見出し画像

オレのデミ・ムーア

2023 1/14(土)

しばらく日記が滞っている。
こういう時は、昔、書いた文章を掲載するのがいいだろう。
ネットには載せていたものの、5人くらいしか読んでなかった
エッセイである。
今回は、2015年に書かれたものだ。
 
デミ・ムーア 2015
 
ブルーレイが出来てからというもの、DVDの家庭での鑑賞も劇場に近いような映像と音響を楽しめるようになった。
思い返せば、VHSビデオの時代は映像も音響も酷かった。
もちろん、その時分は、そんな事は分からない訳で、俺を含めた小市民たちは、劇場で観られなかった映画や懐かしの名作などを、レンタル料金500円を払って観ていた。
当時はレンタル1本、500円だったものの、それを決して高いとは思わなかった。
何故なら、明らかに劇場に観に行くよりは安いからで、しかも借りている間は、巻き戻しては何度でも好きなだけ観られるという、当時としてはありえない位のメリットがあったからなのである。
そしてそれは、あの頃に連載されていたコロコロコミックの「ドラえもん」に描かれていた1コマにも表わされている。
スネ夫の家の広いリビングに集まったいつものメンバーたちが、大きなテレビでヒーローもののような映画を観ている中、ドラえもんがスネ夫に、
「ビデオはいいねぇ、何度でも観られるから」
というセリフがあった位だ。
日本各地に、一気にビデオレンタル屋が普及したのは、俺が小学生5年生の頃だった。
住んでいた場所は割と田舎の方だったが、それでも街にレンタル屋が3軒あった。
「ビデオシアター」
「アニメクラブ」
「じゃがいも」
の3軒だ。
「ビデオシアター」はビデオ屋だと分かるが、それ以外の店名はおかしい。
「アニメクラブ」はアニメやマンガの専門店のように聞こえるし、「じゃがいも」にいたっては、もはや意味が分からない。
インパクトで、少しでも客を呼ぼうとしていたのだろう。
俺は、中でもよく「ビデオシアター」に通った。
ここは、とにかく品揃えがよかった。
そして何よりも魅力的だったのは、新作のビデオを大量入荷していて、しかも、その映画が二ヶ月位すると、レンタル料が安くなるのはもちろんの事、
なんと、それを3000円で購入出来たのだ。
これは当時としては画期的な売り方で、俺は劇場で観て面白かった映画が店頭に並ぶ度に、すぐに店長に「予約お願いします!」と言いに行っていた。
3000円で、好きな映画が自分のものになるという、小学生の俺にとってのアメリカンドリームのような出来事に、お年玉などで貯めていたおこずかいを、すべてそれに注ぎ込んだ。
ちなみに、小学生から中学生にかけて、ビデオシアターで購入した中古ビデオの記憶を辿ってみると、
「俺たちは天使じゃない」(主演、ロバート・デ・ニーロ ショーン・ペン)
「ダイ・ハード2」(主演、ブルース・ウィリス)
「アビス」(監督、ジェームズ・キャメロン)
「プレデター」(主演、アーノルド・シュワルツェネッガー)
「ゴースト ニューヨークの幻」(主演、デミ・ムーア)
「グッド・フェローズ」(主演・ロバート・デ・ニーロ)
これ以上あるはずなのだが、実家に帰省しないと分からない。
俺は、散々レンタルされて、完全に画像が悪くなったこれらの映画を、宝物のように扱って観ていた。
「ゴースト ニューヨークの幻」
のヒロインのデミ・ムーアの顔がブスに見える位、映像も音響も痛んでいたけれど、それ以上に、その映画が、自分のものになる喜びの方が大きかった。
だから、友達が家に遊びに来る度に、ブスな彼女を自慢していた。
今度、久しぶりにブルーレイで「ゴースト」を観てみよう。
デミ・ムーアはあの頃より、とびっきり、いい女になっているだろう。
そんな俺はあの頃より、とびっきり、いいおっさんになっているけれど。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?