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流行に従うだけの人事から脱却を。もっと自信を持つべき。

バブル崩壊後の1990年代、「失われた10年」という言葉がもてはやされた。しかし、その後も日本経済は以前の成長を取り戻せていない。もはや、気づけば「失われた30年」と称されるほどだ。この間、経済のグローバル化はますます加速しており、日本企業の組織構造を大きく変えつつある。
そうした流れの中、日本企業の良さであった共同体意識が希薄化しているだけでなく、人材を長期的に育成する力も削がれてきているのではないかと危惧しているのが、神戸大学の上林憲雄教授だ。経営学の視点から個人的幸福と社会的善の合一のあり方を追求する上林教授に、今日本企業の人事部が直面する課題を聞いた。


前編では、人的資本経営やジョブ型雇用に対する見解を語っていただいた。
【前編はこちらから】

■前編の目次

  • 短期思考に走りがちな日本社会を危惧する

  • 人的資本情報の開示は日本企業にとって追い風となる

  • 日本企業がジョブ型雇用を進める上での課題とは

  • 個と組織のバランスが求められている


後編では、働きがい・モチベーションに対する取り組みの重要性や今後人事が果たしていくべき役割を語っていただいた。
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■後編の目次

  • 人々の幸せを追求する経営学を極める

  • 「ワーク・ライフ・バランス」はまだ道半ば

  • 長期視点で人材を育成する必要がある

  • 人事部こそ長期戦略の礎と認識すべき


上林 憲雄氏
神戸大学大学院経営学研究科/経営学部 教授

1989年神戸大学経営学部卒業。1991年同大学院経営学研究科博士前期課程修了。1992年神戸大学経営学部の助手に就任。1999年英国ウォーリック大学経営大学院よりPh.D.を取得。2005年神戸大学大学院経営学研究科教授、現在に至る。この間、神戸大学大学院経営学研究科長・経営学部長、日本労務学会会長、日本経営学会理事長、日本学術会議会員等を歴任。2021年より経営関連学会協議会理事長、2023年より神戸大学大学院経営学研究科人的資本経営(HCM)研究教育センター長を務める。著書に『SDGsの経営学』(千倉書房、共編著)、『経験から学ぶ人的資源管理』(有斐閣、共著)、Japanese Management in Change (Springer、編著)などがある。