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【アジャイル】PDCAと同じでしょ?

動き方や構造は大きく言えばPDCAですが、論点はそういう所ではないのです。

PDCAと何が違うんだ?

組織や仕事の仕方のアジャイルに取り組んでいる中で、

「スクラムでプランニングやレビューしてふりかえりでカイゼン?PDCA?」
「PDCAとどう違いがあるかわからない。そんなものは既にやってますけど?」

などのご意見をいただくことが何度かありました。

そもそもPDCAって何?という方はこちら。

そうですね、大きくみれば、プランニング(P)して、スプリントで動いて(D)、レビューとふりかえりで検査と学びを得て(C)、カイゼンアクションを次のスプリントに取り込む(A)わけですから、まあPDCAですね。

確かにPDCAサイクルというものが、昔から品質管理・業務管理の観点からすれば改善する方法としては良く知られており、普通に真っ当な仕事をしていれば、この言葉を意識していなくても自然と実施できていることかなと思います。

じゃあ、アジャイル、特にスクラムとPDCAとは、何が違うのかというと、先に書いたように「やり方」という観点でいえばPDCAというサイクルを回すのは同じだが、期間とボリュームが、意図的にアジャイルとして動けるプラクティスになっていることかなと思います。

アジャイルに動くための期間とボリューム

期間については、スクラムで良く知られているのは、「タイムボックス」の考え方です。スクラムではスプリントという動きの単位があり、ある決まった期間の中でやることを決め、検査し、カイゼンポイントを見いだして次のスプリントを行います。これを繰り返していきます。その期間をタイムボックスといいます。

まずこの期間が、何か想定してないことが起きても、市場や情勢が変わっても、動き方を変えられるほどの短い期間で動けているかがポイントです。タイムボックスは1週間もしくは2週間が理想、長くても1ヶ月の単位で動いていきます。

ボリュームについては、PDCAそれぞれにかけるエネルギーと時間、つまり結果的にコストなのですが、それぞれのボリュームが違います。
アジャイルでのスクラムでは、先ほどの期間でやれるボリュームで動くため、それぞれのボリュームは小さくなります。

そしてPDCAそれぞれのボリュームも、今取り組んでいる仕事のステージ(探索なのか最適化なのか)やクリティカル度(失敗して学んで戻れるのか、一切失敗できないのか)で変わってきます。

探索多めの場合は計画(P)は軽く、実行(D)を重めにして、情報を得て(C)適応していく(A)必要がありますし、失敗すると命に関わるようなものはじっくり計画(P)にて練り込んでから動き出す必要があります。

アジャイルで一番重要なのは価値観と原則

そう聞いても、物事を抽象的に捉えられる人だとお気づきかもしれませんが、期間とボリュームの話だけで、そこに流れる構造やフレームワークは、PDCAと変わらないと思われると思います。そこは否定しません。なので、アジャイルやスクラムは「期間が短くなって早く仕事を回す方法」と安易に言われることが多いです。

ただ忘れてはいけないのは、PDCAもスクラムも、持っている構造や動き方のフレームワーク、方法論に過ぎず、アジャイルの観点で重要なのは価値観と原則です

https://www.ipa.go.jp/files/000065601.pdf

↑これは以前にも記事に書いたIPAのアジャイルソフトウェア開発宣言の読み解き方の資料です。

この価値観と原則を理解しないままだと、PDCAやスクラムの違いがなんだとか議論してもあまり意味がありません。

アジャイルソフトウェア開発宣言なのでソフトウェア開発の話がメインにはありますが、根底に流れる価値観と原則は、普段の仕事や組織マネジメントなどにも変わらず必要なものではあります。

よって、PDCAやってますとか、アジャイルでスクラムやってますと言ってても、それが探索が重めのアーリーなプロジェクトやウォーターフローで問題のない決まったことをしっかりやるプロジェクトであるかに関わらず、先の価値観と原則を理解して動いていなければ、結局は「わからないことをわかるようにして、常にカイゼンし続けて、組織やチームとして成長していく」ことが何故必要なのか?が、理解できないでただ「動いている」状態になってしまうでしょう。

価値観と原則を理解したうえで、置かれている状況から最適な動き方に変えていけるかどうか、そこが一番重要なところであり、アジャイルの本質だと思います。


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