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アメリカの学校 日本の学校 教員視点

アメリカの公立の中学・高校で4年半、日本の中学・高校で10年以上教員をしているジタバタ子なり。おはようございます。

教員のブラックな労働環境やら、増え続ける不登校生徒数がしょっちゅうニュースになりますが、ジタバタ子的視点から思うことを書いてみよう。

とりあえず、中学校同士を比較してみよう。

①ホームルームシステムについて

固定クラスの日本 VS 流動クラスのアメリカ


日本は4月に新クラスが発表されたら、そのまま3月までは同じメンバーが同じ教室で生活。
アメリカは授業ごとにクラスメンバーが入れ替わる(日本の大学と同じイメージ)。
この点に関して、固定クラスで、気の合わない人間と1日7~8時間×1年間も同じ空間いいるのは苦痛だし、不登校の引き金になってもおかしくないと感じている。固定クラスで集団行動を通し学ぶことも確かにあるけど、トレードオフの考え方で行くと、そろそろ「集団で~」というのは手放す頃かと思う。そうなると「クラス対抗」とかいう学校行事も無くなるよね。行事がなくなると、教員的にはずいぶん楽になり、ブラック環境の解消にもなると思う。かなり単純化した議論だけど。

② 教員1人当たりの業務について

担任が全てをこなす日本 VS  分業のアメリカ


現在中学3年生の担任をしておりますが、本当にすべてこなしています…。朝は欠席連絡のやり取りに始まり、保護者からの相談を受けたり、コロナ禍では登校時の体温測定、4月は通学路に立って地域の皆様のご迷惑にならないよう、生徒たちの登校マナーの指導(しょっちゅうクレームが来る。クレームを受けるのも仕事)。そして担任クラスに行き、朝の会。出席を取り、提出物を集め、時には集金をし、連絡なく登校していない生徒のご家庭に連絡を入れ、そのまま授業へダッシュ。空き時間には提出物のチェック、集金したお金のカウント、朝に途中になっていた保護者からの案件があれば折り返しの電話をかけ話を聞き、生徒が早退するとなれば保護者へ連絡、進学のための必要書類の作成、行事の準備…暇があれば授業準備。昼休みは生徒達がマスクなしで話をしないよう生徒の食事を監督し、自分の食事は5分でかきこむ。帰りの会の後掃除をし、職員室に戻り部活へゴー。部活がない日は会議があったり、生徒の補習があったり、宿題をしていない生徒を居残りさせたり、生徒の揉め事対応をしたり、翌日の準備をしたり、会議があったり。

アメリカ時代を思い出してみると…。朝学校へ行き、1時間目の授業で生徒の登校を確認しパソコンに入力。欠席連絡が入っていようがなかろうが、私の関知するところではない。その後、誰かが連絡を入れているのかどうか、そういえば全然知らない。その後授業をし、昼休みにはのんびり1人でご飯を食べ、放課後は授業終了とともに退勤。生徒の下校時間=先生の退勤時間。アメリカで教員になって間もないころ、放課後に採点していたら、アメリカ人の同僚から、
「なにやってんの?放課後に仕事しても、誰もお金払ってくれないよ!Go home!!」
と言われたことを今でも鮮明に覚えている。

ではでは、アメリカでは、誰が日本の担任がしている仕事をしているのか?
進路指導=カウンセラー
生徒指導=校長先生、教頭先生
行事=遠足程度の物(field trip)はあった記憶があるけど、あんまり行事ってなかったな
事務仕事=事務員
昼ごはん=生徒たちはカフェテリアで食べるから、先生たちが交代で監督している
部活動=希望する先生がやる(お給料は別に出る)。教頭先生が野球部のコーチをやっていたな

文字にしただけで一目瞭然だけど、日本の先生、やる事多すぎる…。これで残業代出ないとか、本当にあり得ないな…。残業代いらないから、定時で帰りたいよぅ!

③有給の取りやすさについて

他の教員がカバーする日本 VS 代打を呼んでくるアメリカ

次に有給の取りやすさについて。
日本の場合。例えば私が休むことになるとどうなるか。担任業務(少なくとも朝の出欠確認と帰りの解散)の代打が必要となる。次に授業を自習にするのか、他の先生にお願いするのかの指示が必要となる。ただでさえ忙しい同僚たちにさらなる負担をかけることになり、とてもとても心苦しい…。
その他、この時期に休むと受験関連のやり取りが滞る危険性がある。もしコロナにでもかかろうものなら…願書提出に影響が出たり…ひぇ~恐ろしや…。授業を自習にすると他のクラスより進度が遅れ、学年全体で合わせているテスト範囲に影響が出る…。
そんなこんなで、「休むくらいなら出勤しよう…」と無理することになる。

かたや、アメリカの場合。
多分多くの学校でそうであると思うが、"Sub System"というのが存在していた。ちゃんとは確認していないけど、恐らくSubstitution Systemの略だったはず。つまり「代替教員システム」である。各自治体に教員免許を持っているが教えてはいない人たちが"Sub System"に登録していて、例えば私が有休をとるとなると、学校側が登録している先生たちに連絡を取りカバーしてくれる人を探してくれる。そして呼ばれた先生は私のデスクにおいてある"Sub Holder"に入っている課題を生徒にさせてくれるのである(Sub Holderには少なくとも3日分程度のレッスンプランを入れておくよう指示されていた)。
この"Sub System"があるのは、アメリカならではの事情もあると思う。アメリカでは生徒のみを教室に残すことはご法度だった(私が教えていた学校だけかな?)。生徒だけの教室で何か事件や事故が起こったら担当教員の責任になる。生徒が授業中にトイレに行くときさえ、教員の許可を受けている証明書(簡単なメモ「Bathroom Slip by Ms.Jitabatako」のような)を持っていく必要があった。つまり、日本のように教員不在で「自習」というのは絶対ダメ。だから、確実に責任者をあてがう必要性があるので、"Sub System"のようなものがあるのかな、と思う。

日本では多分、担任業務がなくならない以上、守秘義務の観点から、"Sub System”のように、不特定多数の教員が校内に出入りするのは難しいと思う。

結論

社会背景、文化背景、いろんなことがあるから、単純比較ができないことは重々承知の上で。
まずは先生の仕事を分業化するところからかな…。仕事の属人化が異常なほど進んでいて、「あの先生がいないとだめだ!」みたいな状況は自分も周りも苦しめる。
クラスの固定化、ホームルームもなくしていいと思う。アメリカでホームルームがないのは、「そもそもいじめというものは起きる。起きることを前提に、どうしたらその確率を減らせるか」という視点から始まっていると聞いたことがあるようなないような・・・。
色々考えてはいるけれど、私にできることは半径3メートルなんだよね…。今日も半径3メートルでいい変化が起きるように頑張ってこよう。






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