『売上10億円を超えた ベンチャー企業の管理職たちの奮闘!』Vol.3:売上10億円の壁にぶつかるベンチャー企業で管理職が機能しなくなる理由
働き方改革による管理職のあり方の変化
前回(その2)の最後で、売上10億円を超えるチームをつくった人事コンサルタントの話を紹介した。今回(その3)ではそのコンサルタントが私たちに話したうちで、最近の働き方改革で管理職のあり方が変わってきていることをまず取り上げる。
10億円の壁にぶつかるベンチャー企業で管理職が機能しなくなる理由の1つとして、社長や役員が結果として仕事を取り上げたしまうことを私たちは前回では指摘した。この人事コンサルタントは働き方改革の影響やプレイング・マネージャーの問題も挙げた。
最近は働き方改革の影響で、特に残業の削減によって仕事がしたくてもできない人が増えてきました。管理職は部下をできるだけ早く帰そうとしていますが、部下の残った仕事を管理職が巻き取っていることが多いのです。
プレイング・マネージャーといっても、8割以上はプレイヤーであることが多いと思います。以前から少なくなっていた部下の成長支援など、マネージャーとして本来、割くべき時間がさらに減るという問題が生じています。
部下の行動や実績の把握が一層に困難になったため、従来のような半期(半年)ごとの業績評価制度や面談が有名無実化し始めました。その解決に加え、俊敏に環境に適応して効果的に組織の目標を達成しようと、「ワン・オン・ワンミーティング」を実施する企業が増えています。
上司と部下が頻繁に話し合う場ができたことはよいのだと思います。しかし、残念ながら、効果があまり上がっていないケースが多いようです。面談だけが先行し、上司が部下を単に「詰める」だけの場になっているケースがあるのです。
「ワン・オン・ワン・ミーティング」をするならば、「本気の傾聴」「心からの承認」「成長を促す質問」の3つのスキルは心得てほしい。これらを踏まえることなく、流行に乗るかのように実施すると、組織を劣化させる副作用が生じる可能性があります。
「ワン・オン・ワン・ミーティング」の品質は、上司の力量によって大きな差が出ます。そのばらつきをなくし、上司の器量の底上げを図ることが必要になるでしょう。そのためにまずは、上司が部下から信頼されるところから始めないといけない。自分が信頼していない人の言うことは聞かないものです。
■もくじ
働き方改革による管理職のあり方の変化
上司の器量の底上げを図ることが必要
創業経営者は、社員に仕事を任せることができない?
役員とは何ぞや?
経営をする人を選ぶ、という意識が社長、役員に希薄
かつての経験を語るものの、経営を語ることができない
経営やビジネスについて深く考え、深く語ることができる
役員の定義をあらためて考え直す