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【マネジメント・アジャイル】「組織」は世の中に価値を届ける「プロダクト」

自分たちをお客様に価値を届ける機能と手段と捉えよう。

日本の組織に「芯」がないというお話

市谷さんの書籍「組織を芯からアジャイルにする」の中にある、日本の組織が芯を失っているという話は、これまで組織やマネジャーの問題を書いてきたことに共通することで、共感と納得しかありません。

この辺あたりも経営層やマネジメントに芯(意図)がないことが問題です。

組織やチームにおいて、自分たちが何者か?今どのような状態で、どこに向かっていくのか?何を価値観としているのか?何をやって何をやらないか?などが戦略や方針、憲章となり、それを所属するメンバーに伝えていく必要があります。

ここの解像度が高く、上手に言語化され、メンバー各個人がその内容に共感し、コミットがなされていれば、それに従って動くことができます。よっぽどやることがガチガチに決まっている組織で無い限り、うまく作られていると自律的にメンバーは動き出すことができます。

今の日本の組織は、芯となるべき意図、つまり組織やチームの戦略や方針、憲章がなかったり、伝わらないものになっているため、都度都度マネジャーに確認することが必要になります。

酷いときにはマネジャー自身に軸や芯がないため、言うことがブレます。狙ってロジカルに朝令暮改しているなら何か作戦があるのだろうと思いますが、多くの場合はその状況ごと、自分が不利にならないよう立ち振る舞っているだけであったりします。

組織のインセプション・デッキ

アジャイル開発には、「インセプション・デッキ」というものがあります。
これはソフトウェア開発での、プロダクト(やプロジェクト)の全体像を端的に伝えるための書き物であり、WHYとHOWを明確にするものです。

前にこちらの記事で書いてますね。

これは組織の方針としても使うことができます。
先ほど、日本の組織に芯がないという話を書きましたが、その芯を表すアジェンダ(項目)がインセプションデッキにはフレームとして用意されています。

これを見て私が思ったのは、組織自体そして組織の集合体である会社自体も、社会やお客様に対して価値提供を行うプロダクト(やプロジェクト)を解釈することができるのではないかと。

組織は責務と機能を持っています。
誰に対して、どのような価値を提供したりどのような課題を解決できるのか?
そのために自分たちが持つリソースをどのように使って、どのような機能や手段で実現するのか、という点はまさにプロダクトの姿に似ています。

プロダクトでもこのような方針や戦略が決まっていないままリリースされてしまうと、誰の何のために使うものなのか?何が価値なのかが分からなくなり、そんなものに誰もお金を出せません。売れないプロダクトは世に求められていないわけです。

定期的に見直し、むきなおる

自分達の会社・組織・チームが、会社の外であれ内側であれ、求められるものになっていなければその組織は存在価値がありません。価値を生み出さない組織はコストという流血をするばかりなので、無い方がまだマシです。

よって、プロダクトにおけるインセプションデッキと同じようなものを、組織やチームでも持つことで存在価値をしっかり示していく必要があります。

そして大事なのは、一度インセプションデッキを書いたとしても、定期的に見直すことです。正解が見えにくく不確実性の高い時代、社外も社内もこれまでとは違うスピードで変化しています。その変化を捉えて目指す先を見直すのが、アジャイルでいう「むきなおり」になります。

そして「むきなおり」のタイミングでは、組織やチームも、このままでよいのかどうかを議論し、必要であればインセプションデッキを修正する必要があります。

組織のミッションや役割、機能を見直すタイミングが半年や年度の節目の組織体制変更では遅い場合もあります。それを待たずして、目指すものが変わっていると気づけるタイミングを「むきなおり」というかたちで、それをやるタイミングも思いつきではなく、時期を決めて仕掛けておくことが必要となってきています。

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