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【アジャイル】老舗製薬企業が挑戦するアジャイルな働き方 (住友ファーマさん)

昨日書いた記事に続き、レッドジャーニーさんのサテライトで住友ファーマさんの講演を聴いたので書いていきたいと思います。

アジャイルの源流はカイゼンである

住友ファーマさんでのアジャイルは、ほぼスクラムの動き方になっており、「柔軟で機敏なタスク管理手法に、たゆまぬカイゼン活動を組み込んだ業務スタイル」と定義しているそうです。

アジャイルの源流がトヨタのカイゼンに源流があるのは歴史を辿ればわかるのですが、そこまで踏み込んで調べたり教えられたりしてない人にとっては「アジャイル」という言葉だけで引っかかって拒否感を持ったり、ソフトウェア開発手法だと思って聞く耳を持たなかったり、アジャイルの価値感など本質を理解してなかったりします。

住友ファーマさんは、これまで日本を成長させてきた日本のお家芸である「カイゼン」を交えてアジャイルを知らない・理解していない人や組織に対してとっつきやすく、わかりやすく説明し、興味を持ってもらって、実際やってもらうところに引き込むということをうまく仕組み化できている印象でした。

私もアジャイル関係の講師をやっているとよく言われるのが「アジャイルはPDCAと変わらない」と言われるんですが、「ええ、そうですね」と答えるようにはしています。ただそこにはPDCAをいうフレームがあるわけではなく、PDCAの回し方や動かし方にアジャイルの価値や原則が組み込まれていることが大きく違うという主張をします。

既にうまくやれている事例があり、確信がある

お話されている中で印象的だったのは、カイゼンの話やスクラムの回し方(タスク可視化、毎日の朝会、ふりかえりなど)を社内で話をすると、町工場の働き方じゃないかと言われるそうですが、「まさにその通りです。このカイゼンが日本を成長させたものです」と仰るそうです。

加えて、住友ファーマさんの海外子会社でトップレベルの大学を出ている人も、コンサルファーム出身者も実践しており愚直に朝会を行ったりしている、そして既に高い生産性を出しているという事実があるからこそ、確信をもって進められているとのこと。

ここまで事例と確信があれば、「そもそもなぜアジャイルなのか?」「なぜアジャイルをやるのか?」という議論の余地はなく、まずやりましょうという状態になっているわけです。

おそらくですが、DXだなんだと声高に経営陣が言ってても、まだそもそもアジャイルなの?論に終始していたり、アジャイルにすらたどりついてない日本企業も多いのではないでしょうか。

それをしっかりとした事例や日本企業を成長させてきたカイゼンを持ち出して議論の余地をなくして、まず動ける状態にしているところに凄さを感じました。

アジャイル普及に向けた細やかな仕掛けつくり

実際の社内へのアジャイルの認知活動や普及活動もしっかり組まれている印象がありました。はじめてアジャイルという言葉を聞いたときの異質感の排除や警戒心を解いて興味を持ってもらうような工夫がされています。

注目を集めるためにカイゼンをテーマにした社内レクチャーから、社内事例や社内体験者のインタビュー記事の発信、有識者の講演やレクチャー、いつでも気軽にやれる体験会、コミュニティ形成など。注目させて興味を持たせ、やりたい気持ちを醸成させて、体験させて伴走支援で実践に持ち込む。そして社内で仲間作りができる、という流れを組み、それぞれの段階に細やかな施策を仕掛けている感じがしました。

いきなりアジャイルだなんだと強く主張する感じではなく、できるだけアジャイルという言葉を使わず、カイゼンの文脈で改善手法や問題解決手法から入って、既存の日本の製造業の印象の強い人達をアジャイルの世界にオンボードして、「アジャイル」という言葉への拒否感、変化に対する抵抗感を取り払っていると感じます。


正直な気持ちとしては、住友ファーマさんの取り組みをそのまま真似たいと思ってしまいました(笑)。私個人の印象は、住友ファーマさんの日本のカイゼンから切り開いてアジャイルを普及していく進め方は、多くの日本企業にフィットしそうだなという印象を持ちました。

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