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【保護動物なんてウソ】杉本彩訴えられ浮上「怪しいペットショップはクーリクだけじゃない」

おかしな裁判

「訴訟したのは、クーリク本体じゃなくて委託されたコンサルの人って……。なんか嫌な感じだよね」

 2月27日に行われたある裁判。閉廷後、傍聴席にいた男女がポツリと呟き、法廷を後にした。

 昨年8月の第一報を皮切りに、「デイリー新潮」(新潮社)が今もなお続々と報じている、ペットショップ「Coo&RIKU」(クーアンドリク、以下クーリク)に関する記事。客による告発や元従業員からのリークなどは、いずれも同店の生体販売の在り方を問われるべきショッキングな内容ばかりだ。

 冒頭の裁判は、クーリクがコンサルティングを委託しているという女性が、杉本彩さんを相手取り行われたもの。名誉毀損で訴えられた杉本さんがしたことはというと、デイリー新潮の記事をただ「リポスト」しただけ。

 訴えに対して杉本さんの代理人・紀藤正樹弁護士は「前例にない訴訟である」と不服とし、請求棄却を求めた。

 おそらく傍聴人一同が思ったであろうこと。

「この裁判、なんかおかしくないか?」

 大手メディアの記事を拡散しただけで訴訟されるならば、何千、何万というアカウントの所有者が訴えられることになるが、リポストを理由に訴えられたのは杉本さんのみ。

 杉本さんは動物福祉に関する啓蒙活動を行う『EVA』という団体の理事長を務めており、動物愛護に関心のあるXユーザーに与える影響力は少なくない。しかし、特定の個人を批判しているわけでもない杉本さんを訴えることには、どうも違和感を覚える。
 その点を踏まえると、今回の裁判はいわゆる"スラップ訴訟”のようにも見えてくる。

 ……とまあここらへんの話は各メディアの報じる記事をご覧いただくとして、クーリクのみならず、ペットショップ業界というものは、妙にキナ臭く悪寒のするような"ウワサ”と切っても切り離せないものでもある。

息がかかった『保護動物』

「ペットショップが“保護犬・保護猫の譲渡をする”と謳っていることはよくあります。保護動物と称してますが、実際は違うことが多いんです」

 そう語るのは、長きにわたり動物の保護活動を続けているA氏だ。

「ペットショップで売れ残った動物や、繁殖用に使われていた動物を"処分”するくらいならと、その子たちを『保護動物』として里親を募集するんです。実際の保護動物と違って、いろいろなオプションをつけて“販売”することも多いですよ。やってることはただの“下請け愛護”です」(A氏)

 下請け愛護とは、繁殖業者が繁殖用の犬猫を「保護された犬猫である」と偽ること。保護動物を迎え入れる里親の多くは、ペットショップなどの生体販売自体に抵抗を示す人が多いにも関わらず、知らないうちに彼らの片棒を担がされることになるというわけだ。

 保護猫・保護犬の里親を探すことができるサイトには、大手ペットショップと結託して、売れ残りの犬猫や子を産むことができなくなった繁殖動物たちが、ペットショップから横流しされているケースもある。

 つまり、"処分”することで負うリスクを減らすために『保健所や手放さざるを得ない飼い主から保護した子です』という設定にして、里親を騙して押し付ける。悪い言い方をすれば、"在庫処分”するというわけだ。ついでにイメージアップもできるわけだから、一石二鳥である。

 もちろんすべてのペットショップがそういった業務提携をしているわけではないが──火のない所に煙は立たない。

新宿アルタ横には、大手ペットショップが2店舗並ぶ

 杉本さんの第一回口頭弁論の場は、民事裁判にもかかわらず、多くの傍聴人で埋まっていた。代理人・紀藤弁護士は裁判官に向かってこう話した。

「自分が呼んだわけではないのに、多くの人が傍聴に来ている。それだけ世間の関心を集める出来事ということです」

 長きにわたり良からぬ噂のつきまとい続けるペットショップ業界は、今も破竹の勢いで店舗数を伸ばし、利益を上げている。
 今回のクーリク騒動を機に、"保護動物”という美談のヴェールで隠された「ペットショップ業界の真実」は明らかになっていくのだろうか。

取材・文=編集部