【教育雑感】保護者のためのInstagramガイドを読んで
先日読み終わった、「親が知らない子どものスマホ」(著:鈴木 朋子)に「保護者のためのInstagramガイド」というものが紹介されていた。
中高生はInstagramに夢中になっている。勤務先の生徒も、Google検索をしている先生を見て、
「え~ググってる~ウケる」
と言っていた。最近は何を調べるにもInstagramで検索するらしい。
(わからいことは、普通ググるだろ?)
とオジサンの常識では思うのだが…。
若い子たちの感覚を学ぶためにはとにかく使ってみるしかないと思い、先日ようやくInstagramのアカウントを取得した。今後、いろいろ試そうと思う。
SNSの世界は、やってみないとわからないことの方が多い。とにかく体験してみることが必要だと考えている。Twitter、LINE、facebook、youtubeなども同じで、情報の収集も発信もやらずに情報教育はできない。
「保護者のためのInstagramガイド」には、自分がこれからInstagram利用するうえでも、情報モラルの指導をするうえでも、活用できそうなことがたくさん書いてあった。教材としてそのまま中高生に読ませても良いかもしれない。
1.Instagramの年齢制限
13歳以上でないとできないということを恥ずかしながら初めて知った。アカウント作成時に年齢入力はないようだ。他のSNSやwebサービスの年齢制限が気になったので調べてみると、
● Twitter → 13歳以上
● Facebook → 13歳以上
● youtube → 13歳以上
※ youtubeはGoogleアカウントと一緒
となっていた。すべてのサービスにおいて13歳以上を基準としていた。保護者が代理でアカウント作成することも禁止しているものもあった。
2.SNSを使うための最善な方法
「敬意を払うことで安全性が高まる」
「(SNSの投稿は)人間性を映し出すもの」
という表現がなかなか考えさせられる。投稿に自分の人間性が出ているということを意識すれば、トラブル防止になるだろう。できれば投稿ボタンを押したあと、
「この投稿があなたの人間性が出ていることを理解していますか?はい、いいえ」
などと出てくれたら、SNS上のトラブルも減ると思う(投稿数も減ると予想できるが…)。
3.子どものアカウント非公開・公開
Instagram側はハッキリと「非公開に設定することを推奨します」と書いている。公開することのリスクを丁寧に説明することは難しいが、Instagram側が推奨しているという言い方で子どもたちにガイドができるのは、ICTに詳しくない保護者にとって助かるはずだ。
4.自分の投稿の影響
公開・非公開に関わらず、自分の投稿の影響力を考えることは重要だと思うが、写真に写っていない子のことまで考えなければならないことは難しいかもしれない。大人であっても、どこまで意識して投稿しているかはそれぞれ違いがある。例えば、自分の子どもの画像をアップしている保護者は、子どものことを考えているのかと言われれば、賛否が分かれるだろう。自分の投稿の影響は、見る人にとって異なるという点が非常に難しい。
5.複数アカウントを持つこと
Instagram側も複数アカウントを推奨しているように読める。本アカ、サブアカ、裏アカ…そういうものを子どものうちから使い分けないといけないあたりにSNS疲れやストレスが溜まりそうな気がする。子供たちに話を聞くと、ほとんどの子が複数のアカウントを使い分けている。本アカ、趣味アカ、裏アカ…当たり前のように使い分けている子たちを見ると、そこまで自分をキャラ分けしなくてもよいのではないかと思う。「異なる自分の側面の表現している」というと聞こえは良いが、現実世界において本当のキャラを隠して苦しんでいるのではないかと心配してしまう。
6.投稿は自分を表す
本当の人間性はSNSではわからないが、SNSで判断される時代になっていることは間違いない。就職でもSNSをリサーチされるという話を聞いたことがある。ここまで書かれると怖くて投稿できない気もするが、最近では「インフルエンサー採用」というものもあるらしく、SNS上での自分の表現も、ある意味では将来への活動に繋がっているのかもしれない。
7.まとめ
リアルな交流が子どもたちにとって最も重要ということはInstagram側も認めている。つまり、現実のInstagramが「ちょっとした時間に友達とやりとりするツール」にはなっていないということを知っているということだろう。子どもたちがInstagramにハマっている現状の解決策をユーザーや保護者に委ねるだけでなく、技術的解決策の提供も期待したい。
8.感想
私の周囲ではTwitterやfacebookに「リア充投稿」はなくなった。リア充投稿を唯一許容してくれるSNSがInstagramだと思うと、Instagramは子どもたちにとって自分を認めてもらえる最後のSNSなのかもしれない。しかし、InstagramはあくまでもInstagramであって現実を表しているものばかりではない。作られた世界と現実の違いというものをしっかりと認識しないと、虚構の自分を追い求めることになる。虚構を虚構として楽しめていれば良いが、虚構と現実が同じだと勘違いしてしまうと、虚構と現実のギャップに気が付いたときに苦しくなるだろう。SNSの空気感や影響力という今後も変化していく難しいものを、どうやって子どもたちに気づかせていくのか。大人でも見極めることができない世界を子どもにガイドしなくてはならないというのは、とても大きな課題だと感じている。
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