人的資本経営もジョブ型雇用も結局は専門性。それを軸として会社と人が結びつく。
人的資本経営を推進していくためには、組織として社員の能力開発や専門性の向上をサポートしていく必要がある。だが、その一方では、せっかく育成しても転職が一般化してきた現代では若手人材や優秀人材の流出も後を絶たない。いずれも、経営や人事にとっては大きな課題と言える。どう取り組んでいけば良いのであろうか。
その解決に向けて、働く人のキャリアとそれに関わる組織のマネジメントを研究しているのが、青山学院大学経営学部教授の山本 寛氏だ。
インタビューの前編では、人事を取り巻くトレンドで注目されるポイントやジョブ型雇用の行方、人事に今求められる役割などを伺った。
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■前編の目次
働きがいとリスキリングに着目
人的資本の情報開示は企業価値の向上をもたらす
ジョブ型雇用は日本である程度は根付く
個別管理への対応が人事により一層求められる
インタビューの後編では、リテンション・マネジメントに向けた有効な施策やキャリア・プラトー現象が人的資本の最大化にもたらす影響、専門性意識の高まりなどを伺った。
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■後編の目次
最も有効なリテンション対策はコミュニケーションの活性化
成長実感と成長予感、貢献実感をセットで味わえる職場に
キャリア・プラトーが企業価値の最大化を阻害する
社員一人ひとりの価値観や専門性に寄り添う必要がある
山本 寛氏
青山学院大学 経営学部 教授
青山学院大学経営学部教授(人的資源管理論担当)。博士(経営学)。メルボルン大学客員研究員歴任。働く人のキャリアとそれに関わる組織のマネジメントが専門。日本経営協会 経営科学文献賞などを受賞。大学では、人的資源管理論とキャリアデザイン論を担当。主な著書は『連鎖退職』、『なぜ、御社は若手が辞めるのか』、『「中だるみ社員」の罠』(以上、日経BP社)、『自分のキャリアを磨く方法』(創成社)、『人材定着のマネジメント』(中央経済社)など。2023年2月に『働く人の専門性と専門性意識』(創成社)を出版。