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「絶対に人を殺してはいけないか」リベラルアーツ読書会

こんにちは。
 日本リベラルアーツ協会では「続・大人になるためのリベラルアーツ」に準拠した
読書会の第9回を11月11日(木)に実施しました。
今回のテーマは「どんな場合であっても人を殺してはならないのか」です。
本に準拠し4つの論点について対話しました。話題提供部はこちらです💁‍♂️💁‍♀️💁‍♂️💁‍♀️ 

1問目 
死刑制度についてあなたは賛成ですか、反対ですか。その理由も。

  ・人権に例外を設けるのはマズイので反対である。
→歴史的に見て、どんなに優れた人権条項を作っても、「人間ではない」ヒトを作ると瓦解する。
→重罪人であっても、死刑=「人間を辞めてもらう」ことはできない。
 ・消極的に賛成である。
→死刑制度は、ないとマズイ。制度が存在することで、人権を考えるきっかけとなる。
よって実際に死刑を執行するかどうかは別問題である。
 ・人権は人間が決めた。これは、人間を人間として扱うという合意である。
→この合意を著しく逸脱した人は、人権を自ら放棄したと同じで、
人間ではなく悪魔になったと考えられ、死刑になってもやむを得ない。
 ・人権を放棄した人は、皆永遠に悪魔なのだろうか。
→悪魔では無くなっても(更正)しても、永遠に人権を失うのか。
←更生している人はみだりに死刑にすべきでない。そこをどう判断するかの問題である。


2問目
戦争時に人を殺すことはなぜ認められるのか。

 ・個人として正当防衛があるよう、国家としての正当防衛もある。
やむを得ない場合は仕方ない。
 →従って敵基地攻撃能力や、集団的自衛権は認められない。
 ・現代では瞬時に大陸間でミサイルを発射したり、サイバーテロなどで実際に敵が来なくても
人を殺傷しうる武力が存在し、専守防衛で守れるのか。
もう少し正当防衛の範囲が広くても良いかも。
・聖書によれば、人の魂は神が作っている。
 →正当防衛であっても人殺してはいけない。

3問目安楽死制度について、あなたは賛成ですか、反対ですか。その理由も。

 ・安楽死制度があればいざという時に安心であるという点で賛成。
 →強要の問題はある。 
・安楽死制度に賛成。
 →苦しんでいて生きている必要があるのか。
 →但し、洗脳、強要の問題は難しい。
 →また、事前に意思表示したところで、実際に重病になった際に意思表示できず、
本当に安楽死したいと思っているか、わからないケースもあり得る。
 ・社会に、重病者や重度障がい者などは不必要だというメッセージを与えるので反対。 
 ・意思決定はどんなに頑張っても、必ず外部環境からの影響を受ける。
 →死に関しての意思決定に外部環境を排除することが不可能であれば、反対である。
 ・「死にたい」と思うことをあまりにもタブー視しているのではないか。
 →常に幸せであるべき圧力が存在する
 →但し、自殺は良くない
 →自分の人生を、社会環境の変化によっても永久に変えられないのだから。


4問目
「人を殺してはならない」という倫理の根拠は、共同社会の成員が相互に共存を図るためにそれが必要だからにすぎないとする考え方に、あなたは賛成ですか、反対ですか。その理由は?

・問いの「すぎない」という語に引っかかる。
・元は生物学的種の保存で、死を避けていたが、現代は個々の人間が死の恐怖から逃れ、
幸福追求をしていける社会を目指すことが理想
 →よって生物学的な「共存にすぎない」、という言い方は反対


最後にアンケートより

 ・私は死刑制度や安楽死に対して比較的強い意見を持っていましたが、みなさんの意見を聞いて、改めて考えさせられること沢山ありました。なぜ人を殺してはいけないか、その理由をしっかり考えたことがなかったので、今日このような時間を取れて良かったです。
 ・「生存するために過ぎない」のではなく、個々人がより良く生きるために人を殺してはならないとすると、
よりよく生きるために個人の間でその目的が衝突する場合が必ず起こり、その時に公共の福祉が必要になる・・・なんてことを考えました。


 今回もトゲトゲしいテーマではありましたが、ご参加頂きありがとうございます。
 人間の生命は何より重要なものであり、日常では当然に「人を殺してはいけない」と言える一方で、
死刑制度、戦争、安楽死といった「死が正当化される場面」に焦点を当てると、意外と曖昧な土台の上に、人間の生命があることに怖さも感じました。

 今回も、工学、法学、教育学、哲学、コミュニケーション、キリスト教など
多様な専門を持つ方々にお集まり頂き、各々の専門や経験、立場を基に活発な対話が出来ました。
今回ご参加下さった皆様、ありがとうございます!!


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