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【#3】UXライティングで『あてがき』をしてみよう

どんな言葉で語りかけてくるのか?

役割語と呼ばれる言葉づかいがあります。特定の人物像と結びついた話し方のことです。

役割語(やくわりご)とは、話者の特定の人物像(年齢・性別・職業・階層・時代・容姿・風貌・性格など)を想起させる特定の言葉遣いである。主にフィクションにおいてステレオタイプに依存した仮想的な表現をする際に用いられる。日本語学者の金水敏が提唱した。
Wikipedia役割語

たとえば「私はスカイダイビング初体験です!」を役割語で書くとこうなります。

「ワタシはスカイダイビング初体験よ!」=女性
「ワシはスカイダイビング初体験じゃ!」=老人
「吾輩はスカイダイビング初体験なんだニャー!」=擬人化した猫
「オラはスケーデービング初てーけんだぞ!」=孫悟空

脚本などを作る際に、わかりやすさの手段として用いられることがありますが、ステレオタイプな表現になりがちです。書きやすいんですけどね。

役割語よりもさらに自然で、その人にしか言えない言葉を書く『あてがき』という手法もあります。

UXライターは“あてがき”をしよう!

役者の演技や身体、声色、しぐさ、表情などを思い浮かべながら、その役者本人のためだけに書かれた台詞を『あてがき』と言います。本人が言いそうなギャグや、言っても違和感のない台詞だから、観る側の納得感は計り知れません。演じる役者だってきっと演じやすいはずです。

劇作家が役者にあてがきをするように、UXライターはWebサイトやアプリにあてがきをして、その魅力を最大限引き出し、ユーザーの納得感や信頼感を獲得することも大きな仕事のひとつです。このWebサイトはどんな言葉で・どんな調子で語りかけてくるのか。Webサイトの見た目と言葉はなるべく違和感のない組み合わせである方がいいと思います。

写真でひとこと〜UX大喜利〜

スカイダイビングをしている女性の写真に、適切な言葉を添えてみます。写真がUXデザイン、言葉がUXライティングです。「こういうことを言いそうだな」という視点で言葉を添えることに慣れるためのお遊びです。

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「ワシはスカイダイビング初体験じゃ!」

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「オラはスケーデービング初てーけんだぞ!」

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「ワタシはスカイダイビング初体験よ!」

こんなこと言いそうでしょうか。なんだかどれも不自然に感じませんか。そもそも老人でもないし、悟空でもない。最後の言葉は一瞬マッチしそうな気もしますが、それは単純に役割語をはめ込んでいるだけです。「こんなこと言いそう」という視座がない。もっと写真を見て、彼女が何を言っているのか。何を、どんなテンションで言いそうなのかを想像することで、より写真=デザインにマッチした言葉=ライティングを施せます。

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「グーゥっ!ヮアーーーハゥッ,アッフィー……!」

実際こんな感じなんじゃないでしょうか。声にならないうめき声のようなものが漏れる。「ワタシはスカイダイビング初体験よ!」なんて冷静なことはおそらく言わないでしょう。
これはUXライティングの
デジタルプロダクト(Webサイト・アプリ)に記されるテキストの雰囲気は、そのプロダクトと一致した語り口で書くことで、ユーザーの納得感や安心感を抱く
という考え方を知るための練習です。見た目と言葉のマッチングを知るためのものなので、どんどん想像の産物を生み出しましょう。大喜利です。UX大喜利。

感想/今後の目当て

だんだんUXライティングの実像が見えつつある。こうやってまとめて書くことの大切さを痛感している。MKライティング。まとめて書くライティングはこれからもどんどん続けたいところだ。

次回は実際にWebサイトへあてがきしてみようと思っている。架空のWebサイトに言葉を与えてみよう。まるで神ではないか。KMライティング。神ライティング。

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【参考図書】
UXライティングの教科書 ユーザーの心をひきつけるマイクロコピーの書き方



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