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大地の果てを目指し鈍行列車で北へ向かった話【中編】

鈍行列車に乗り放題の「北海道&東日本パス」を用いて青森県の竜飛岬へ向かう旅行記。前回松島観光を済ませたところまで執筆したため、今回は東北本線の松島駅からスタート。

盛岡を目指す

郡山からずっとボックスシートのある列車だったが、ここからはひたすらロングシート地獄。東北地方の随所で見られる 701 系電車の登場だ。

で、サクッと終点の小牛田(こごた)に到着。

小牛田は南北に連なる東北本線の他に、西から陸羽東線、東から石巻線が交わるジャンクション駅だ。……といっても駅周辺に何かあるわけではなく、地方の田舎駅といった様子だ。

一ノ関行きの列車が到着。もちろん 701 系だ。

この区間はだいぶ利用者が少なく、ワンマン運転のためドアが開閉しない後ろ1両は貸切状態となってしまった。ここまでくると、クロスシートよりも窓の広いロングシートの方が景色を楽しめて良いかもしれない。

あたり一面に広がる田園風景をのんびり眺めながら列車に揺られる。

やがて県境を越え、岩手県に入るとすぐに終点の一ノ関。折り返し盛岡行きの列車はなぜか 15 分ほど遅延しているとのことだ。

新幹線も止まる駅ということで観光地としてはそれなりの規模なのだろう。まあ観光の中心地は一ノ関と言うよりも平泉のような気がするが、駅自体はかなり整備されている印象を受けた。

……と思ったら新幹線側はけっこう無骨な作り。

で、ホームに降りるとちょうど折り返し盛岡行きが入線。盛岡近辺の 701 系は紫色の帯を身にまとっているが、中身は相変わらずロングシート

ところで、始発駅で折り返し列車の到着が 15 分遅延したとしても次の発車が 15 分遅れるわけではないことに注意が必要だ。線路容量に余裕のない路線や時間帯を除き、基本的に折り返し時間にはそれなりのマージンが取られている(特に他の列車と連絡する場合)。そのため、遅延時にはそのマージンを削って発車時刻をなるべく正常な時間に合わせて遅延回復に努めることになるわけだ。実際、今回のケースでもほぼ定刻通りに一ノ関を出発した

閑古鳥の鳴いていた先程までとは異なり、車内は学校帰りの中学生・高校生でけっこうな混雑。田舎において自動車を自由に使えない中高生にとって鉄道は生命線とも言えるだろう。一ノ関の時点でロングシートが1人ずつ空けて座った状態で埋まっていたため、運転席の後ろで景色を楽しむことにした。松島観光で消耗した体力も回復してきたため、ぎゅう詰めになりながら座って休むよりは景色を優先

駅間の景色は相変わらずの田園風景だが、駅周辺は市街化されており各駅でちょこちょこ乗降があった。花巻を越えてしばらくするとしだいに乗車の方が多くなっていき、盛岡の直前では完全に満員電車となった

やはりラッシュ時の混雑を考えるとロングシート地獄も致し方なしか……と思ったが、どちらかと言うと適切な車両数で運用できていないのが原因ではないか。盛岡で折り返す際には2両増結して4両編成となっていたため、物理的に車両が足りないわけではないと思われる。まあ4両だとワンマン運転がきついからなるべく2両の時間を増やしたいというのは理解できるが。

この時点で日が傾いていたため、この日は盛岡に宿泊する。

盛岡観光

盛岡市の中心部は特に有名な観光スポットなどはないと思われるが、市街はけっこう発展しており街歩きもそこそこ楽しめた。前日の福島市がだいぶ静かだったこともあり、盛岡市の人の多さが印象に残った。

一応観光スポットと言えそうなのがこちらの岩手銀行赤レンガ館。残念ながら閉館時間となっており、中に入ることはできなかった。

それにしても、夏ど真ん中にも関わらず夜になるとちゃんと気温が下がってくれるのはマジでありがたい。

北を目指し青森へ

で、翌日。引き続き東北本線……と言いたいところだが、ここからは JR ではなく第三セクターの IGR 岩手銀河鉄道となる。18 きっぷでは乗車できないが「北海道&東日本パス」であれば問題なし。

盛岡からしばらく北へ向かうと山間部へ突入し、車窓からもちょこちょこダイナミックな景色が顔をのぞかせる。またしても貸切状態となってしまったため景色は独り占め。

県境を超えると運行は青い森鉄道に切り替える。といっても、実際に乗り換えが必要なのはジャンクションとなっている八戸

道中、野辺地駅にて日本最古の鉄道防雪林というのを見かける。CLANNAD  ではここから分岐する大湊線のひまわり畑に寄ってから竜飛岬へ向かっていたが、今回の旅程ではスルー。

そんなこんなで、かつて東北本線の終着地であった青森駅に到着。

津軽線でさらに北へ

ここからは再び JR となり、津軽線でさらに北へ向かう。蟹田駅までの便は 701 系電車の2両編成だが、終点の三厩(みんまや)まで直通する便は気動車の GV-E400 系による運用だ。

なお、現在は 2022 年夏の台風による線路被害の影響で蟹田以遠は運休となっているため注意したい。

津軽線はかつて本州と北海道を結ぶ大動脈の一部だったという歴史的背景から、線形はそれなりに良くプラットホームもやたら長い駅が多い。北海道新幹線の開業により旅客輸送の主役は譲ることとなるが、貨物は相変わらず津軽線を通る

海沿いに北へ進んでいくが、オーシャンビューを楽しめる区間はほとんどない。蟹田駅に到着する直前の区間くらいか。

蟹田を超えると中小国信号場。ここで青函トンネルへ向かう貨物と津軽線は分離する。きれいに整備されている貨物の線路と草が茂っている津軽線の線路の対比から、両路線の力量関係をひしひしと感じることができる

やがて貨物の線路は豪華な高架となって離れていく。左奥に見える高架橋は北海道新幹線だ。

高架橋をくぐる。

ここから先はまさに秘境。前面展望が面白いのだが、復旧が進まず廃線となってしまうとこの景色も楽しめなくなってしまうなあ。

で、終点の三厩に到着。

これぞ終着駅といった感じの景色。

ひたすら伸びてきた線路もここで終わりを迎える。

ここからいよいよ目的地である竜飛岬へ向かうのだが、写真を大量に載っけたせいで分量が膨らんでしまったため一旦ここで区切りたい。次回は竜飛岬の観光と、ついでで行った青森観光五能線乗り鉄秋田観光について執筆する予定だ。

なお完全に余談だが、前回の執筆時点では前後編の2部作になる想定だった。うっかりタイトルに【1 / 2】とか書かなくて良かった……まあ前編・中編・後編という分け方もちょっとむりやり感あるけど。

……といったところで今回はここまで。


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