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オーストラリア農業の先進性から学ぶ! 第18回 農薬その4 「豪州での農薬を使う『慣行栽培』と 農薬を使わない『有機(無農薬)栽培』に対する考え方」

今回は、豪州での農薬を使う『慣行栽培』と 農薬を使わない『有機(無農薬)栽培』に対するオーストラリアの農業生産者の考え方を紹介します。農薬使用の賛否については触れず、あくまでも生産者の視点を見ていきましょう。

生産者の課題の一例:豪州で最も使われている農薬

オーストラリアで広く使用されている除草剤「ラウンドアップ」についてお話しします。ラウンドアップは、米国モンサント社(現バイエル社)が1974年に開発した除草剤で、有効成分はグリホサートです。この除草剤は、多くの雑草を効果的に除去できるため、雑草管理が難しい豪州の大規模農地で広く使われています。

ラウンドアップの利便性とリスク

ラウンドアップは速効性があり、微生物によって分解されるため、土壌への残留が少ないとされています。また、遺伝子組み換え作物(GMO)と組み合わせることで、人手をかけずに大量生産が可能になります。しかし、その一方で、健康被害のリスクも指摘されています。2019年には、ラウンドアップ使用による健康被害を訴えた訴訟がいくつか起こされました。このようなリスクを考慮しながら、生産者は農薬を使用しています。

生産者が農薬を使う理由

農薬使用には様々な理由があります。オーストラリアの大規模農地では、農薬を使わないと病害虫による収量減少や作業の増加が避けられません。農薬を使用することで、効率的に雑草や病害虫を管理し、経済的に安定した農業を営むことが可能になります。

農薬使用のメリット

  • 収量の安定:農薬を使用することで、病害虫による被害を最小限に抑え、安定した収量を確保できます。

  • 作業効率の向上:農薬を使用することで、除草や害虫駆除の手間を省き、作業効率が向上します。

  • 経済的なメリット:農薬を使用することで、労働力を削減し、コストを抑えることができます。

有機(無農薬)栽培の可能性

理想的には、有機栽培が実現できることが望ましいです。オーストラリアでは、減農薬栽培の研究が進められており、農薬の使用を最小限に抑えながらも、労働力を抑える技術が開発されています。これは、環境保全と経済的利益を両立させるための重要なステップです。

有機栽培と慣行栽培のコスト比較

1ヘクタールの作業コストを比較すると、以下のようになります(一例)。

有機栽培では農薬や化学肥料を使用しないため、人手による除草や害虫防除が必要です(2倍以上の労力が必要になるケースが多い)。一方、慣行栽培では農薬や化学肥料を使用するため、効率的に作業が進み、作業コストを低く抑えることができます。

まとめ

慣行栽培と有機(無農薬)栽培は、それぞれメリットとデメリットがあります。農業の持続可能性を考える上で、これらをバランスよく取り入れることが重要です。生産コストや環境負荷、収量などを総合的に考慮し、最適な栽培方法を選ぶことが求められます。

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