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メンヘラ(精神障害者)が都営住宅に当選をするまで・その1

メンヘラが今の日本で何が困るのかと言うと、「住居」のことだろう。

「転職」や「結婚」もなかなか大変だけれども、障害年金を受給しており、働くことができない。ガチのオタクで非モテなのでそもそも異性と縁がない人が居ても「住居」に関しては誰しもが困惑することなので今回、noteに投稿してみた。

私はかつて国家公務員だったのだが、激務の末に心身を壊して退職した。

在職時は不動産屋は即決めでロクに「審査」すらもしないのに、退職するやいなや薄情冷酷な父親に10年前に実家を追い出され、ネカフェ難民の、「障害年金受給者」の中年無職男性となるや、不動産屋はやれ年金証書、預金通帳を見せろ(500万以上の預金記録を見せた)と要求し、あまつさえ追加で「面接」まで要求してきた。そして案内で来るのは「1件」のみと見事な塩対応で「社会的な障碍」ぶりだった。

もういっそギリ関東圏内の安いUR住宅に家賃1年半分を前払いするしかないと思っていたのだが、偶然、母が管理する祖母(大正生まれ)のアパート物件に空きが出て無事にネカフェ難民から脱出することができた。

まあ、そういう具合にメンヘラ、精神障害者の「住居」の問題は深刻なのだ。

で、都内某所に滑り込んだものの、都内でも指折りの住みたい街ランキング上位のアパートの家賃は身内価格でも55,000円。親戚の目もあるので更なる厚かましい要求は出来なかった。

障害年金は月11万円。家賃はその半分と言う有様で非常に生活は厳しかった。

退職金と預貯金を全て米株投資に割り当てて、その儲けたお金を足りない生活費に割り当てていた次第だ。

幸いにもリーマンショック直後で株価が暴落して、安い株価を享受出来た。アベノミクスのおかげもあり、株式市場は好調で綱渡りの生活がなんとか成立した。

巷で「アベ死ね」とネットで声高に叫ばれても、私はアベノミクスで生かされたのだ。

とは言え、アベノミクスもいつまでも続くわけでない。当時、安倍総理を必死に応援しながらも現実的な生活防衛のために都営住宅応募に挑戦し始めた。

当選するまで実に4年。連続で13回落選という厳しい結果だった。

応募初日の午前中に地域の郵便局本局から出し続けて、「根性」を見せても本当に厳しかった。

障害者でも応募できる単身者用住宅は50倍~100倍の競争率という具合で非常に厳しく、いろいろ試行錯誤してみた。

最終的に行き着いた結論は、昭和40年代に建設された団地でかつ北区、板橋区、足立区、江戸川区、江東区の最寄り駅から「徒歩10分」以上もしくは「バス利用」を前提にした都営住宅が狙い目だと分かり出した。

でも、それでも当選しない。本当にカスリもしない!!

それが上手く行きだしたのは都営住宅が「事故物件オンリーの応募」を郵便受付で開始し出した頃だった。

確かにそれまで事故物件応募の存在は知っていたが、抽選会場に行くまでその「事故」内容が分からないのが心配だった。

それが事故物件の「事故内容」をネットで明示されると、検討する時間が取れた。

様々な事故物件の「事故詳細」をネットで見ながら、「殺人事件」、「自殺」、「3か月以上の放置」、「大島てる案件」(夏休みにDQNの中高生や大学生の肝試し会場になるのは困る)を弾いていった。

そして目出度く、2018年8月の応募で見事に都営住宅に当選したのだ。

都営の入居審査日を待ちに待ちに待って、11月末にあらゆる書類を揃えて万全の体制で行ったのだが審査は結構、厳しい。

祖母所有のアパートに私が入居している件で、事前に霞が関の法務局で登記簿を取りに行き、一切私が不動産を所有していないことを明らかにしたものの、都内某所の有料老人ホームに現在、入居中の祖母の住民票がアパートの1階部分にあったことが判明し、祖母の戸籍の附票とホーム側からの入居証明書が必要になった。

あとガス・電気なども公共料金支払いの証明も求められた。

さらに加えて審査担当者から「入居者が支援を受けながらも、基本的に一人で生活することにできるのか」という件で主治医の診断書も必要になるかも知れないと仄めかされた。

都営住宅側の「支援があれば、一人で生活できる」という定義がどのような状態を指すのか分からないこともあり、事前の生活状況の申告書については「全部出来る」にマルを着けた。

実際問題、精神疾患の陽性状態を想定して書くのか(障害年金などの定義)、治療によって安定した陰性状態で障害や病気が固定された状態で書くのか分からない。

要は隣近所に迷惑をかけるかどうかなのだろう。これまでまったく警察沙汰や近所トラブルになったことがなかったので後者側の判断で書いた。

「できない」とは近所の人たちから注意を受けたことがあるのか、警察を呼ばれて詰問されることがあったのかと読み解釈した。

障害年金受給者なので翌週には診断書以外(専門職の医師に依頼する以上は極めて高価なもので、担当者の気分次第で加えられては困る)は揃えて提出した。

あくまで「仄めかし」なので、まあ、大丈夫だろうと年末、正月を迎えた…。

そして、成人式も過ぎてゆく…。審査結果が届かない。

「都営住宅当選」のブログをあちこち読み漁りながら、なんだかファミリー向けの当選者は1か月ぐらいで審査結果が出てるようだが、何故なんだろうと不思議に思っていたら

年末年始進行とはいえ、なんと翌年2019年2月上旬に追加書類の提出のお願いが来た。

どういう具合で「2か月」も掛かって追加書類が必要と判断したのか非常に憤慨したが、翌日に主治医の先生の元に訪れて診断書作成を依頼した。

主治医の先生の診断書は素晴らしかったが、障害年金は月11万円で診断書作成に掛かったお金は痛い出費だった。

診断書作成と同時期に東京都庁と東京都議会と東京都住宅政策本部住宅企画部総務課広報広聴担当と国土交通省関東地方整備局主任監査官室と首相官邸に「障碍者差別解消法に抵触する事案について」と称する要望と苦情と問い合わせをして見た。

当時、あの安倍総理自身が「一億総活躍」と国会質問や答弁や選挙でも、何度も強調して繰り返したフレーズなのだ。

それでは「一億総活躍」が本当に実践できているのか。

切り返す形で当時の安倍総理の「言葉」と「理屈」を建前に、官僚たちに訊くのは間違ってはいない。

それでも診断書提出後2週間経っても何も回答はなく、審査結果も届かない。

私は診断書作成と同時にきちんと簡易書留と速達で送付して誠実に追加書類を提出したのだ。

仕方がない。

ちゃんと筋道と道理を尽くした以上は「差別」ということで、東京都福祉保健局障害者施策推進部計画課に今まで送ったほぼ同内容のメールを送信した。

私もそうだったが、役人と言うのは電話での聞き取りは苦手だ。文章でまとめてくれると2~3分で理解できる。これからも公営住宅でトラブルを抱える人も居るだろうから、文例を掲載したい。

障碍者差別解消法に抵触する案件について

 私は〇年〇月の都営住宅の応募し、当選して○年〇月〇日に都営住宅の審査を受け、追加で不足とされた書類も〇月〇日に再度提出したのですが、〇年の〇月〇日になって小出しでまた不足書類があるとJKK東京が審査をいたずらに引き延ばしてをされて困っています。
 今になってJKK東京は主治医の診断書を追加で求め、理由として「介護(介助・援助)なしに単身で日常生活を営むことができるのか」「病院の支援内容と、今後も継続して受けることが可能であるのか」と掲示しています。
 私は既に〇月〇日に主治医の先生に診断書作成をお願いしていますが、非常に困っている状況なのです。私は障害〇〇年金〇級で月〇万円の収入ですが、アパートの家賃は〇万〇千円であり生活は相当に苦しく、診断書一つ(5千円~1万円)であっても手痛い出費なのです。退職金がまだ相当に残っているので、生活保護を受けられず、かと言って最後の命銭なので浪費できません。今月は相当の期間に渡って「絶食」など厳しい生活を強いられるでしょう。
 また、この度のJKK東京側の行政行為に根拠たる条文があるのかと疑問に思っています。障碍者差別解消法に抵触し、「〇〇日」に渡って審査を不当に遅滞させたうえで、更に診断書を求めることは障害者の権利利益を侵害すると強く抗議したいのです。
 私は〇〇区のアパートに独居で住んで〇年になりますが、今まで精神的な理由から何も問題行動を起こしたことはありません。それにも関わらず、不当な差別的取扱いを非常に悲しく思います。
 さらに言えば「精神障碍単身」という枠組みで都営住宅に応募し、精神障碍者手帳を掲示したにも関わらずJKK東京が「〇〇日」後に診断書を更に要求する妥当性や法的根拠について知りたいと思っています。合理的な配慮どころか、まさに「社会的障壁」そのものであり、障碍者差別解消法の趣旨に真っ向から挑む残念な暴挙です。
 最後に付け加えて年末年始があったとはいえ、最初の審査日から〇か月以上がすでに経過しており、困窮者に対していたずらに審査を延期することは障害者の権利利益を侵害しており、これもまた「社会的障壁」そのものです。
 是非ともJKK東京にご指導・監督のほどをよろしくお願いします。
                                                                                 東京太郎
                                                                                 〒163-8001 東京都新宿区西新宿2丁目〇番〇
                                                                                 03-〇〇〇ー××××

 こんな具合で私はメールをして、その1時間後に電話で問い合わせをした。2週間に渡って、本来の窓口である東京都住宅政策本部が問い合わせに返答していないのだ。

 メールに、電話と重ねて二段重ねで訊いても失礼に当たらない。 

 東京都福祉保健局の担当者は丁寧に聞き取りをしてくれて、審査結果を遅滞なく送付するように関係各所に働きかけると回答してくれた。

 その2日後、審査結果が届いた。

 複雑で巨大な組織で、「彼」が奮闘してくれたのだと思った。

 官僚や役人はしばしば過度に批判され、中傷されるが、ひとりひとりの情熱や行動は一人の人生を救うことも多々あるし、社会に大きな影響を与える。 

 いわゆるマスコミはどこまでも外野であり、「2日」での解決は彼と東京都庁と国土交通省関東地方整備局が国民のために奮闘してくれる組織だったのだろう。

  東京都庁に志が高い職員が居てくれたことを嬉しく思う。是非とも大成してほしいと祈った。

 しかし、最後に私たちもまた障害差別解消法をよく読んでおくべきだと思う。

(行政機関等における障害を理由とする差別の禁止)
第七条 行政機関等は、その事務又は事業を行うに当たり、障害を理由として障害者でない者と不当な差別的取扱いをすることにより、障害者の権利利益を侵害してはならない。
2 行政機関等は、その事務又は事業を行うに当たり、障害者から現に社会的障壁の除去を必要としている旨の意思の表明があった場合において、その実施に伴う負担が過重でないときは、障害者の権利利益を侵害することとならないよう、当該障害者の性別、年齢及び障害の状態に応じて、社会的障壁の除去の実施について必要かつ合理的な配慮をしなければならない。

「障害者から現に社会的障壁の除去を必要としている旨の意思の表明があった場合」と明記されている。

我々がその意思を表明しない限りは、行政機関は動いてくれないのだ。

なかなか私たちに不便な社会であるが、少しづつ声を挙げてゆくしかないのだろう。


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