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わたしは最悪。

鑑賞:2022年7月@シネマカリテ

いろいろな映像表現が詰まった重箱の弁当のような作品でした。
不思議と邦画を見ているような感覚にもなりました。

「わたくし」を描いていますし、関わる人々の喜怒哀楽がありますし、艶もあります。なにより、北欧の街並みや景色が、妙に馴染みます。福岡や山梨の都市部のような感覚です。

ストーリーが、章立てで進んで行くこと、一人称で語っていくのは「それっぽく」しやすいスタイルで、お話の終わり方も、観客に投げっぱなしに近いのです。
ですが、人生の紆余曲折を畳みかけるように詰め込んでいて、表現の幅も少し心配するほど広くて、それを主人公の一本串で刺し通します。玄人な邦画っぽい…。何より見入っていくのは、話がどんどん転ぶと言いますか、展開が進むことです。出し惜しみは最後だけ、という感じでしょうか。

原題も、いくつかあるようです

予備知識ゼロで見ましたけれど、主役の女性が大変魅力的。才色兼備な感じなのに、どこか思案深いというか影があるというか。
冒頭は、主役女優ワンショットだけでも時間が持ちます。「この調子で進むなら、退屈な間が多い作品になりそうだな」と思ったのですが、スグに印象を改めました。展開が早い。ほどよく落ち着いた時間が保たれていますけれど、これ頑張って短くして、この時間と思います。

社会トレンドを意識したシーンもあったり、生死を描く要素もあったり、よくこんなに多くの表現を編み込んでいるなと感服しました。仮に文句をつけるとしたら、欲張りすぎ、というところでしょうか。
終わり方も、ハッキリさせずに観客に委ねるタイプでしたけれど、丸投げではないところも、大変好印象でした。

いろんな人の受け止め方を知りたくなりますし、伝えたくなります

怒られそうですけれど「シモネタの女」という勝手なタイトルをつけたくなる部分が多々あって、これを邦画でやったら成立するのかなあ…なんて思いました。
人生いろいろある、ということを表現した良作です。


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