俺たちの愛した!【昭和平成◎懐かしのTVゲームクロニクル】#0002
街や電車で、学生はもちろん大人までスマホゲームに興じる姿をよく見るようになった。いまやゲームといえば、スマホゲームといわれるほどだ。しかし、昭和世代にとってゲームといえば、『ドラクエ』『ドンキーコング』『スーパーマリオ』ではなかったか──。今回は、そんな懐かしのコンピュータゲームを振り返ってみよう!
(#0001からの続き)
一家に一台が当たり前
1983年、ファミコン誕生!!
時代を変えた任天堂
家庭用ゲーム機の代名詞、任天堂の『ファミリーコンピュータ』、通称ファミコンが誕生したのは1983年7月。『ドンキーコング』『ゼビウス』といったアーケードゲームからの移植作から次々人気作が生まれる中で誕生した、ファミコン最大のヒット作が、1985年発売の『スーパーマリオブラザーズ』だ。任天堂を世界のNintendoに変え、家庭用ゲーム機が一家に一台(以上)あることを当たり前にした。つまり、現代人の生活スタイルまで変えた作品だ。
横スクロールのアクションゲームで、敵キャラを踏みつける、下から叩くといった方法で攻略していき、ゴールを目指す。主人公マリオの動きは、走る、ジャンプする、しゃがむなど。Bボタンを押しながら走ると、徐々に加速され(いわゆるBダッシュ)、走るスピードが早いほど大きくジャンプできるなど、感覚的に操作でき、操作感の気持ちよさはピカイチ。隠しアイテムも豊富で、ゴールまでのルートも複数あり、やりこめばやりこむほどに奥が深く、スマホゲームとは異なる意味で、終わりのないゲームだった。今年4月本作の未開封品が、アメリカのオークションで66万ドル(約7300万円)というゲームソフトとしては異例の額で落札されたことがニュースになった。いかに世界的で歴史的なゲームであるかがあらためて証明されたわけだ。
同時期に、天才ゲームデザイナー堀井雄二が生み出したビッグタイトルが、ご存じ『ドラゴンクエスト』シリーズだ。すでにパソコンゲームとして人気だったアメリカ生まれのロールプレイングゲーム(RPG)『ウィザードリィ』『ウルティマ』のおいしいとこ取りをしたゲームシステムになっており、深みのある物語と小気味よいセリフ回しには雑誌ライターでもあった堀井の本領が思う存分発揮された。ビジュアル面では、当時すでに『ドラゴンボール』で売れっ子漫画家になっていた鳥山明がキャラクターデザインを担当、音楽はベテランすぎやまこういちが務めている。
また、育成RPG『ドラゴンクエストモンスターズ』シリーズ、スマホゲーム『ドラゴンクエストウォーク』、アニメ化もされた漫画『ドラゴンクエストダイの大冒険』や、スライムを中心とする人気モンスターをモチーフにしたキャラクターグッズなど、いまなお様々な発展をしている。
『ドラゴンクエスト』の回復呪文ホイミ、ベホイミ…攻撃呪文ギラ、ベギラマ…といった法則性が分かりやすいネーミングは、ファミコンにおいて五十音のすべてが使えなかったという制約から生まれたものであり、出現モンスターがプレイヤーをにらみつけているように見えるのは、鳥山が漫画で養ったテクニックによるものだった。ドラクエはそうした小さな工夫の集合体なのだ。
(#0003へ続く)
取材・文◎南雲章