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中高生でも理解しやすいアメリカ合衆国の国際法と国際社会への認識。

米国が【ICC主任検察官らを制裁指定】するという発表を行いました。
これは、2020年6月11日、ドナルド・トランプ米大統領はICCがアフガニスタン戦争に従事したアメリカ兵らへの【戦争犯罪捜査】を承認したことへの対抗措置として、米国民への捜査や訴追に関与したICC当局者への制裁を可能にする大統領令に署名したという事を受けて、このタイミングでの発表はやや大統領選への世論工作の一つでだと考えられますが、アメリカの国際法への考え方が判ります。

ICCとは、【国際刑事裁判所】の事で、英語表記の International Criminal Court を略してICCと簡略表記されます。
ウィキペディア(Wiki)の【概略】を見ていただくと判りますが、国際刑事裁判所(ICC)は1998年7月17日に、国際連合全権外交使節会議において採択された国際刑事裁判所ローマ規程(ローマ規程または、ICC規程)に基づき2003年3月11日、オランダのハーグに設置されました。
裁判官・検察官の任命は、締約国会議(ASP: Assembly of States Parties)によって選出されるという事になっております。
該当事項の対象となるのは、個人の刑事責任に限られて「集団殺害犯罪」、「人道に対する犯罪」、「戦争犯罪」、そして、「侵略犯罪」(いずれも国際刑事裁判所ローマ規程固有の名称)など、国際人道法に対する重大な違反のみを対象としていたとなっています。
まぁ、勘の良い方は、疑問を持った方もおいでではないでしょうか。日本が第二次世界大戦の敗戦後の東京や横浜で行われた【極東国際軍事裁判】は一体何だったかという事です。
今回のお話のポイントはそこではないので別の機会にします。

時事通信社やその他の報道機関によって報道された内容は、トランプ政権がICC主任検察官らに対して制裁指定したという事です。

制裁対象はベンスダ氏と司法管轄部門トップのファキソ・モチョチョコ氏。財務省は同日、米国内にある両氏の資産凍結を発表した。ポンペオ長官は会見で、ベンスダ氏らに協力した人物も制裁対象になり得ると警告するとともに、「ICCによる米国人捜査に関与した者へのビザ発給を制限する」と述べた。(時事ドットコムニュースより

本来なら、アメリカは、ICCに参加していますし、国際法としての【義務】という【拘束】を受けるはずです。
アメリカが【紛争(事変)】中に、アメリカの兵士が【戦争犯罪】を行ったという【告発】がなされれば、当然ながら【刑事事件】として【義務】に【拘束】されて、ICCの検察官の【犯罪捜査対象者は捜査】を受けなければならないという事になります。
しかし、この米国の行動については、【メディア】が批判めいたような【報道】をしておりますが、次のアメリカの国際法及び国際社会に対する【国際法】を使った【対策法】を理解しておく必要があり、闇雲に米国を批判できるものでもないのです。
それについて、多谷千香子著『戦争犯罪と法』 岩波書店 2006年12月5日に詳しいので、引用してみたいと思います。

P.55 2行目
(3)アメリカのICCの対策法
(i)「ハーグ襲撃法」
アメリカは、ICC発行に備えて、American Servicemembers Protection Act od 2002 を、2002年1月23日に制定した。これは「ハーグ襲撃法」とあだ名され、「アメリカは、ハーグの拘置所からアメリカ人を奪還するため、直接的な武力行使に訴えるつもりなのか」とオランダの人々を驚かせた。
アメリカは、そのようなことを考えているわけではないと説明しており、同法の内容は、以下のとおりである。
①アメリカがICCと協力するのを禁止する。協力とは、例えば、連邦裁判所をはじめとする合衆国及び州の政府機関が、ICCの協力要請に応じて、捜査・引き渡し・秘密情報の提供・調査回答などをすることである。ただし、後に、ICCがアメリカの敵国についての事件を扱っているときには、協力することが出来るように改正された。
②アメリカ軍人などがICCに身柄を拘束されているときには、その身柄を自由にするため、すべての必要かつ適切な手段を行使する権限(筆者注:ハーグ襲撃法とあだ名される所以であるが、明文では「すべて必要かつ適切な手段 all means necesasary and appropriate」になっていて、軍事的手段とは書かれていない)を大統領に付与する。
③NATO諸国、その他の同盟国、及びアメリカ国民をICCに引き渡さない旨の98条合意(後述)を締結した国を除いて、ICC締結国には軍事援助しない。
(ⅱ)98条合意=アメリカ人不引渡しの合意
アメリカは、SC決議1422 及びハーグ襲撃法に念をおすように、ICC締結国となった各国に大使を派遣し、いやしくもアメリカ人をICCに引き渡すことがないよう、合意をとりつけようとしている。
なお、ICC Statute 98条は、免責特権を有する外交使節の引き渡しを禁じる国際法上の義務に背くこと、又はその他の条約上の義務に背くことを被要請国に強いることになるときは、ICCは引き渡し要請をしない旨、規定している。同条は、軍人の地位協定、外交使節についての合意、犯罪人引き渡し条約に言及したもので、これらの目的にのみ使うことができ、一般的にある国の国民(例えば、アメリカ人)をICCに引き渡すことを禁じるためには使えない。したがって、98条合意は、Icc Statute 98条に沿うものではないが、形式的文言を借りているため、そのように呼ばれる。
98条合意は、アメリカも98条合意国相手国に対して同様の義務を負う双務的な場合もあるが、片務的合意もある。98条合意の締結方法は、98条合意を結ばなければ、軍事援助及び経済援助をストップするという強引なものである。
なお、98条合意の要点は、以下の通りである。
①アメリカの現役又は軍人・役人、アメリカに雇われた人(外国人をふくむ)、アメリカ人を、ICCに引き渡すことを禁じる。
②引き渡さなかった場合、アメリカ国内での捜査・訴追は、必ずしも義務ではない。

つまり、ICCに参加はしているが、自国民又は兵士はICCへ渡さない、調査をさせないという立場を【条約】【協定】という【国際法】を【関係諸国】と結ぶ事によって【ICC】の自国兵士への【適用】をアメリカのみ無効にしようとしている訳です。
これがアメリカの【自国国民】と【国家】を優先するという【国際法】への認識なのです。
この様な抜け道的な【国際法】は別に問題ではなく、【国際関係(いわゆるパワーゲーム、軍事力・経済力・科学技術力)】の関係性によってそれぞれの国家同士で【国際法】を利用するという事になります。
今回のアメリカの発表は、まだ発表なので実際に行うのか不明なのですが、上述のハーグ襲撃法というあだ名を持つ【ASPA2002(American Servicemembers Protection Act od 2002)】の②「すべて必要かつ適切な手段 all means necesasary and appropriate」の一つを行ったにすぎないという事になります。

他国又は多国との【協定(契約)】を結ぶという【国際法】を用いて、国家の命令で紛争に参加した自国の兵士及び戦闘行為に関わった人々をその国家が守ろうとすることは国家としての国民への【義務】とも言えます。そして他国も【国際法】に於ける【協定】による【義務】に【拘束】される為に、又アメリカの人々へのICCへの引き渡し等は行えないという事になります。アメリカはよく考えたものです。
ただ、この【協定】に参加していない国家からは【批判】【批難】は当然あり得ます。ICCのローマ規定により、【戦闘行為】での【犯罪】が規定されてしまって以降、その【犯罪】での【容疑者】段階から引き渡さないのはどうかと考えられるからです。
ICCに参加している以上は、自国だけ抜け道を作るとはどうかとは考えますが、国際法の本来の【目的】と自国の安全と国益を守るという意味ではアメリカの行動は理解できるわけです。さらに国際社会での軍事的な治安維持活動に関しては、アメリカ軍がほぼ多数参加しているため、世界での実質的な紛争問題に絡んだ治安維持活動を展開していることは間違いがなく、資金面でも人的にも負担が多いと考えているアメリカにすれば駐留軍や駐留費を治安維持活動に不参加または少ない負担の国家に対して、なぜ負担をってまで行なっている行為であるにも関わらず、アメリカ兵を【犯罪容疑者】にするのかという国民感情的な国内政治の面もあると考えます。
日本は、戦前から【日本国民】を【守る】という【意識】が【欠落】又は【少ない】民族性向があり、【一人でも何かあれば】【軍事力】を用いてもなんとかするという【他国】の【意識】とは異なります。
この面から考えるとアメリカの行動は【異常】にも見えますが、【拉致被害者】をほったらかしにしていた、日本人・日本国の方が、国際社会では【異常】なのです。

実際のところ【軍事力】と【経済力】に勝る米国に面と向かって【非】を唱え、【兵士又は関係者】のICCへの引き渡しと【条約】の解消を【要求】できるような【国家】は国際社会の中では存在しないことは確かなのですが、アメリカの【国際法】というものについては、自国の【安全】と【国益】を守るために使うというものです。
【世界平和】や【人権】、【正義】、【協調】、【公正】という【建前】は、美しくて良いことには変わりはありませんが、実際の国際社会は、【アウトロー(ならず者)】が集まる酒場で【武器(軍事力)】を相手に向けて、カードゲームを行う場所であり、辛うじてそんなアウトローを繋げているのが、【国際法】であり、軍事力を含めそれもまた【カード】の一つに過ぎないというのが現実なのです。
【国際法】とは【遵守】すべき【法】ではありません。日本人は【規則】を他国と比べても比較的に守ろうとする民族性向がありあすが、【国際法】とはそう言う【規則】ではありません。【必要】が無ければ【破棄】されてしまう性質で、国家の他国に対する影響力や国力にも寄りますが、破りたければ破る事が出来ますし、何ら影響も無い場合もある訳です。
中華人民共和国が、スプラトリー諸島(南沙諸島)で軍事拠点を作ってエリア支配を拡張しましたが、中華人民共和国寄りのオバマ政権では何も文句を言わなかった為に、現在では排除しきれないほどの拡張がなされています。
いくらフィリピン・ベトナムなどの関係諸国が異議を唱えても、中華人民共和国には何ら問題が無い訳です。
現在は、共和党トランプ大統領の政策転換でエリア支配に対する対策が徐々にとられるようになっていますが、中華人民共和国の軍事拠点拡張を押さえるまで至っていません。
国際社会はいろいろな国があり、例えば、他の国民を拉致して、平気で【恫喝】してくる国もあれば、【党是】の前には、【国際法】も【国内法】も関係がない【党の利益】と【党是】が重要だと述べて、香港の長官(林鄭月娥氏)に【香港】にはそもそも【三権分立】すらない無い等と言わせる国家もありますし、その国は、中華民国(台湾の事)は、中華人民共和国の領地であると主張の基に、議員団を送ったチェコ共和国に対して、【公然とした挑発だ。一線を越えた、必要な対応を取らざるを得ない】と恫喝したケースもあります。
ウクライナという隣国に軍で押し入って、ウクライナのこのエリアの民意だとして平然としているような国もあります。しかも、最近その国は憲法を【改憲】し、【ソ連】という【共産主義国家】を【継承する】を明言しています。いわゆる【自由民主主義】をかなぐり捨てて、過去の【共産主義】的時代に戻ろうとする有様です。
つまり、国際社会は、何でもありなのです。現実問題として【世界平和】など白々しい話です。
よくメディア等で語られる【世界は正しく】、【日本が悪い】等という事は現実を見ていない方達による【妄想】に過ぎません。

又当方もそうなのですが、大多数の1国家の1国民は、通常はほぼこの【カードゲーム】には参加できずに【傍観】しているだけですが、【拉致被害者】のように【ならず者国家の組織】に強制的に【カード】にされてしまうような場所でもあります。他国の紛争に巻き込まれ【人質】になったりと【カード】に強制的に加えられてしまうケースもあります。
又まれに、環境問題で名を馳せた【グレタ・トゥーンベリ】というお嬢ちゃんが居ますが、彼女も【国際社会】の【交渉】につかわれる【カード】に利用されているに過ぎません。
なぜかというと環境問題として、【アメリカ】と【トランプ大統領】には、文句を言うものの、本当の意味で【世界の工場】となって【環境破壊】の最大原因である【中華人民共和国】には何も言わないというのは、誰から支援を受けて【活動】しているか一目瞭然なのです。
彼女に賛同している【芸能人】や【知識人】がどういう目論見なのかよく理解できるのではないでしょうか。

現実には国際社会とは【平和の楽園】ではなく、【殺人(紛争=戦闘)】、【不公正】、【詐欺】、【略奪】、【侵略】、【恐喝】、【人権無視・蹂躙】がいろいろなところで行われている【悲惨な場所】でもあります。

日本は他国と比較すると【まだまし】なレベルなだけなので、気にせずに日常生活を楽しめる国なのです。目の前の幸せ3メートル理論と言います。
ただ、日本の北・北西・西にある国々は様々な面で【敵対】的であり、常に【軍事圧力】をしかけてくるので、いつ【殺人(紛争・戦闘)】に巻き込まれるかもしれません。日本は【殺人(紛争・戦闘)】に巻き込まれる自体が久しく、国内でのテロも【オーム真理教】による【狂信的な犯行】以来ありません。ですから、そんな馬鹿なと思ってしまうのですが、ここ数年【日本に対する敵対度】を【向上】させている隣国の中華人民共和国は【尖閣諸島エリア】での【軍事支配】を拡大しておりますし、同じく隣国の大韓民国が、ここ数年異常なほどに【軍事費】を上げているのが現実で、要注意な事例ともなっています。

ちょっと話が、大幅に外れてしまいましたが、国際社会という場所では、自国の【国益】を優先する為には、より多くの【手札】と【イカサマ】などが必要になるというのが現実で、【世界平和】、【正義の味方】などというものは存在しません。あるのは、【利益】を得る為の【手札】なのです。
そういうことが【理解】できる今回のアメリカのICCへの対応と言う事になります

【ちょっと余談】
【イカサマ】なのですが、【イカサマ】というのは【インテリジェンス工作】と呼ばれたり、【スパイ工作】とも呼ばれます。
オバマ政権時の2010年に、ICCに新たに【侵略犯罪】という【罪科】が提議され、数カ国が【締結・批准】したのですが、日本国側は、「それ自体が法的拘束力を持つもの」ではなく、「安保理も含めて今後参照していくというガイドラインとしての性格を付与されたものと理解している」という事で、【締結・批准】を行っておりません。
国務省法律顧問であったハロルド・ホンジュ・コウ(Harold Hongju Koh)という人物が、オブザーバーとして【侵略犯罪】についてアメリカとして一定の賛同をする発言を行ったようです。
この人物は、朝鮮戦争(紛争)時にアメリカに逃れてきた朝鮮半島人を両親に持つ在米2世の人物で、両親の朝鮮半島時代の生活について次のような歴史認識を持っている人物のようなのです。

They grew up under Japanese colonial rule, forbidden to speak Korean or even to use their Korean names.
彼らは日本の植民地支配のもとで育ち、韓国語を話すこと、あるいは韓国人の名前を使うことさえ禁じられていました。(Google)
日本の植民地支配下で育ち、韓国語を話すことも韓国名を使うことも禁じられていた。(Deer)

この文面から判るように、【歴史】としては、【資料】から見れば【過誤】であることはすぐに判るのですが、大韓民国の国家・国民としての【国是】がこのようなものであり、このような基で日本との交渉を行う米国での意見を言える立場の人間が存在しているという事が重要な事です。
当初から、民主党およびオバマ政権は日本に対する態度は冷淡だったとされています。オバマ夫人が中華人民共和国での滞在期間と日本との滞在期間の違いからもそう認識されています。
アメリカの国益に沿いながら、大韓民国の国益に沿う形で動くような人物がアメリカ政府の重要なポストにいたわけです。オバマご夫妻とも法律家出身ですので、親近感はあったのではないでしょうか。
民主党は、フランクリン・デラノ・ルーズベルト(Franklin Delano Roosevelt)大統領の流れで、大統領の周りがソ連のスパイによって固められて、その政策をアメリカの国益を損じた(第二次世界大戦で日本と対戦した事)等とは言えない立場なのでしょう。
自分に甘く他人につらいのは人の世の習いでもあります。
また、ハロルド・ホンジュ・コウという人物は、現在イエール大学で教鞭をとっています。イエール大学は、ハーバード大学と違い、親子で大統領となったブッシュ親子の出身国であり、共和党という保守系の大学でもあります。
ただ、この大学は神学系で中華人民共和国などが主張する【南京大虐殺】という【虚偽の歴史】に【協力】している少しかわった大学です。それにはキリスト教関係者が多分に関係しています。

保守主義は、本来共産主義への対立軸と語られているのですが、自由民主主義社会ではこういう【影響工作】を防ぐのは容易ではないという見本だと考えます。
【影響工作】を行う際は、このようにハーバード大学のような左派系の大学で行うのではなく、【保守】の本流の場所で影響を与える事をするのがベストということになります。保守の顔をして【抗日工作】を密かにやるというのが現在の大韓民国側の狙いでしょう。
実は、こういう様々な面で自国に有利になるように、日々影響力の大きな国や相手の国側で影響工作というのを行います。
アメリカや国連、日本で騒いで、日本が悪かった【謝罪】と【賠償】を言及している方達は、実際の工作者も居るでしょうし、そうではない純粋に虚偽を事実と信じて、日本が悪かったと思い込んでいる人たちによるものだと考えるべきなのです。

現実には漫画のNARUTOやルフィーのような存在は居ません。
だったら、どうしたら良いのかをぜひ考えてみてください。
敵の良い手段は、学ぶにこした事はありません。

秋の夜長に少し考えてみてください。

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