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俳句

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#読書メモ

BADモードを聴きながら

BADモード耳に春の街歩き、 思考回路はショート寸前の紫。 それらを俳句にまとめおる4月1日。 …

仲村 次朗
2年前
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なんとなく知る(なんとなく)

山のあなたになほ遠く 「幸(さいはひ)」住むと人のいふ。 『山のあなた』カール・ブッセ(訳:…

仲村 次朗
3年前

暗示せる音

もしわたしの心が女の故に迷い わが友の戸口にわたしが待伏せしたことあれば わたしの妻が人の…

仲村 次朗
3年前
1

厚塗り

暁の果てに、この平らな町ーー べったりと拡がり…… そしてこの無気力な町の中の、唖然とす…

仲村 次朗
3年前

秋と狂気の中世

人間の心は自然から暴力へ、 暴力から道徳へと歩む サン・ジュスト 人間たちはかくも必然的…

仲村 次朗
3年前

内なる国境考

だから、本物の国民が、農民的な姿をとって現れもするのだろう。そして、贋の国民は、都市にむ…

仲村 次朗
3年前
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麦刈る人

 僕はこの手紙を絵の仕事に疲れた合間に少しずつ書いている。ーー仕事はかなり順調に進んでいるーー僕は発作の何日か前に始めた絵、『麦刈る人』と格闘している。(中略)そのとき僕がこの麦刈る人のなかに見たのはーー自分の仕事をやり遂げようとして炎暑のさなかものすごく奮闘している漠とした人影ーーそこにそのとき見たのは、人類は刈り取られる小麦かもしれぬという意味での死のイメージだ。これはだから、言うなれば以前僕が試みたあの種まく人の対極をなすものだ。しかし、この死には悲しいものはなにもない

夏と春と修羅

  日輪青くかげろへば     修羅は樹林に交響し      陥りくらむ天の椀から    …

仲村 次朗
3年前
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殻のなか

一ぴきの でんでんむしが ありました。  ある ひ、その でんでんむしは、 たいへんな こ…

仲村 次朗
3年前
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火は喰えないが

落花生喰ひつつ読むや罪と罰 高浜虚子 柿の種喰ひつ地獄の季節哉

仲村 次朗
3年前
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蓑虫鳴く、風や吹く

蓑虫いとあわれなり。鬼の生みたれば、親に似てこれもおそろしき心あらむとて、親のあやしき衣…

仲村 次朗
4年前
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コラムニストの憂鬱

空蟬の世は憂きものと知りにしを   また言の葉にかかる命よ 『源氏物語』ー夕顔ー 紫式部 …

仲村 次朗
4年前
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そういう季節のこと(季節を捨てよ、旅に出よう)

断じて近代人でなければならぬ。 頌歌はない、ただ手に入れた地歩を守る事だ。辛い夜だ。乾い…

仲村 次朗
4年前
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白に戻るための無題

「あなたは園のどの木からでも  心のままに取って食べてよろしい。  しかし善悪を知る木からは  取って食べてはならない。  それを取って食べると、  きっと死ぬであろう」 旧約聖書『創世記』 智恵の実や 神の造りし 逃げの道 知恵の樹は、 満たされること知らぬ神様の全能 その象徴に見えてならない。 「楽園追放」「原罪」、 この二つは人間だけの特権ではなく、 秘密を共有するときに芽生える、 罪深い関係性を象徴しているように 思えてならない。 「人がひとりでいるのは良く