夜更けに耳元で囁かれた彼女の言葉


「まさぐりも
 えぐりもするの、
 シタのシタよ」


暗い窓の外に沈んだ街のように色も抑揚もないその囁きは、性的なふくらみにぬめらせたり、絶望的な絶壁の縁に立たせたりして、自分で拵えた意味と意味の狭間で迷子になりがちなぼくを、余すことなくもてあそぶ。

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