咲洲メガソーラーと「副市長案件」について【山口さん、間違ってますよ!】
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イントロダクション
前回の記事に少し反響があり、ちょっと喜んでいたりします。
クソなげぇ駄文を読んでいただき感謝しかありません。
ちなみに私がこのような記事を投稿している趣旨ですが、あくまで公正な目線で行政活動をお伝えしたいからです。
一部橋下市長を擁護しているという批判もありましたが、そのような意図は全く無く、むしろ橋下市長が不正を働いているのであれば、それは厳しく糾弾されるべきですし、私はそうしたいです。(というか私はむしろ橋下市長に給料を減らされた側でくぁwせdrftgyふじこlp;)
ただ、どうしても今回の上海電力騒動については、行政マン視点からすると違和感しかありませんので、「世の中そんな一人の人間が都合よく操れるようなもんじゃないですよ」ということをお伝えしたいです。
これは大阪市のみならず、世の中であふれかえる陰謀論に通ずるものがあるかと思います。
しかし、いろんなものが繋がれば「そのように見えてしまう」というのは恐ろしいことです。世の中を単純化せず、複雑に人が関わり合っているというある意味当たり前のことを思い出してほしいですね。
あんまり深入りする気はなかったのですが、調べていると何となく全容が見えてきました。
さて、今回は咲洲メガソーラーの「副市長案件」について、もう少し深堀してお話します。
山口氏の問題提起
まず、昨日公開された山口氏の以下の記事から見ていきましょう。
私も人のこと言えませんが、超長いのでいくつか論点を絞りましょう。
大筋は山口氏が書いておられるため、まずは記事を読んでいただけたらと思います。山口氏の問題提起は概ね次のようなものです。
夢洲メガソーラーは平松市政からすごく周到に準備され、進められてきた。
ところが咲洲は橋下市長が登場後いきなり登場し、超スピーディに入札され、結果的に上海電力が手掛けた。
松井市長は副市長案件だと言ったが、これは本質的に橋下案件だ。
当時副市長は、村上、田中、京極の3名であったが、このうち市長代行をしていた村上が怪しい。
これに基づき考えていきましょう。
「夢洲ソーラー」と「咲洲ソーラー」の違い
さて、まず両者のソーラー事業は何が違ったのでしょうか。
大阪がよくわからない方にはややこしいので、簡単に説明します。
大阪在住の方なら当然ご存じですが、大阪の港湾部には埋め立てた人工島が存在し、北から順に、舞洲(まいしま)、夢洲(ゆめしま)、咲洲(さきしま)です。
今回舞台となるのは、夢洲と咲洲です。
夢洲には、ご存じ、2025年に万博がやってきます!また、カジノを含む統合型リゾートIRの建設も検討されています。
一方、咲洲は高層なビルが立ち並びます。有名なところでいえば、橋下知事が府庁機能を一部移転した高層な大阪府咲洲庁舎(旧WTC)、ショッピングができる大型複合施設アジアトレードセンター(ATC)、2019年にG20が開催された展示場、インテックス大阪、などでしょうか。
さて、余談はこのあたりにして、本題です。
大阪市ではこの夢洲と咲洲でそれぞれソーラー事業が行われました。
この事業の違いを表にしてみました(ざっくりなので間違い等あればご指摘ください・・)。
これを見て山口氏は疑問を持ったというわけでしょう。
ここで行政マン的な視点で気になるのは、どこの局が実施したのか及び、どういう形態で実施したのか、というところです。
まず、前提ですが、ソーラー事業は環境局のメイン事業だということです。
実際、本事業は両方とも環境局が策定した大阪環境ビジョンに基づき、実施されています。これは大阪市の環境に関する大きな計画です。
つまり、環境局としては、ガチでソーラーをやって盛り上げていきたいと考える一方、港湾局は正直そんなにソーラーへのこだわりは無い、という前提があります。
ここで、昨日の記事で紹介した山本長介市会議員の質疑を再掲します。
つまり
環境局「しっかりとノウハウを取り入れてソーラーをやって根付かせたい」港湾局「未整備の緑地を有効活用したいから手っ取り早くソーラーでも入れるか」
という明確な違いがあるわけです。
その結果として環境局は時間を要するプロポーザル方式を採用し、港湾局はすぐに手続きできる入札による市有地賃借という手法を取ったわけです。
行政運営上、同じような事業であっても、別の手法を用いるということは往々にしてあります。
その手法について、山口氏は「咲洲は無理やり(市長が)賃貸借にした」と主張されていますが、これは事実誤認です。
まず、事業がどのような手法を取るのかは原局で企画します。その上で、順番に上席へと説明していきます。
ここはわかりにくいかもしれませんが行政の基本は積み上げの議論です。下のものが企画し、上へ許可をもらいにいきます。
市長や副市長から指示が入り、組織が動く場合もありますが、それは大きな方針や方向性です。
例えば昨日紹介した「市政改革」などはまさにそうでしょう。「不要な事業は廃止せよ」、とか、「未利用地は売りなさい」、とかそういった号令です。
個別の事業について、市長・副市長からいきなり指示が入るということはかなりのイレギュラーケースで、相当大きな案件や市民全体にかかわるような事業でもない限りそんなことはまず無いです。
話を戻しますと、事業をどんな手法でやるかについて、最初から市長副市長があれこれ指示してくるわけがないのです。そんなに暇ではないのです。
もちろん積み上げていった結果、手法を変えるよう指示が入る可能性はありますが、それは次の項目でお話しすることとします。
「副市長案件」について
さて、山口氏は記事中でこう述べられています。
これについてはあれこれ述べるより、先にこの画像を見ていただきましょう。
大阪市には、副市長が3名います。
大阪市には複数の部局があり、副市長はそれぞれで手分けして部局を見ており、それぞれの局のことは当該副市長へ情報が上がります。
もうおわかりですね。港湾局は田中副市長が担当です。
つまりこの時点で、山口氏は間違えていることが確定なのです。
さらに注目いただきたいのは、環境局も田中副市長が担当だという点です。
カンの良い方ならピンときたかも知れませんが、そう両ソーラー事業は同一の副市長が担当しているわけです!
ここで資料を探してみましたら見事にヒットしました。
大阪市では意思決定の場として「戦略会議(当時は副市長会議?)」というものがあり、ここに特別職が入り、方針を決定しています。
このうち平成24年10月10日付の会議でまさにこの件が取り上げられているのです。この会議の参加者は
田中副市長、環境局、港湾局、都市改革監、財政局長、政策企画室長
です。ここに橋下市長はいません。
会議要旨を見てみましょう。
「コスモスクエア海浜緑地計画地」とは聞きなれませんが、資料を見ればこれは咲洲のことだとわかります。
つまり、咲洲メガソーラーを市有地賃借でやろうという話は田中副市長が参加した公の場で決定されているのです。
ここに橋下市長がどうこうという話は微塵もありません。
これが「副市長案件」の全容であり、それ以上以下でもありません。
終わりに
これを書いている途中で吉村知事がつぶやかれていました。
もう、決着っぽいですね。
私はこれで山口氏を非難したいわけではありません。
物事はフェアに議論されるべきであり、事実で無いことをベースに議論を進めてはいけないと言いたいだけです。
この間の議論を見ているとどんどん別の論点を出して、ゴールポストをズラしているように見えます。
私は疑念を持つことはいい事だと思いますが、まず間違えたことは素直に撤回し謝罪すべきでないでしょうか?
そのうえで、次の論点に進む、という手順で議論してほしいものです。
あと山口氏に言いたいことがあるとすれば、「大阪市に取材してください」ということです。丁寧に事実を追うだけでわかることがこれだけあります。
結論ありきで「疑惑」を語るのではなく、ジャーナリストであればまずはファクトを確かめてほしいものです。
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