厚塗り
暁の果てに、この平らな町ーー
べったりと拡がり……
そしてこの無気力な町の中の、唖然とするほど自らの叫びを素通りしてしまうこの騒々しい群衆、そして、心穏やかに、自らの動きを、自らの意味を素通りし、その真の叫びを、それだけがこの町のものであると感じられるがゆえに、町のどこか、闇と矜持の奥まった避難所にそれが住むと感じられるがゆえに、聞きたいものであった、ただひとつの叫びを素通りしてしまうこの町。この無気力な町の中の、飢えの、悲惨の、反抗の、憎しみの叫びを素通りしてしまうこの群衆。かくも異様におしゃべりで無言のこの群衆。
『帰郷ノート』 エメ・セゼール
べつとりと深緑背にこの町から
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