見出し画像

バングラデシュの無医村に病院をつくる物語



はじめに

建築家を目指して武者修行していたころ、建築家ルイス カーンの仕事に興味があり、20代の終わりごろ、米国でのカーンの仕事の見学ツアーに参加したくらいです。
しかし、バングラデシュの首都ダッカにある国会議事堂も見たかったがその機会は永い間実現しませんでした。
それが、とある切っ掛けで40年後に実現することになるとは・・・・。

その切っ掛けは、2011年
「バングラデシュの無医村に病院を建てたいというバングラデシュ人がいる、一度話を聞いてやってほしい」と、紹介されたことから始まりました。

その彼の名は「ハイダル」

留学生として日本に来た「ハイダル」は、バングラデシュの田舎(お父さんの実家)には、病院がない。何とか病院をつくりたい。という。
「ハイダル」は、今日までいろんなカタチ(フェアトレードや、学校に)で、バングラデシュの田舎の村に支援してきた。が、病院については、いろんな人に、今まで相談してきたが、なかなか具体的に実現してこなかったらしい。

支援の資金づくり

「ハイダル」自身は、定期的にイベントで、カレーとフェアトレードの雑貨の売上と寄付で資金を集めていた。もっと、街なかで実店舗を持ってやらないと、建設資金はなかなか集まらない。
先ず目的を実現するためには、彼「ハイダル」自身の店を持つことから始めることを提案しました。

カレーの店をみんなでつくる

とは云っても、店をつくるだけの資金もない。家賃交渉からはじめ、いろんなひとの応援で、店づくりは、みんなの手づくりで始めることにしました。

2011/09/20「ハイダル・バングラデシュの雑貨とカレーの店」OPEN

そのころ、私は「市井の建築家」として、「夢をカタリ、みんなで夢をカタチにする」プロジェクトを始めていました。
そのプロジェクトは「アップルパイ会議」という名でした。「会議」となっていますが「街の茶の間」のような、みんなが集え、みんなで手づくりのアップルパイを焼いて、食べながら、自分の夢を雑談のようにカタル、他人の夢に参加してカタル、その夢をカタチにする場でもありました。

この「アップルパイ会議」にも「ハイダル」も顔を出していました。

市井の建築家の「アップルパイ会議」の活動は、その後、多くの夢をカタチにすることが出来、それが街づくりに繋がって「街は夢の集まりプロジェクト」として今日に至っています。

現場を視る

2013/09/22-2013/10/02
「ハイダル」の店づくりから2年がたち、あまり時間が経つと、寄付などで支援して頂いた人たちに良くないので、そろそろ始める準備をすることにしました。
具体的なプランをつくるためにも、やはり現地を見ておかないと。
現地での構法。手に入りやすい建材。病気のこと。困っていること。暮らし等々。知りたいことが山盛りでした。

現地はこんな状態でした。

そして、
若いころ観たかった、あのルイスカーンの建築「バングラデシュ国会議事堂」が観れるチャンスがやって来ました。
見学の予約が必要だったようで、ハイダルの友達ネットワークで、内部は観れませんでしたが、国会議事堂の前までは何とか入ることが出来、触ることが出来た。

ルイスカーンの建築を見て、異国での建物を建てることのヒントにもしたかった。この国の気候風土から産まれるカタチを見付けることも。
かつて、地球上の暮らしで、変わるものと、変わらないものを知るために、あちこち、観て廻ったこともありました。
そこには、上手く気候風土を活かした暮らしのカタチがありました。
その土地の自然のなかで、身近に手に入るものを工夫して人手でつくられていました。産業革命以降、快適性、便利性を旗印に、その暮らしはドンドン侵され、今日では、過度な快適性、過度な便利性になりつつあります。

何をカタチにするのか

限られた予算(多くの皆さまからの支援金)を如何に有効に使うか、現地をみながらいろいろ思案しました。

何をカタチにするのか。もちろん病気を治すための施設であることは解かっています。みんなの暮らしに必要な(必要でないに越したことのない)ものをつくる。日常の暮らしの延長のようなものをつくる。
そのカタチは、この国の気候風土、身近に手に入る資材、手づくりで、支援の気持ちが入った、ことから産まれるカタチを模索しつづけることになりました。

病院の建設を始める

2017/02/10-2017/03/08
現地をみて3年半が過ぎました。いよいよ始めることになりました。

建設の様子はこちらで↓↓↓

建設現場に携った主な面々です。

2017/05/13-2017/05/31

部分的に開院する

病気は待ってくれない
2017/05/19
出来るところから開院することにしました。
内科、小児科をオンライン診断のシステムを採用しての開院です。

深刻なのは、産婦人科の開設
4割が死産だというのです。
こちらは、いろいろ医療設備、施設が必要で、現在開設に向けて準備中です。どこの国でもそうなのでしょうが、兎に角、医療器具は高額です。

病気をつくらない病院
病院の周辺の村々に病気にならない予防のレクチャーを活動の一つにしています。


2018/10/29-2018/11/09

2018

病院の概要
名 称  Lotra Shafi Hospital
所在地  ロトラバザー・バングラデシュ
     Chandpur district Sharasti Upzilta Suchpara union(South)
               Lotra bazaar Lotra
敷地面積  795.03㎡(240.50坪) 
建物延面積  326.16㎡(98.66坪)    
施 設  北病棟(小児科、内科)・南病棟(産婦人科) ・
     トイレ・シャワー棟 ・事務所管理棟 ・守衛管理棟    
構 造  レンガ造平屋建

運 営  特定非営利活動法人KETOY.jp
     KETOY.jp ダッカ事務所(バングラデシュ)


運営支援をどうするか

病院の建設、建物づくりは何とか実現できる見通しですが、運営の「病院づくり」の方はエンドレスに運営するための資金が必要です。
月に一度、5万円のカレーを食べる
古民家再生の活動で皆さんから頂く報酬の一部を「5万円のカレー」を「ハイダル」の店で食べることにしています。

広川の古民家を賃貸物件に再生して
「ハイダル」のお客で、古民家の空き家を何とかしたいという人がいる。とのことで、逢ってみると奥さんとは10年ほど前に一度会っている方でした。
早速、賛同して頂いて「八女郡広川の古民家再生プロジェクト(2020~)」を月に一度(1~2日間)ご夫婦とで再生しています。

クヌギの杜プロジェクト始める
建築に携わってきたので人一倍多くの木材を消費してきた。その木を植えて少しでもこの世からたびだつ前に地球に還しておきたい。
といったようなことを、広川の古民家のオーナー藤島さんに話すと、藤島さんが賛同して頂いた。藤島さんは沢釣りが趣味で綺麗な沢を維持するために木を植えたいとこのプロジェクトに賛同してもらい、広川の古民家の空き地に、クヌギの苗を育てることにしました。
この活動を多くの人たちに参加してもらって、活動を波紋のように広げたい。
そして
バングラデシュの建設運営中の支援として、クヌギの苗を今年の秋に販売する準備中です。

地球規模の流行り病での活動と運営
現地でも運営を軌道にのせるプロジェクトを立ち上げたいと考えています。地球規模の流行り病が収まる見通しの無いなかですが、今後の運営について現地へ行って、いろいろ煮詰めたいと思います。

2022/09/08~10/01
バングラデシュの無医村(ロトラ村)に病院を・・・・
今回運営計画を見直し、新しい運営体制を整えることが出来ました。

バングラディシュ紀行2022



つづく

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?