人をどう生かしていくか。日本企業は改めて、その問いに向き合う姿勢が求められている。
資源が乏しい日本において、人材は貴重な資源と言わざるを得ない。これは、誰にとっても明白なことではあるが、果たして有効に活用できているのであろうか。人的資本経営を単なる流行言葉で終わらせないためにも、「人をどう活かしていくか」という問いにそれぞれの企業が改めて向き合っていく必要がある。その重要性を強調しているのが、北海道大学 高等教育推進機構 高等教育研究部 教授の亀野 淳氏だ。
人材育成における高等教育と産業社会とのつながりや高度専門職業人の育成における高等教育機関の役割、企業の人的資源管理のあり方などに関する研究を手掛けている。それらの知見に基づいて、今回のインタビューでは人的資源の高め方を語ってもらった。
インタビューの前編では、人的資本経営やジョブ型雇用に関する見解を聞いた。
■前編の目次
そもそも日本企業は、人を育てるのが得意であった
ジョブ型の良し悪しは一概には言えない
ジョブ型雇用は確実に広がるものの、すべての企業が移行することはない
インタビューの後編では、大学生のキャリア意識やインターンシップの意義と現状などを聞いた。
■後編の目次
就職先選択の基準においても多様化が顕著に
インターンシップの意義は認めるものの、現状のあり方には疑問
資源が乏しい日本の未来を切り開くためにも大学教育が重要
自社独自の戦略や施策を打ち出していく必要がある
亀野 淳 氏
北海道大学 高等教育推進機構 高等教育研究部 教授
1987年3月広島大学経済学部を卒業。1987年4月に旧・労働省に入省。職業安定局雇用政策課雇用政策課係長、労働研修所教官などを務める。その後、金融機関系シンクタンクなどで勤務するとともに、北海学園大学大学院経済学研究科でも学ぶ。2001年7月から北海道大学へ。高等教育機能開発総合センター生涯学習計画研究部 助教授を経て、2021年4月高等教育推進機構高等教育研究部 教授に就任する。現在、キャリアセンター センター長や大学院教育学院 教育社会論講座 職業キャリア教育論研究室 教授も兼ねる。