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演技と存在感

7年程前のことになります。上映(開封)された映画を見たとき、とても感動し、印象に残った一つのシーンがありました。それを忘れないようにと、そのとき携帯メールに書き込んだその内容を、今回、公開したいと思います。

その映画は『ウォルト・ディズニーの約束』、原題は、SAVING  MR. BANKS です。
内容は、あの名作映画『メリー・ポピンズ』を誕生させるに至った映画製作の裏舞台(実話)を映画化したものです。

ウォルト・ディズニーが原作者に、何度も映画化の申し出をしましたが、頑なに拒まれて、映画化することが出来ないでいました。その様子をみて、誰もが映画化は不可能だろうと思っていました。

そんな中で、ディズニーは、原作者(女性、P.Lトラバース)が映画化を拒む理由、彼女が心に抱えているものは何なのかをようやく探り当てました。
そしてそれを理解し、その上で、ウォルト・ディズニー扮するトム・ハンクス(敬称略)が、原作者扮するエマ・トンプソン(敬称略)を相手に、彼女の正面に座り、彼女の両手を強く握り、彼女の眼をじっと見つめて、「自分も同じような過去を持っている。そしてそこを自分も乗り越えて来た。だからあなたも乗り越えられる。映画化を拒む理由もわかった。映画化するにあたり、あなたが父親に抱いているその思いをリスペクトすることを約束します。」と。落ち着いてゆっくり語るシーンがあります。
このときのトム・ハンクスの凄い迫力、そして圧倒的な存在感。その場に独特の空間、雰囲気が生まれました。これは凄いです。しかもその存在感からエネルギーを感じましたから不思議です。
たった数分間の、この一つのシーンで、125分のドラマがすべて集約され、ドラマが凝縮されてくるから凄いです。
これを見て、役者と言えども、演技だけでそこまで出来るものだろうか、とも思いました。
トム・ハンクス自身が、もともと持っている役者としての才能があって、その上に演技があった。そんな感じだと思いました。
ちなみに、トム・ハンクスという名前は知っていましたが、映画を見るまではどういう役者かは知りませんでした。

映画に限らず、街を歩いていて、何となく存在感を感じる人を見かけることもあります。

存在感だけで、説得する力、納得させる力を持ってしまうことがある、そんな場面を何度か体験したことがあります。不思議な凄い力です。

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