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今こそ知りたい!「ジョブ型制度」により変わる働き方 第1回

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最近、いろんなところでジョブ型という言葉、皆さまお聞きになっていると思います。注目を集めてきていると思いますけれども、まだ詳しく知らないという方もいらっしゃるかもしれません。
ここでは、『ジョブ型人事制度の教科書』を執筆された柴田彰さん、加藤守和さんをむかえ、
・ジョブ型とは何?という基本的なところ、
・ジョブ型が進んでいった先にある、これからの時代の働き方、
・変わっていく雇用のあり方、
・これからの日本企業に必要な人事制度の考え方              などを、お話いただきました。
この記事は、JMAM出版トーク「今こそ知りたい『ジョブ型制度』により変る働き方」のオンラインイベントを元に編集・作成しています。

本執筆の背景~ジョブ型を正しく伝えるために~

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柴田:この本を書いた契機と言いますのは、ジョブ型の人事制度って、最近またブームになっていますが、正しく理解されているのかな?言葉に引っ張られて、実はちゃんと伝わってないなという思いがありまして。

加藤:はい。私も重複する部分はあるんですけれども。
今ジョブ型というのが、すごくブームになっていて、本来であれば、もう少し、そもそもジョブ型ってなんだろうか、ということをきちんとご理解いただくっていうのが非常に重要なポイントなのかなと思っています。

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日本らしいジョブ型の着地点とは


加藤:今、ジョブ型が、非常に脚光を浴びていますけれども、決して新しい考え方ではなくて、この後も出てくると思いますけれども、日本と海外という規格からすると、海外で当たり前なんですね。


日本だけが、ジョブ型ジョブ型って今言っているんですけど、これは、日本が今まですごく人というものを大切にしてきた(ジョブ型というのは別に人を大切にしないわけじゃないんですけれども)人というものにすごくフォーカスを当てていたマネジメントをしていたが故に、その悪い部分が、今だいぶ浮き彫りになっちゃっています。


なので、それをうまくマネジメントをしていくために、ジョブ型というのが脚光を浴びているかなというふうに思っています。海外のジョブ型というのをそのまま入れたらうまくいくということは絶対ないので、そういう意味で言うと、

日本企業がどういう着地点を目指すべきか、
日本らしいジョブ型というのはどういうものなのか、

というのをきちんと論考に起こしたかったというのが大きな動機の背景になります。

司会:日本の企業の中で、大手企業を中心にジョブ型へのシフトを加速していると思うんですけども、今回このコロナ過によって、ジョブ型というのはどういった影響を受けてきているのでしょうか?

ジョブ型をやる理由


加藤:まず、コロナ過によっていきなりジョブ型にシフトしていくってやっぱりすごく論理の飛躍があって、そもそもジョブ型を、なんでやろうとしているのかというと、大きく2つ理由があります。


1つは、処遇の話なんですね。
年功序列的な処遇というものが、今までの日本企業では、かなりまかり通っていた部分というのはありますけども、
 ・処遇を人ではなくポスト、
 ・人ではなく仕事に張り付けていく、
こういう文脈がまず1つ大きくあります。

もう1つは、マネジメント
今までメンバーシップ型というふうによく言われていますけれども、日本企業は職場に皆さん集まって、働きを見ながら、仕事を割り振ることをやっていたわけですね。なので、できる人がやればいい、あるいは空いている人がやればいいという、こういうマネジメントをずっとやってきたわけですね。コロナとこれがすごくやっぱり相性が悪くて。


基本的には報連相が基本のコミュニケーションになりますが、職場を分断されて、それぞれが離れて仕事をする、そしてマネージャーが把握できない状態が、一時的に生まれてしまったわけですね。
そうすると、今までの丁寧な日本企業の職場のマネジメントというのは、やっぱり機能不全を起こしてしまったのです。

だからこそジョブ型というのは、丁寧に人を見ながらマネジメント、仕事を割り振っていくのではなくて、ジョブというモジュール切りをして、お任せしますと。あとは皆さんやってくださいというような形で、任せていくマネジメントにシフトしていくっていうことが大きな課題だったのかなと。

処遇で変えたいという日本企業のニーズ、そしてコロナというものが後押しになって、マネジメントそのものも、職場に集まってくることが前提じゃなくなってきた。だからこそ、それが後押しになって、ジョブ型を入れなければいけないというような機運につながっているのかなというふうに思います。

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司会:図らずもというか、コロナがあったからというわけではないにしても、ジョブ型に進む推進力の1つにはなってきているのでしょうね。

加藤:非常に大きな推進力にはなっているかなと思います。

柴田:実際コロナが、大きなビジネスに影響を与えたのは、2020年の4月とか5月ごろじゃないですか。それ以前から、もちろん経団連の動きなんかもあって、ジョブ型の人事制度を入れようとしている日本企業さんってすごく増えていたんですけど、われわれコロナの影響で減るんじゃないかなと思っていたんですね。

が、実際にはコロナ過でも、今でも増え続けているんですよね。コロナが直接的な要因になっているわけではないんでしょうけれども、必要性にますます拍車をかけているっていう事実は間違いないというふうに思います。

司会:逆に、このメンバーシップ型から緩やかにシフトして、ハイブリッドが止められない流れだというふうなことも言われていますけども、やはりそういったお考え方なんでしょうか? 完全に、ジョブ型かメンバーシップ型かという2極ではなくて、今後の予測になるんですけど、どちらのいいところも取っていくというような形になるんでしょうか?

ジョブ型かメンバーシップ型か


柴田:ここはもしかすると加藤と私で、将来像の話なので、意見が分かれるかもしれません。それはそれで面白いと思うんですけど。


私は基本的にメンバーシップ型もジョブ型も1つのシステムなので、どっちかしかないと思うんですよね。
いいとこ取りをしようと思うと、何でもないものになっていきますから、腹決めとしてメンバーシップ型でいくんだというのも正解ですし、ジョブ型に行くんだったら完全にジョブ型にしようと。どっちかしか成りえないので。


ハイブリッドって両方のいいとこ取りみたいなイメージがあっていいんですけれども、実際には何でもないシステムが出来上がっちゃうので、それはやめたほうがいいし、そういう方向には行かないんじゃないかなと私は見てますけれど。加藤さん、どうですか?

縦のハイブリッド


加藤:私、ハイブリッドって、縦のハイブリッドがおそらく起きてくるかなというふうに思っています。


縦のハイブリッドって何かというと、新卒入社からある中堅くらいまでは職能、能力というものをベースにしたメンバーシップ型というものを前提としていく。そこから、係長、リーダーくらいから上になっていくと、もうジョブ型というような形のハイブリッドになっていく

これ、なぜそういうふうに考えていくかというと、1つの論点は新卒雇用

新卒一括採用をやめますか?やめませんか?


新卒一括採用というのは、企業側にとってみると、ある一定の時期に応募者が応募してくるという波が必ず来るわけですね。そのタイミングに、人と広告費をちゃんとかけて集めていくというシステムが日本の中では出来上がっているので、なかなか新卒一括採用をやめていくというのは難しいのかなと思います。

新卒一括採用をやっていくということは、未経験者を職場に入れていくということなので、いきなりジョブに固定して、あなたこの仕事をやってください、というのはなかなか難しい。そうすると、いくつかの職場を転々とする、職種を経験しながら、自分に何が合っているのかということを見極めるような期間ってやっぱり必要になってくると思うんですね。


じゃあ、それで定年までずっとやっていくかというと、企業側としてはそれは困るという事情があって、ある程度キャリアの階段を上がっていくと、処遇というのはどちらかというと、もうポストにひもづいていくものです。

なので、貢献した人に大きく配分していくというような、いわゆる公正さというものが求められていくので、途中からグラデュエーションとしてジョブ型というものがメインになってくる。こういうハイブリッドなのかなというふうに思います。

柴田:そういうハイブリッドはありますよね。私も今いろんな日本企業さんと議論していると、言い方を変えればジョブ型って適所適材の世界なんで、競争原理が働いているわけですよね。

自分の市場価値に見合った仕事に就くという競争社会はどこの年代から入れられますか?

というと、若年層に入れるっていうのは日本企業として今のところ正しくないので、おそらくビジネスパーソンとして一人前になった管理職くらいからは、そういう適所適材の世界を築こうと。それまでは日本的な育成を重視する。
こういう腹決めをされる会社さんがあるので、これをハイブリッドと言うのであれば、そういうハイブリッドは絶対成立するかと。

加藤:私もそれは同感です。

司会:ジョブ型に向いている会社、向いていない会社って、何かそういうわかりやすい基準ってあったりするんですか?

→第2回に続く

・「ジョブ型人事制度の教科書」単行本

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