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もはやリアルまで「永遠のβ版」

「Web2.0」という言葉が流行っていたころ(2005年頃〜)、よく話題に上った言葉に「永遠のβ版」というのがあります。

常に新しいアイディア、新しいコンテンツが参加するユーザーから提供され続け、それらを取り込んだ新しいサービスが次々とできあがります。そして完成したらオワリではなく、さらによりよく、より便利に、いつまでも進化していきます。つまり、オワリがないわけです。いつまで経っても完成品にならない代わりに、いつまでも進化し続ける可能性を手に入れたと言えます。そのため、永遠のベータ版であり続けることこそがWeb2.0である、というわけです。
Gigazine: Web2.0のビジネスモデル その2「ベータ版」 2006/8/23)

まず形にして世に出そう。ユーザー・オーディエンスを巻き込もう。動かしながら修正してゆけば、ユーザーにとってよりよいものになる・・・というのが中心メッセージでしょうか。ログや利用データから顧客の声なき声を可視化できる──つまりこれからのWebはコミュニケーションコストほぼゼロのまま改善サイクルを回せる特異的なビジネスフィールドだよ? 使わない手はないでしょ? という提案でもあったかと思います。

で・・・15年が経ちました。15年も経ってるのに、Webの特質をいまだに利用できてない人がものすごく多くないですか? いや、これ、自分も思い切り含まれている前提で話していますけど。

noteを運営するピースオブケーク社CXOでもある深津さんのTweet拝見して、あっと思ったわけです。この「完璧主義者」を「プライド優先する人」とか「ついカッコつけてしまう人」「考えてばかりで手を動かすのに時間かかる人」とかに変えてもいいかもしれません。「がしがしと実装・駆動させてる人」に変わらないと、どんどん置いていかれる世の中ですよ? それ辛くないですか? っていう話です。

Webの世界だけの話じゃなくなっている

スマホの普及とWebアンケートツールが進化したおかげで、リアルなビジネスでも改善サイクルを回すコミュニケーションコストは爆下がりしています。

つまり──そうだと意識している人がどれだけいるかわかりませんが──技術とコストの側面から見ると「まず仮説実装して世に出す。顧客・オーディエンスを巻き込む。動かしながら修正してゆけば、よりよいものになる」というビジネスモデルは、Web上のことに限らず、多くのリアルなビジネスでも適用できる考え方になっていたのです。いつの間にか!

実際、わたしがいまアパレル企業に支援・推進しているプロジェクトも「完璧じゃなくてもいいからまず改善実装をやってみる」「顧客の声を聞いて修正改善を繰り返す」というサイクルをやって成果を出してます。

製品メーカーでもプロトタイプを使ったフィードバックの参加対象が今までとは桁違いの数になっていると聞きます。事例も世に出るようになってますね。


個人のアイデアや考え方も

そうした視点のまま、noteのしくみを俯瞰すると個人の視座や行動・作品を「仮説的に駆動して世に問う」プラットフォームとして設計されていることにも気付かされます。低コストで、(たとえフォロワーが少なくても)オーディエンスの反応がわかる。手軽に課金=購買データも管理できるって、ありそうで他にないプラットフォームです。

わたし自身、登録は済ませていたのに、およそ5年間もの間、noteに下書きを溜めつづけるだけという使い方だったのですが(泣)、「俺はどんだけの完璧主義者だったのよ?」と笑ってしまいます。「β版的な仕上がりでいいから、まずリリースする」「反応からリアクションする」を試してみると、楽しい。いや、楽しすぎます。この記事も実はちょいちょい変えてます。

語ったり、考えたりしてるだけじゃなくて、みんなに向かって表現してみませんか。完璧と思えない状態で行動する「腰の軽さ」はいまを生きるのに必要なスキルなのかもしれません。


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