俳句

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弱さ、薄闇と光

薄闇にそふ蕗の葉や這ひ蛍

怠れば顔を出す

怠ればゴキブリの触ビニル床

無音のドラマ

日盛りの兄弟げんか蟬の声

遠目の夏

退く夏の汗頬骨のつくる影

猛暑近景

八重歯剥き蝉(あぶら)声乗す熱波かな

遠く夏景色

レースに白い夏風 さめた鍵盤を弾ませて

ほつ、ほつと

遠花火啜り泣き止む奥座敷

雲後に崩れて

入道もきのこの笠下(さんか)砂の膝

気怠さに明鴉

明鴉夏至のゾンビを啄んで あけがらすげしのぞんびをついばんで

老犬の舌

老犬の舌縋りおる逃げ水や