だいぶ巻き戻して、再上映。普段観ようとしない耕作も、珍しく食い付いた。彼は、空手を習っている。自分が興味がある映画だと観る。好きなジャンルは、柄にも似合わず恋愛映画。
幼稚園、小学校、中学校と同じ学校で過ごしてきた四人。高校でも同じ学校へ通う。春休み終盤ともあって、学校に提出する宿題に追われていた。折角の誕生日会が、勉強会へ。成績出木杉くんの高山くん先生の下、教えて貰いながら宿題を進める。そんな中、俺が一つの目標を放った。
「ここに宣言する! 俺は、高校で好きな人を作るぞ!」
爆弾発言に、三人が揃って唖然となった。カチカチ鳴らしていたシャーペンの芯が折れ、シャーペンを落とす場面も。映画でいうスローモーションでシャーペンが落ちるカット。中学時代は、陰気だった。高校では、心機一転の晴れた気持ちで過ごしたい。カノジョを作って、今まで見下してきた連中を、「ギャフン!」と見返したい! さらば、黒歴史。
「デートをすることになった暁には、君たちに俺の勇姿を見せてやる!」
調子に乗って、そうも言った。声を揃えて「結構です」の一言で却下。誰だって、友人のデレデレしたデート・シーンなんか見たくない。俺としては、コッソリ影ながらサポートして欲しくて言ったつもりだった。唯一、笑いながらも「もしもの時は、応援するよ」と高山くんが言ってくれた。
叶いっこなさそうな予言をかまして、誕生日会を閉めた。
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